海賊とよばれた男 下 百田尚樹著

引き続き下巻の読書感想です。

部屋主の独断ランク:A

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

敗戦後、日本の石油エネルギーを牛耳ったのは、巨大国際石油資本「メジャー」たちだった。

日系石油会社はつぎつぎとメジャーに蹂躙される。

一方、世界一の埋蔵量を誇る油田メジャーのひとつアングロ・イラニアン社に支配されていたイランは、国有化宣言をしたため国際的に孤立、経済封鎖で追い詰められる。

1953年春、極秘裏に一隻の日本のタンカーが神戸港を出港し―。

「日章丸事件」に材ををとった、圧倒的感動の歴史経済小説、ここに完結。

感想

前半以上に面白かったです。

主人公の超人っぷり、著者の泣かそう泣かそうとしてる感じや(きっと映画化するでしょう)、やたら優秀でカッコいい人物ばかりが主人公の陣営に多いとか、なんか妙にリアリティを削ぎますが、それでも勇気をもらえたし、感動してしまったしで。

なんかくやしいです。

ということで秋編の感想。

「七人の魔女」や日本の他石油業者の妨害にやられながらも、起死回生かつ命懸けの作を秘密裏に…二転三転する状況に必死で対応する主人公たち…という感じの展開。

正直、めちゃめちゃ面白かったです。

これが実話というから驚きです。

「皆が恐れるからこそ行くのではないか」

「リスクのない商売はない」

「拿捕されれば倒産することになるが日本人が信義を果たす国民であることを国民は知るである

 そしてこのことは必ず両国の今後の友好関係にとって大きな力となる」

という思想で挑む姿が非常に熱かったです。

「海図があればどこへでも行きますよ。陸地でないかぎりは」

という船長についニヤニヤしてしまい、タンカーが出港するときの弓の話や到着場面の描写などではついウルウル、帰ってきた時の船長と奥さんのやりとりで笑ってしまいましたし。

とりあえずどれくらいが事実だったのかを調べてみようと思います。

冬編は多くの別れが多くじんわり泣けます。

まずは日章丸との別れ。

「お前がいたからこそ国岡商店は戦うことができた

 お前は国岡の刀であるとともにぼくの息子だった

 お前のことは永久に忘れない

 日章丸よ―ありがとう」

それ以上にツボにはまったのは日田との別れ(特に一番最初の散歩のくだり)と、最初の妻の大甥からの手紙。

この二つの場面にはやられました。

最後に、作中、主人公とその片腕が、子供たちを見ながら21世紀に想いを馳せる場面があります。

「見たか あの子たちの目を 瞳が輝いておる

 あの子たちは二十一世紀の日本を支えていく子供たちだ」

「どんな国になっているでしょうか?」

「日本人が誇りと自信を持っているかぎり

 今以上に素晴らしい国になっておる」

21世紀を生きる身として、なんか色々恥ずかしくなりました。

もう少し生き方を考え直さねばと思った次第です。

とりあえず出光佐三関連の本を読んでみます。

まず「マルクスが日本に生まれていたら」あたりから。

抜粋

「たとえ九十九人の馬鹿がいても

 正義を貫く男がひとりいれば

 けっして間違った世の中にはならない

 そういう男がひとりでもいなくなったときこそ日本は終わる」

「ぼくは今度の石油危機は日本国民にとっては

 天の下された試練と言えるのではないかと思っている

 国民は享楽に慣れきって節約を忘れてしまった

 そこで天がモノを大切にせよと反省の機会をあたえたのではないか」

「私は、人間を信頼するという考え方を広めていくことこそ、

 日本人の世界的使命と言っています」

「『人間尊重』の精神は、

 世代から世代へと受け継がれていくだろう

 そして自分が生きた証はそこにある―

 たとえいつの日か

 日本に再び国難が襲ったとしても

 日本民族なら必ず立ち直ることができる」

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海賊とよばれた男 上 百田尚樹著

会社の後輩が読んでみたいと言ってたのと、本屋でたまたまサイン本だったので購入。

部屋主の独断ランク:B

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

「ならん!ひとりの馘首もならん」

敗戦の夏、異端の石油王「国岡商店」を率いる国岡鐡造は、なにもかも失い、残ったのは借金のみ。

そのうえ石油会社大手から排斥され売る油もない。

しかし国岡商店は社員ひとりたりとも馘首せず、旧海軍の残油集めなどで糊口をしのぎながら、たくましく再生していく。

20世紀の産業を興し、人を狂わせ、戦争の火種となった巨大エネルギー・石油。

その石油を武器に変えて世界と戦った男とはいったい何者か―

実在の人物モデルにした本格歴史経済小説、前編。

感想

面白かったです。

全然興味のない分野だったので色々勉強になりました。

まずは戦後の焼け野原から始まる夏編。

金も仕事もないのに社員の首を切らずGHQや役人、他石油業者を敵に回して戦う姿はカッコいいの一言。

「プリーズと言うな」「無実の罪だから抗議するのは当然である」のくだりとかは爽快、かつての敵のスタンバック社との友情(?)場面にはやられました。

で、ようやく一息つけたと思ったところで「七人の魔女と呼ばれる怪物」たちとの戦いを思わせぶりにしておいて春編(過去編)に行くというなかなかに巧い構成と。

ここでも泣かせる(泣かせようとする)シーンがいっぱい。

まずは主人公の恩人「日田重太郎」とのやりとり。

「六千円は君の志にあげるんや

 そやから返す必要はない 

 当然、利子なども不要

 事業報告なんかも無用

 ただし条件が三つある

 家族で仲良く暮らすこと

 そして自分の初志を貫くこと

 ほんで、このことは誰にも言わんこと」

ちなみに6000円は今でいうところの6000万~7000万円相当らしい。

渋すぎる。

でも個人的にはこの後、日田とその奥さんとのやりとりがツボだったりする。

主人公が成功するころには、

「そのときはわしはもうこの世にはおらんかもしれん」

という日田に対し、

「それでもいいではありませんか」

という奥さん。

これはやられました。

その次は上記のスタンバック社と満州鉄道やら上海やらでの戦いは手に汗握りました。

手に汗を握ってるうちに「七人の魔女」とかすっかり忘れてしまってしまう感じです。

次巻にも期待。

モデルは出光の創業者である出光佐三とのこと。

出光の名前は知ってても、こんな生涯を送っていたとは。

不勉強が身に沁みます。

ちなみに、同著者の作品である「永遠のゼロ」の主人公「宮部久蔵」と思われる人物がワンシーンだけ登場します(笑)

抜粋

「それでは自分で考える力が付かんたい

 自分で工夫して答えば見つけることが大切たい

 それでこそきっちりとした人間になるち思う」

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永遠の0 百田尚樹著

いつもコメントをくれる「nori」さんのオススメということで購入してみました。

R-40本屋さん大賞文庫部門1位、2009年最高に面白い本大賞1位という作品だと帯に書いてありました。

ということで読書感想です。

永遠の0 (講談社文庫) Book 永遠の0 (講談社文庫)

著者:百田 尚樹
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

部屋主の独断ランク:B

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

「娘に会うまで死ねない、妻との約束を守るために」

そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。

終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。

天才だが臆病者。

想像の違う人物像に戸惑いつつも、一つの謎が浮かんでくる。

記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。

感想

まずまずでした。

読みながらまず感じたのが浅田次郎さんの名作「壬生義士伝」(独断ランクはS)。

幕末と太平洋戦争、刀と零戦という違いはあるものの、構図はほぼ同じじゃねという印象。

内容に関しては、泣けるツボを押さえているし、戦争時のことは実によく調べてあるとは思うものの、物語的には特にヒネりはないかなと。

なぜの部分に関しても納得いかずでしたし(気持ちは理解できなくもないのですが…)。

また主人公やその姉の戦争に対する知識の少なさ。

いくらなんでもそれはないでしょうと。

物語の展開上、無知さが必要なのかもですが、ちゃんと学のある人たちという設定だと思うのだけど…

と、新聞記者のアイツ。

思想は凝り固まりすぎだし、取材のやり方は最低。

いくらなんでも悪キャラすぎでしょう。

先に展開がありすぎ感が。

とはいえ、太平洋戦争についてというか、空戦についてはしっかり描かれているので(色んな知らないエピソードが面白かったり勉強になったりでした)、太平洋戦争に関しての入門書にはわるくないかなと思います(そういう意味で評価を高くしています)。

ただ、かなり部分的ではあるゆえこれを第二次世界大戦の全体だと思うのはいかんと思うのです(小説ではこのあたりが限界かと思いますゆえ、以降は評価とはまた別に書いておきたいと思ったので)。

他の悲惨な戦場については名前は出てくるのもほとんど触れられてなかったり、特になぜ日本は戦争に向かったの部分が欠落しているので(ほぼ軍上層部の批判のみ。それと現在の日本を対比させてるのはいいなと)、別の本で勉強することをオススメします。

まぁそんなわけで、百田尚樹さん別の作品も読みたいところですねと。

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