ジェノサイド 高野和明著

書店に並んだ時点で気になってたのだけど、悩んでいるうちに有名になってしまって買う気がなくなってた作品。

mixiの方の友人が今年1番の作品という評価をしてたので購入を決定した次第です。

ジェノサイド Book ジェノサイド

著者:高野 和明
販売元:角川書店(角川グループパブリッシング)
Amazon.co.jpで詳細を確認する

部屋主の独断ランク:

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。

それがすべての発端だった。

創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人は、その不可解な遺書を手掛かりに、隠されていた私設実験室に辿り着く。

ウイルス学者だった父は、そこで何を研究しようとしていたのか。

同じ頃、特殊部隊出身の傭兵、ジョナサン・イエーガーは、難病に冒された息子の治療費を稼ぐため、ある極秘の依頼を引き受けた。

暗殺任務と思しき詳細不明の作戦。

事前に明かされたのは、「人類全体に奉仕する仕事」ということだけだった。

イエーガーは暗殺チームの一員となり、戦争状態にあるコンゴのジャングル地帯に潜入するが…。

感想

非常に面白かったです。

質の高いハリウッドの戦争映画を想像できる展開と、それと同時に進行する知的好奇心を揺さぶられる展開には痺れました。

ジェノサイド面ではページ数としては少ないもののきちんと人間の汚さが描かれており(特に子供兵のところはよくぞ書いてくれたなと)、あまりここまでえぐく書いてる小説とは出会ったことがないので実によかったと思います。

人間なんかに生まれなければよかった

このセリフがここまでハマるレベルで心が痛いです。

(ジェノサイドなどについてもっと知りたい方は、以前に紹介した「ルワンダ大虐殺」を是非とも読んで欲しいと思います)

また知的側面では、部屋主好みの展開が繰り広げられ(ネタバレになるからこれ以上書けないのがくやしい)、手に汗を握りページをめくる手が止められなくなるという感じでした。

そして熱さと感動もしっかりと。

特にラストの方はもう目頭が熱くて。

主人公のあの決断と、やつれ果てた姿で駆ける姿、それを受け取った彼の心中描写(P547)が異常にツボりました。

さらに手紙と、エピローグのあの2人の会話。

ラストは電車の中で読むのを止めて家で読み直そうと考えましたから(実際はページをめくる手を止められず、電車の中でウルウルしてました)。

他の感想としては、大好きな作家の一人である、瀬名秀明さんの「パラサイト・イヴ」や「BARAIN VALLEY」を彷彿とさせる作品でしたね(特に後者)、あと同じく好きな作家の一人である貴志祐介さんの「天使の囀り」も。

で、15年前では受け入れられなかった名作「BARIN VALLRY」に、エンターテイメント性を加えて、この手の物語でも大衆受けするというのを証明してくれたように感じました。

ただ一つ残念なのが、アマゾンのレビューにあったような、唐突に出てくる日本人の自虐史観のようなもの。

別に出てくるのはかまわないのですが、というか話としてしっかりしてるならむしろ書いてほしいエピソードではあるものの、そこだけ物語の中で浮いてるのも確か。

そこのマイナスを差し引いても充分に面白くオススメできる作品であるということに加えて、部屋主の個人的なツボをついてのSランク評価です。

抜粋

安直に答えを出そうとしない態度につくづく感心した。強靭な論理こそが、科学者の唯一の武器だ

そうそう、その通り。

無理だ、と言わない人たちが、科学の歴史をつくってきたんだよ

これまたまったくもってその通りですよね。

ちなみにこの後「あの病気の子供たちを救えるのは僕たちしかいない。無理かもしれないけど、考えるんだ」と「無理だという言葉は呑み込んだ。何もしないうちから挫折する悪い癖は改めよう」に続きます。

「俺はここで死ぬのか。もっと善いことをしておくんだった」→「そう思うのは、お前が良い人間だからだ」

このやりとりが実に好きです。

失敗のない人生などあり得ないし、その失敗を生かすも殺すも自分次第だということだ。人間は失敗するだけ強くなれる

まったくもって。

ここのくだりはもう(T_T)

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13階段 高野和明

知人が面白いと言ってたので購入。

47回江戸川乱歩賞受賞作。

13階段 (講談社文庫) Book 13階段 (講談社文庫)

著者:高野 和明
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

部屋主の独断ランク:B

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

犯行時刻の記憶を失った死刑囚。

その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。

だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に蘇った「階段」の記憶のみ。

しょけいまでに残された時間はわずかしかない。

2人は無実の男の命を救うことができるのか。

感想

なかなかに面白かったです。

先の展開や真犯人などはかなり簡単に推理できるのが残念といば残念ですが、全体的によくまとまっていて読みやすかったです。

また日本の死刑制度や裁判制度に関する問題提起的な部分があるのも○ですね。

火曜サスペンス劇場とか向きの社会派ミステリという印象の作品でした。

抜粋

「犯罪は、目に見える形で何かを破壊するのではない。人々の心の中に侵入し、その土台を抜き取ってしまうのだ」

「日本の裁判制度が抱える問題だった。死刑相当事件を冒した場合、1人でも多くの人間を殺した方が真理が長引き、被告人は長生きできる」

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