夏への扉 ロバート・A・ハインライン著

オススメ小説的なもので検索すると高確率で上がっているSF系の作品。

読まねば読まねばと思いつつ未読だったがついに手を出してみた。

部屋主の独断ランク:C

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

ぼくの飼っている猫のピートは、冬になると決まって夏への扉を探しはじめる。

家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。

1970年12月3日、かくいうぼくも、夏への扉を探していた。

最愛の恋人に裏切られ、生命から二番目に大切な発明までだましとられたぼくの心は、12月の空同様に凍てついていたのだ。

そんな時、冷凍睡眠保険のネオンサインにひきよせられ…

読書感想

名作に上げるほど面白いかと問われると微妙なレベル。

だが面白いか面白くないかと問われると面白いかなとは思う。

やはり古い印象は否めない感じではある。

トータルで350Pちょっとくらいの長さなのだが、正直100Pくらいまではかなりイマイチ。冗長な設定説明とか愚痴みたいなのとかばかりで、なんか読むのが苦痛な印象。

が、そこを超えて物語が動き出すと面白くなる。

そこからは正統派のSFという感じでかなり楽しい。

なんかこういわゆる「古き良き時代のSF映画」という言葉が、小説なのに妙にしっくりくる。

物語の展開的には、それなりに山あり谷ありという感じだが、落としどころであったり驚かせどころであったり的なものは先読みし易くちょっとした残念感が(物語の構成自体は巧いなと思うが、ご都合主義さも強い)。

もちろんそういうマイナスはあるものの、ラストのうまくまっとまった感やほっこり感は、読み手を暖かい気持ちにしてくれるだろうと思う。

特にネコのピート、可愛い。

あまり先の展開とかを考えずに読むと楽しいタイプの作品かな。

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機動戦士ガンダムUC 3 赤い彗星

全部読了したということで感想アップです。

表紙は「赤い彗星」の機体「シナンジュ」です、たぶん。

赤い彗星 機動戦士ガンダムUC(3) (角川文庫) Book 赤い彗星 機動戦士ガンダムUC(3) (角川文庫)

著者:福井 晴敏
販売元:角川書店(角川グループパブリッシング)
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部屋主の独断ランク:B

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

世界を覆す力を秘める「ラプラスの箱」を巡り、地球連邦軍と反政府組織ネオ・ジオンは交戦状態に突入した。

「箱」の秘密を内包する巨人兵器<ユニコーン>を父から託されたバナージは、収容先の戦艦内で様々な思惑に翻弄される。

そこに急襲をかける「赤い彗星シャア」の再来、フル・フロンタル。

再び<ユニコーン>に乗り込んだバナージは、伝説のマシーン<ガンダム>の力を呼び覚ますことができるか。

感想

1&2に続き、悔しいけれど面白かったです。

展開はさほどでもないですが熱いセリフは健在ですし。

でもって後半の赤い彗星の登場。

デブリの中を跳ぶシナンジュを(戦闘シーンよりも)、是非ともアニメで見たいと思ってしまいました。

ということで各場面感想。

まずはにして部屋主としては序盤にしてすでにハイライトという、バナージとカーディアスの過去話。

「五感では感じられないなにか いま現在を超えるなにか…

 それは神と呼ばれるものかもしれないし

 人の願望が作り出した錯覚でしかないのかもしれない

 だがその存在を信じ 世界に働きかけることができるなら

 それは現実を変えることだってある

 わかるか

 人間だけが神を持つ

 理想を描き 理想に近づくために使われる偉大な力

 可能性という名の内なる神を

 人を数多の動物と隔て 宇宙にまで進出させた力の源はそこにある

 確かに人は地球を食い潰してきた

 せっかくの知性を同族殺しに費やし

 先の戦争では人類の半数近くが死に追いやられた

 それをして人類が種として行き詰ったと結論する者もいるが

 それは悲しいものの見方だ 現に先の戦争は

 ニュータイプという新しい可能性を人に知らしめた

 どんな状況でも希望を見出し

 現在を超えようと意志するのが人間だ

 知性もやさしさも人を人たらしめる感情はそこから生まれる

 世界はいま 絶望と再生がせめぎあう混沌の中にある

 これから生きてゆくおまえたちは

 人が人らしく生き死にを迎えられる世界を

 作ってゆかねばならない

 内なる可能性をもって

 人の力とやさしさを示していける世界をな」

この台詞大好きです。

1巻のハイライトへつながるという意味でも、今後の流れを考えるというような感じで巧みという点でも素敵かなと。

次は尋問を受けるバナージ。

「誰も信じられない人の言葉じゃなかった

 そういう噂が立ったのは 周りに信頼できる人が

 いなかったからじゃないんですか」

あぁ、カーディアスは幸せものだなぁと。

うん、よかった。

次はバナージとオードリー。

「立場に縛られた話し方が彼女の本質を見えなくしている

 自分という人間が必要になったから

 もう無防備に接することはできなくなったということか?

 だとしたら不要な人間でもかまわない

 『君の声を聞かせてくれよ』とバナージは重ねた

 これでは熱は生まれない

 理屈だけで動けるほど自分は器用な人間ではない

 『やらなければならないことじゃなくて

  君がやりたいことをさ それを聞かせてくれたら…』」

若さと熱さ。

こういうのが欲しいですね。

お次はこのバナージの青臭い思考。

「決められた役割を演じているのに過ぎない

 与えられた責任に応じて定められた役割 選択肢

 ちょっと位相をずらせば別の選択肢もあるはずなのに

 そのちょっとが踏み出せない

 責任という言葉の重さに目も口も塞がれてしまっている

 だから大人は本音を話せないのだ

 律儀であればあるほど己の職責に没入し

 全体を見渡す視点を失ってゆく

 そしてどうにも立ちいかなくなった時には

 誰かに責任を押しかぶせて沈黙を通す

 そんな資格はなかった 権限はなかったという言い方で

 責任の所在を曖昧にし 目先の保身に終始する

 それで世界全体が滅んだら

 その時はきっとこう言うのだ

 自分には 世界を救うだけの資格と権限がなかった と」

これに対応するラスト付近のコレとコレ。

「こんなものではない

 まだできるはずだと訴えて退かない“熱”が

 額を突き抜けて薄い光を爆ぜらせる」

「そう なにもできなかった

 自分を含めて ここにいる者たちは何もしなかった

 戦いはした

 ―生きるために それぞれに負った責任を果たすために

 でも得られたものはなにもない

 立場に縛られ 虚勢を張り 

 益のない小細工を弄すのに終始して

 本当に必要な行動はなにひとつ起こさなかった

 そして結局 全員が等しくなにかをうしなってしまった」

まだ子供のバナージの熱と、責任に絡め取られて動けなかった大人たち。

もっと見直して今後の人生を歩んでいこうと考えさせれました。

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ユニコーンの日 上下 機動戦士ガンダムUC 1&2 福井晴敏著

アニメよりも小説版がオススメということで読んでみました。

ユニコーンの日(上)  機動戦士ガンダムUC(1) (角川文庫) Book ユニコーンの日(上) 機動戦士ガンダムUC(1) (角川文庫)

著者:福井 晴敏
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部屋主の独断ランク:C

ユニコーンの日(下)  機動戦士ガンダムUC(2) (角川文庫) Book ユニコーンの日(下) 機動戦士ガンダムUC(2) (角川文庫)

著者:福井 晴敏
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部屋主の独断ランク:A

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

人類が増えすぎた人口を、

宇宙に移民させるようになって一世紀。

工業用スペースコロニーに住む平凡なっ少年バナージ・リンクスは、オードリー・バーンと名乗る謎の少女を助けたことから「ラプラスの箱」を巡る事件に巻き込まれていく。

開放されれば地球連邦が転覆するといわれる「箱」の正体とは―

感想

実に面白かったです。

これまでアニメで見てきた「SEED」や「OO」と比較して各段に違う重厚さが感じられたのがよかったです。

小説という媒体ゆえ、アニメ版ではおそらく端折られているであろう部分もきっちり描かれいるから、さらに物語に厚みを感じることができるのだろうとも思います。

また「ニュータイプ」に関する思想にもハッとさせられました。

単純に宇宙に適応しようとする人間の進化系の一類型かと思っていたのですが、その背後にあのような思想的なものがあるとは。

実によかったです。

あと、多少1stを知ってるゆえ、オマージュ的な部分も多少はわかりますが他の宇宙世紀シリーズを知っていればニヤってできる部分がより多くより楽しめるのではないかと思います。

ということで気に入った各場面感想。

まずサイアム。

「他の選択肢がなかったというだけのことだ

 そうでなければ誰が好きこのんでこんなところに来るものか

 まともな仕事さえあれば

 金さえあれば

 “ハズレ”の人生を引き当てさえしなければ―」

自分の力ではどうすることもできない流れの中で、

生きるため家族のためにテロリストとなる。

このあたりの背景がしっかり描かているのが

部屋主的に実によかったです。

こんな若者を生まない世界を作りたいものです。

お次はリカルド・マーセナス地球連邦首相の演説。

「わたしはどのような宗教にも属していませんが

 無神論者ではありません

 高みを目指すために

 自らの戒めとするため

 己の中により高次な存在を設定するのは

 人の健康な精神活動の現れと信じています

 西暦の時代 それは神の言葉として様々に語られてきました

 人はどのように生きるべきか

 いかにして世界と向き合うべきか

 それらに対する教えはあらゆる宗教に伝えられています

 人間の言葉ではなく

 人と神の契約の説話として

 いま、神の世紀に別離を告げる我々は、

 契約更新の時を迎えようとしています

 今度は超越者としての神だけではなく

 我々の内に存在する神

 ―より高みに近づこうとする心との対話によって」

表現自体も実に良いのですが、

今後の展開を見据えての巧みさがまた良いです。
 
それに続く逆説的「ラプラス」。

最初なぜラプラスなのかと訝しんだのですが、

逆説的に使っているのですね。

「未来にはあらゆる可能性がある」

うん、巧いです。

そして起こるテロ。

ここでサイアムの、

「すべては我々が決めることだ、と首相は言った

 その“我々”とは、サイアムたちのことではなかったか

 自分たち“ハズレ”の人間にこそ

 あの首相はなにか大事なことを

 伝えようとしていたのではなかったか」

やってしまったとりかえしのつかない事態への一瞬の後悔。

痛かったです。

時代は移りサイアムとカーディアス。

「無能者は、能力のある者に負わされた

 義務と責任の重みを想像することはできない」

だと思います。

と同時にノブレスオブリージュ。

現在日本では能力のあるものがその義務と責任を

まったく果たしていないと思えるのが悲しいです。

「永遠の停滞の中で緩やかに死んでいくよりはいい」

「手遅れになる前に行動を起こさねばならない

 世界が完全に逼塞する前に

 可能性という名の神が死に絶える前に」

しょせんは己の独善とひしがれるサイアムと、それを私以外にだれが赦せるというのですと赦すカーディアス。

うん、素晴らしいです。

次はだいぶ進んでバナージ。

「女が口にするリアリズムほど

 なにかをせねばならないと思っている男子の

 意気を挫くものもない」

いやほんとそう。なんか凹みました(苦笑)

「最低だ…おれ」

と言いつつ、なんのかんのと内なる声に従って
行動するのが物語の主人公。

熱いね。

お次はカーディアスとオードリー。

「平和と安定は傷みやすい代物です

 たまに新鮮な風を送り込んでやらないと

 すぐに腐ってしまう」

「私は戦争の中で生まれました

 戦争を見て育ちました

 …とても惨いことです

 そこから何かが生まれると期待するのは

 それこそ平和漬けになった者の傲慢です」

「希望は必要です

 そして希望を生かすためには血を流さねばならない時もある」



お次はカーディアスとジンネマン、

そして「新しい人のかたち」たる「誤解なくわかりあえる人」。

「常に結果だけを求める大衆は

 可能性しか示さないニュータイプに飽きた」

「人が人を信じるのは難しい

 行動と結果だけがその者の資質を証明する」

ジオンの唱えた(これも知らなかったわけだが)

ニュータイプの後ろにはこういう思想的定義があったとは。

ちょっと感動しました。

次はこの巻のハイライト、

カーディアスとバナージ、 そしてガンダムの覚醒。

まずカーディアス。

「カーディアスはそこで、  

 謹厳実直な努力家をひと括りにされる者たちの中にも

 二種類の人間がいることを知った

 ひとつは誰かに認めてもらうために何かを為したいと思う人間

 もうひとつは、なにか為さねばならないことがあって

 結果的に周囲から認められる人間

 前者は評価が前提としてあるがゆえに

 大事な局面で決断力が鈍る

 対して後者は目標が常に前方に設定されているため

 目先の情実や良心にかかずらわって

 必要な決断をためらうということがない」

後者の人間でありたいと切に願うところ。

「見返りを求めず

 己に報いるのは己だけと了解して為すべきことを為す」

こうありたいがこれが本当に難しい。

が、そうありたいと常に自戒はしておきたいです。

そして、

死を前にして切り捨ててきたものを贖い後事を託せる者がいない孤独。

(上記のサイアムと対比できる構造が実に秀逸)

可能性の箱を己で閉じねばならぬ口惜しさ。

救いを求める神すらなく憤怒と呪詛と後悔とが身を焦がす。

その刹那に現れるバナージ。

「夢でもいい、と思う

 末期にこんな夢をみさせてくれるなら

 人の生もまんざら捨てたものではない」

彼の心中を慮ると涙が出そうになります。

「内なる可能性をもって。

 人の人たる力とやさしさを世界に示す

 地球を食い潰し宇宙に捌け口を求めた人類にとって

 それは果たさなければならない責務

 あるいは希望」

一人の少女を救うためにやってきた息子。

やさしさと勇気を持った男に育っていたかつて捨てた息子。

誇らしさに少しの哀しさが入り混じった

満足気な笑みを浮かべるカーディアス。

「行け

 恐れるな 信じろ

 自分の中の可能性を

 信じて力を尽くせば道は自ずと拓ける

 為すべきと思ったことを為せ」

「わかる

 わかるんだ 私には

 それが…いまは、とても嬉しい」

わずかに残った温もりを伝えきろうとする冷たい指先。

無二の想いを伝え離れていく指先。

涙が溢れました。

こうして可能性の象徴、

ユニコーンガンダムが動き出すわけですが、
部屋主的に以降はただの蛇足。

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グラン・ヴァカンス 廃園の天使1 飛浩隆著

知人にキモかったりグロかったりする小説を紹介してってことで言ってみたら教えてくれた作品です。

「SFが読みたい!2010年版が選ぶゼロ年代ベストSF2位作品」とのことらしいです。

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA) Book グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

著者:飛 浩隆
販売元:早川書房
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部屋主の独断ランク:A

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

仮想リゾート<数値海岸>の一区画<夏の区界>。

南欧の港町を模したそこでは、ゲストである人間の訪問が途絶えてから1000年、取り残されたAIたちが永遠に続く夏を過ごしていた。

だが、それは突如として終焉の時を迎える。

謎の存在<蜘蛛>の大群が、街の全てを無効化しはじめたのだ。

わずかに生き残ったAIたちの、絶望に満ちた一夜の攻防戦が幕を開ける・・・

感想

面白かったです。

序盤はキモさもグロさもまったくなく、むしろ妙にきれいな綺麗な描写や世界観の説明で、かなり退屈でした。

が、中盤に入り蜘蛛の大群が攻めてきてからは、うってかわって非常に面白くなりました。

蜘蛛やその統率者である人物のえげつない殺害方法は言うに及ばず(特に人間団子)、前半に美しく描かれたからこそさらに暗い影を落とす<夏の区画>の秘めたる闇の部分(特に檻の中で刺繍の図案を描く女)などは、実に秀逸なキモち悪さでした。

もちろんグロい描写だけでなく物語としてもよかったです。

世界の設定、蜘蛛の主の目的、天使、老人の正体、主人公についてなどなど、それらが絶妙に絡まり合ってともて面白く仕上がっています。

まだ色々と謎が残ってるゆえ、続編が楽しみです。

好きな台詞

「決めろ。

 『しかたがない』ことなど、なにひとつない。

 選べばいい。選び取ればいい。

 だれもがそうしているんだ。

 ひとりの例外もなく、いつも、ただ自分ひとりで、決めている。

 分岐を選んでいる。

 他の可能性を切り捨てている。

 泣きべそかきながらな」

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忘却の船に流れは光 田中啓文著

お気に入りということで連続。

忘却の船に流れは光 (ハヤカワ文庫JA) Book 忘却の船に流れは光 (ハヤカワ文庫JA)

著者:田中 啓文
販売元:早川書房
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部屋主の独断ランク:B

多少ネタバレ注意かも。

あらすじらしきもの

かつて世界は悪魔に滅ぼされた。

主は五階層の閉鎖都市を創造し、聖なる<壁>によって悪魔の侵入を食い止めたという。

それから幾星霜、都市を統べる<殿堂>の聖職者ブルーは、悪魔崇拝者の摘発後、世界の真理を探求する修学者ヘーゲルに出会い、<殿堂>の厳格な支配に疑問を持つ。

それは、神と悪魔を巡り、ブルーを翻弄する、狂乱劇の始まりだった・・・

感想

なかなか面白かったです。

こういう設定や展開は大好きです。

ラストのオチもよかったです。

主人公のブルーの主体性のなさ&バカさ加減と、ヒロインのマリアにイライラしますが(特に直接的なエロシーンはいらんかなと)。

あと、グロさもなかなかによかったです。

特にブルーが拷問(地獄の仮想体験)されるところは非常に秀逸なキモさです。

そしてにしてもこの作者、ウンコが大好きみたいで(苦笑)

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天体の回転について 小林泰三著

だいぶ前に読みました。

天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Book 天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

著者:小林 泰三
販売元:早川書房
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部屋主の独断ランク:B

あらすじらしきもの

科学文明と無縁に育った青年が天空にのびる「天橋立」で出会った女の子は、とびきり可愛い宇宙旅行の案内係りだった・・・

収録

・天体の回転について

・灰色の車輪

・あの日

・性交体験者

・銀の舟

・300万

・盗まれた昨日

・時空争奪

感想

よくできてて面白い短編がいっぱい。

実に楽しめた1冊。

・天体の回転について

ううむ、なんと感想を書いていいやら。

微妙です。

・灰色の車輪

これは好き。

短いながらもよくできてると思います。

・あの日

これも好き。

よくこういう洒落た発想ができるなぁと感心します。

・性交体験者

これも洒落てるかと。

・銀の舟

油断してたとはいえ見事にしてやられました。

面白かった。

巧いです。

・300万

物語的には微妙だけど、皮肉が効いてる感じ。

・盗まれた昨日

実に色々と考えされらる短編かと。

なにを持って人間の本質というのか。

面白い。

・時空争奪

うーん、物語の内容は理解できるが、いまいち面白いとは・・・

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ハル-2

昨日に引き続き「ハル」のあらすじと感想です。

ハル Book ハル

著者:瀬名 秀明
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

部屋主の独断ランク:

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

機械と人間を結ぶ、切なくも考えさせられる「あした」を描いた物語が5編収録されている短編集です。それぞれの短編の間には「WASTELAND」という数Pから成る連作短編が挿入されています。

「亜希への扉 心の光陰

雪のちらちらと降る夜、細々と「ロボット・コンサルティング」を営む「良祐」の店に、1人の女の子が駆け込んできます。捨てられていたというロボットを胸に抱えていたその少女は、良祐に直してほしいと懇願しました。

少し悩んだものの、少女の真っ直ぐな瞳の奥の決意を見て取った良祐は、ロボットを治してあげることにしました。元気になったロボットを見て喜んだ少女は「亜希」と名乗り、ロボットに「ロビイ」と名づけました。

それ以来、9歳の亜希は良祐のところでお礼のお手伝いをしながら、ロビイを大事に大事に育てていきました。また、ロビイも彼女の愛情に比例するように成長していくのです。

亜希が良祐のところに来なくなってから2年の月日が流れたある日、彼のもとにロビイに何かあった時に送るように設定しておいた緊急報告メールが届くのです。翌日、大きくなった亜希がやってきました。出会った頃のように壊れて動かなくなったロビイを胸に抱いて・・・

「アトムの子 夢みる装置

ロボット工学者の「竹内」は、「鉄腕アトム」の誕生日である「2003年4月7日」、その日に合わせて開園した「手塚治虫記念パーク」のオープニング・セレモニーに行っていました。工学者であり鉄腕アトムファンである竹内は、セレモニーに登場する鉄腕アトムの「実物」を見に行ったのです。

しかし、発表された鉄腕アトムは、アトムの形はしていたものの、ただよく動くだけの心をもたない木偶の坊だったのです。それを見て愕然とした竹内は、同時に日本人がロボットに持っていた幻想がこれで壊れてしまったことを悟りました。以来ロボット・ブームは急速に萎んでいきました。

それから26年の月日が流れ、ロボットはあらゆるところに溢れるようになりましたが、ロボットの知能と意識の研究はこれといって進んでいません。そんな中、すでに高齢のため退官した竹内は、昔を懐かしむように再び訪れた手塚治虫記念パークで、東大でロボットの認知科学を研究していた「海渡」と偶然再会します。

海渡に誘われて訪問した研究室には、自分と同じように高齢のために一線を退いたロボット工学の分野で活躍していた面々が揃っていました。そして驚く竹内に海渡はこう言うのです。「アトムをつくるんだよ、ぼくらの手でね」と・・・

部屋主の感想

「亜希への扉の感想」

これはきました。亜希もロビイも可愛いです。あらすじでは割愛しましたが、良祐の父親の渋さも非常に光ります。先の短編に出てきたあのキャラのその後も描かれているという演出もいい感じです。

なによりも、亜希の悩み、そして亜希の悩みを知ったことによって発生した良祐の悩みは、これからおそらく来るであろうロボット社会を生きるヒトに必ず発生する類のもので、今から考えておいた方がいいかと思います。

また、それらの重いテーマをホロリとくる物語に詰め込んでいるあたりも凄いです。ということで独断ランクはにしたいと思います。

「アトムの子の感想」

これもきました。実にツボです。一見救いのない物語のように思わせておいて、部屋主が大好きなとある映画と同じように希望を見出せるラストになっています(このタイプのラストに異常に部屋主は弱いです。目から汗が出そうになります)。

ちなみに「この救いがないように見えて最後にはちゃんと希望が・・・」という感想は、この短編集の全体に当てはまる感想かと思います。悲劇も嫌いではありませんが、物語の最後はきっちり、そして希望を見出せるものになってくれてる方が好きだったりしますので。

また、一線を退いた老人が集まって、かつての夢に向かって努力するという物語の構成もいいですね。きっと今後の高齢化社会ではこういうことが起こってくるのでしょう。彼らのように年をとっても夢をみれる、そしてそれに向かって頑張ることのできるような老い方をしたい、そういう風にできる社会を作っていきたいものです。いまはヒッキーだけど。

なにより、「ロボットの心」、「ロボットにとっての正義」といったテーマに悩む人物たちの姿を通して、ここまでの作品と同じように色々と考えさせてくれるところがいいです。他の短編同様、ロボットのことを語りつつ、同時に人間というものについて書かれていますので本当に考えさせられます。けっこう重いですがここまでこの記事を読んでくれた皆様も是非とも一緒に考えてみてほしいと思います。

他にも、ここまでの短編で登場した人物(を示唆する)やロボットが色んなところに登場していたりするあたり、連作としての楽しさもあります。ということで独断ランクは文句なしににしたいと思います。

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ハル-1

ずっと前から読みたかった本を購入しました。気合入れてレビューを書いていたらだいぶ長くなったので2回にわけたいと思います。

ハル Book ハル

著者:瀬名 秀明
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

部屋主の独断ランク:A

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

機械と人間を結ぶ切なくも考えさせられる「あした」を描いた物語が5編収録されている短編集です。それぞれの短編の間には「WASTELAND」という数Pから成る連作短編が挿入されています。

「ハル たましいと体

「ハル」という犬型ロボットが「生きている」という現実離れした報告が続いていた2001年、小説家である「私」と舞台女優である妻「今日子」は、友人「横木」のヒューマノイド型ロボット製作に協力していました。完成した今日子の外見と動きを精巧にトレースするロボットに、一同はうまく言葉にできない違和感を感じるのでした。

やがて、事態をマスコミが嗅ぎ付け、様々な論争を巻き起こします。下世話な議論にうんざりした私は、今日子とロボットを同じ舞台に上げることにより事態の収拾を図りました。試みが成功したかに見えたある夜、「ロボットの魂」について今日子は私に語りかけてきます。そして翌日、あの事件が起こるのです・・・

あの日から数年経った2010年、事件以来疎遠になっていた横木に私は呼び出されます。彼は「自分の研究は間違っていたのかも」と苦しみを露わにすると同時に、悩みの根幹をSF作家に転化して小説家である私を責め立てました。反論しながらも私の心は揺れ、自分のやったことが果たして正しかったのだろうかと悩みはじめます。そして、私はその答えを探すべく事件以来電源が落とされていた妻の姿をしたあのロボットに会いに行くのです。

「夏のロボット 来るべき邂逅

ロボット工学者と結婚し、自らも研究室勤務の「恵」のところに叔父が死んだという連絡が入ります。その電話で、近頃はずっと疎遠だったものの、小学生のころは毎年叔父の家に遊びに行っていたことを恵は思い出しました。本当に遭遇した出来事なのがどうかもあやしいあの夏の記憶を・・・

最後に叔父の所を訪れた12歳の夏休み、恵は叔父の家の近所にある科学館へと1人で遊びに行っていました。そこで恵は1体のロボットに出会います。彼の名前は「ロボ次郎」。恵は「メグミサンヤ チキュウノ ミライノコト シッテルヨ」というロボ次郎と夢中になってお喋りしました。

恵は次いで、自分で勝手に「先生」と名づけた人物のことを思い出します。ロボ次郎との楽しい時間を過ごした後に話し掛けてきた先生は、真夏なのに長袖に手袋をはめ、それでいて汗一つかかずに麦藁帽子を被っていました。先生は、「人の心」「ロボットの心」「考えるということ」について恵にもわかるように問題提起をした後、麦藁帽子を彼女にプレゼントして去っていきました。先生と会ったのはこの1度きりでした。

叔父の葬式の後、恵は自分の曖昧な記憶を確かめるべく、思い切って叔母に麦藁帽子の話をしました。すると叔母は帽子を探しだしてきてくれたのです。つまり、あの夏の出来事は、恵の空想ではなく実際にあったことなのでした。

それを確信した恵の脚は科学館へと向かいました。もちろん目的はロボ次郎に会うためです。しかし、科学館にいたロボ次郎は・・・

「見護るものたち 絶望と希望

カンボジアとタイの国境付近の地雷地域に住む少女「リー」は、不思議な首輪をつけた傷ついた1匹の犬と出会います。地雷の爆発に巻き込まれたと思われるその犬は、リーをとある場所へと導きました。そこには壊れかかった1体のロボットが横たわっていました。

リーがそのロボットに触れようとしたその時、首輪から「動くな」という声が聞こえてきました。なんとそこは地雷原だと声は言うのです。さらに声は、犬は地雷探査犬だからついていけば大丈夫だと続けました。

その声に従いなんとか生還したリーを待っていたのは、地雷撤去ロボットを製作している「杵島(きしま)」たちのチームでした。地雷原で壊れていたロボットは彼らのもので、つまり今回の地雷撤去作業は失敗したということでした。

2年半後、再度この村に戻ってきたチームは、今度はプロジェクトを成功させます。中にはあの「アインシュタイン」と呼ばれていたあの懐かしい犬もいました。そしてその夜、何故かアインシュタインはリーの所へやってきました。そしてリーは、アインシュタインに導かれて、再びあの地雷原に横たわるロボットのもとへと向かうのです・・・

部屋主の感想

「ハルの感想」

エンターテイメントとして面白いかと問われると微妙ですが、相変わらずの(というか今まで読んできた「デカルトの密室」や「第九の日」よりもこっちの方が先に出版された作品なのですが)ロボットと魂、そして人間とは何ぞやという深遠なテーマに切り込んでいるあたりとても面白いと思います。これまた毎度ながらとても考えさせらます

また、私や横木の悩みに自分を重ねながら読むと心が痛くなりました。ラストの私の独白もホロリときます。部屋主もそう思います。ということで独断ランクはAにしたいと思います。

「夏のロボットの感想」

こういう昔を回想して、その思い出を頼りにっていうタイプの話に部屋主は弱いんですよね。ツボです。ロボ次郎、たまらんです。ロボ次郎を探して科学館に再び訪れたときなんかはドキドキものでしたよ。

ロボ次郎以外にも「先生とは誰なのか?」「先生の目的とはなんなのか?」といった楽しみもありますし、何より先生の投げかける「人の知性」についての問題提起にはこれまた考えさせられます。というか、このへんは日頃から部屋主も悩んでいることだったりします。

はたして人とはなんなのか、そして自分とはなんなのかといったことをを見つめ直す機会を、この本を紹介することにより皆様に提供できたらいいなと思う次第であります。もちろん独断ランクはにしたいと思います。

「見護るものたちの感想」

物語としてはちょっと退屈でテンポが悪いように感じました。とはいえ、テーマの1つに地雷があるのはポイント高しです。今でも世界中には数え切れないほどの地雷が埋められていて、毎年何人もの人間が傷ついてるということを日本人はもっと知るべきだと部屋主は思うからです(戦争についてもっと知りたいと思った方は「世界で一番いのちの短い国」「戦争広告代理店」の記事あたりを読んでみてください)。

それにしても、まさかあんな展開になるとは意外でした。というか、途中からその展開はやめてと心の中で叫んでました。それはそれで現実や次につなげる物語の演出としては悪くないとは思うのですがそれでもやっぱりね。

それに加え、どうぶつとロボットどうぶつとヒトといった、これまた重いテーマかつ、部屋主があんまり意識してなかったところについて描かれてるところもありがたかったです。勉強になりました。とはいえ、なぜか唐突にスピリチュアル的な存在が描かれたりといったマイナスポイントもあしますね。ということで独断ランクはこれまたAでいきたいと思います。

この本から部屋主が選ぶ格言

「ロボットの研究者は、未来のことを考え続けていてください。中途半端じゃ駄目です。一所懸命に考えてください。それがあなたたちの使命なんだ。多くのことは実現しないかもしれない。でもその努力を続けることが、今という時代を未来の希望に近づけるんです。あなたたちだけの分野だけじゃない、この世界を、世界全体を、未来の希望に近づける、それくらいの力があるんです。一歩ずつ。ほんの少しずつ。わかりますか?」by田中

挫折した杵島を励ましたときの台詞です。ロボット研究者である杵島に向かって発した台詞ですが、これは彼に限らずあらゆる人に当てはまる言葉ではないでしょうか。心に沁みる一言ですね。

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第九の日 The Tragedy of Joy

瀬名秀明氏の作品は大好きなので購入しました。一番好きな作家は誰かと問われると、現時点では彼の名前を部屋主は答えるかと思います。

第九の日 The Tragedy of Joy Book 第九の日 The Tragedy of Joy

著者:瀬名 秀明
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

部屋主の独断ランク:B

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

「デカルトの密室」の後日談である表題作「第九の日」を含む、4編からなる短編集です。「デカルトの密室」を含め、全ての作品は「ロボット」シリーズとしてつながっています。物語の流れは「メンツェルのチェスプレイヤー」→「デカルトの密室」→(「モノー博士の島」)→「第九の日」→「決闘」になります。

この4編の短編は、それぞれ過去の名作を、著者がロボットを取材した過程で得た視点で再構築した、「リスペクト」、もしくは「オマージュ」作品ということです。

ロボット技術がいまよりも進んだ近未来の物語です。

「メンツェルのチェスプレイヤー」

進化心理学者の「レナ」と、そのパートナー「ケンイチ」は、レナの恩師であり、ロボット工学や人工知能の権威である「児島」名誉教授の研究所に招かれます。児島教授がレナを研究所に招待した理由は、彼が作り出した「メンツェルのチェスプレイヤー」と対局してもらうため、そして、人とロボットの知能と心、脳や自由意志などについて議論するためでした。

結局、2人の議論はかみ合わず、レナとケンイチは翌日早朝の帰宅を決め、眠りにつきます。そして真夜中、けたたましいピープ音で目覚めた2人が見たものは、「私の研究は成功を収めたことになる。私はロボットに殺された。自由意志を持ったロボットに」と語る児島教授の映像と、死体のない血塗れの密室だったのです・・・

「モノー博士の島」

レナとケンイチは、軍需産業で金を儲け、その資金で遠隔操作型外科手術支援のロボットや義肢や車椅子などの福祉機器を造る軍事企業「BodyGen」の特別顧問であり、老化メカニズムの研究でノーベル賞医学生理学賞を受賞している「ジャン・ジャック・モノー」博士が傷痍軍人や障害者のための再生医学と福祉ロボットの研究の実践を行っている島へと、動物行動学の研究をしている父の身に危険が迫っているという理由で呼び出されることになります。

人間の本性を「人間性を拡張してゆくこと」だと主張し、肉体改造により銃で胸を撃たれても平気なモノー博士に届いた「殺人予告」と、「欺瞞に溢れた紛い物の人間性から守って欲しい」という不可解な頼みに2人は・・・

「第九の日」

エジンバラからロンドンまでの道程を、1人で旅行しているケンイチは、とあるバス停で自分と同じくらいの背丈の子供ロボットとしゃべる子犬と出会い、彼らの住むリタイアした人たちが余生を過ごす町全体がコンピュータで管理されている「エヴァービル(永遠の町)」へ一緒に行くことにします。

けれどその町にはなぜか人の気配はないし、謎のライオンが闊歩している上、ケンイチは教会で監禁されてしまうのです。

一方、レナと同じくケンイチのパートナーであるロボット工学者であり、ケンイチの物語の小説として出版している半身不髄の「ユウスケ」が、そこに名前が記載されると殺害される可能性も高いキリスト教系の過激なファンダメンタリストの断罪リストに載ってしまい・・・

「決闘」

あらすじ自体が「第九の日」のネタバレになるので割愛させていただきます。

部屋主の感想

まず、書いておくべきは、基本的に後の物語が前の物語のネタバレを含むので、上記した物語の流れ順に読んで欲しいということです。

と、帯のあの宣伝文句はなんなんですかね。特に「畢生の恋愛科学小説」ってところと「物語の力が世界を救う」ってところ。正直かなり意味不明です。さらに帯裏のネタバレ本文抜粋・・・出版社の方、読者を舐めてるんですか?

全体的な感想としましては、部屋主にとっては相変わらず考えさせられる内容だったため、前作の「デカルトの密室」同様、読後は凹みました。ロボットに関してはほとんど知識はないものの、脳、進化、認識といったテーマは多少はかじってしてますので、自分の能力の低さが浮き彫りになるのがその理由です。まぁ、もっと努力しろってことなのですがね。

とはいえ、「BRAIN VALLEY」、「デカルトの密室」、「パラサイト・イブ」と比較するとレベルは落ちるかと思います。ただし、心、脳、意識、神といった答えの出ないものに対し、真摯に向き合う姿勢、ロボットを通してそれを表現しようとする試みは相変わらず素晴らしいと思います。ということで以下はそれぞれの感想です。

「メンツェルの~」は、最初は少々退屈なのですが、児島教授が語りはじめるあたりから目が離せなくなりました。自由を求めて没頭するロボット、人間的な身体、人間的な知能と外部からしか判断できないといった主観の問題自由意志と没頭の関係、脳の働きや身体と環境との関わり、生命進化と適応、リスク評価と行動決定、そして・・・

短編なのにやたらと考えさせられます。しかもこれらがきちんとミステリ小説の中に収まってるあたりがすごいです(ミステリとしてだけ見ると普通レベルですが)。

ただ、「デカルトの密室」を先に読んでいたため、ラストのオチ(?)が推測できていたので少々残念でした。一応、ここでもそのオチは隠して記事作成してますが、カンの良い方なら予測できてしまうかもですね。独断ランクはBといったところでしょうか。

「モノー博士~」は、人間の本性(ヒューマンネイチャー)、精神・肉体・環境の総体である知能(インテリジェンス)、人間の区別と差別の意識人間の超える精神と肉体と環境の取得と人間性の拡張、そして神への挑戦とその消去・・・

これまた短編なのに考えさせられます。「メンツェル~」の児島教授の論理はイマイチ納得できなかったのですが、モノー博士の主張は理解できますし、彼のようは人格は好きですね。モノー博士の意見に対するレナの反論(?)なども興味深いです。

これもミステリ仕立てなのですが、ミステリとしては普通レベルといったところでしょうか(トリックが簡単すぎです)。ただ、レナのご都合主義的な設定がけっこうゲンナリします。でもまぁこのマイナス点を考慮にいれても気に入ったので独断ランクはAとしたいと思います。

「第九の日」は、第一の日からはじまるといった手法で書かれているのですが、ラストあたりまではかなり退屈でした。クライマックスあたりは上記2編と同じく非常に考えさせられますが。

ただ、ユウスケとファンダメンタリストのやり取りも少々納得いかない箇所もあるし、これまた何でそうなるの?ってところも少々あるのが残念です。ラストのあの展開も、わからないでもないのですが、部屋主としてはいまいち好きになれません。リスペクト作品を読んでないってのもわからない理由かもですね。

内容としましては、視点の切り替え、全能の視点(オムニツシェンド・ポイント・オブ・ヴュー)、宗教と信仰と自己の関係、本当の読者、個性、物語、偶像でしかないロボットの自己と痛み、創造主の与えたもうた贈り物、そしてブリキの神・・・

これまた盛りだくさんで考えさせられます。視点の切り替えはあらゆる場面で重要な概念だと思いますので、意識したことのない方も今後考えてみてはいかがでしょうか。でもまぁ物語としてはあまり好みではないので独断ランクはBにしたいと思います。

「決闘」は、上記3編の約3分の1の長さです。うとうとしながら読んだことが理由なのか、リスペクト作品を読んでないからなのか、正直、よくわかりませんでした。展開もいまいち納得できませんでしたし。でもまぁなんとなく何を目指しているかはなんとなく理解はできた感はあるし、続編への掛け橋っぽいので、独断ランクはCくらいにしておきたいと思います。

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BRAIN VALLEY 下

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昨日は上巻についてつぶやいたので、今日は下巻についてつぶやくことにしますかね。

BRAIN VALLEY〈下〉 Book BRAIN VALLEY〈下〉

著者:瀬名 秀明
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

部屋主の独断ランク:S

上巻よりも話の展開が早いため(ウンチクが少なめ)一気に読めてしまいます。

著者が作中で描く神の概念や人間の進化の理由などはとにかく興味深いです。

物語のエンターテイメント性も申し分なしです。

下巻は渋い場面が多いのですが

「なぜヒトは神を必要としたのか。もしかすると~」

からちょうど1Pくらいが個人的に大好きです。

もちろん好きな登場人物は北川です。

彼のいう「知の欲求」論・・・

これを実践できる人物になりたいものです。

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