くちびるに歌を 中田永一著

映画化ってことで読んでみた。

部屋主の独断ランク:B

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

長崎県五島列島のある中学に、産休に入る音楽教室の代理で「自称ニート」の美人ピアネスト柏木はやってきた。

ほどなく合唱部の顧問を受け持つことになるが、彼女に魅せられ、男子生徒の入部が殺到。

それまで女子部員しかいなかった合唱部は、練習にまじめに打ち込まない男子と女子の対立が激化する。

一方で柏木先生は、NHK全国学校音楽コンクールの課題曲「手紙 拝啓十五年後の君へ」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう部員たちに宿題を課した。

そこには、だれにも言えない等身大の秘密が綴られていた。

読書感想

面白かった。

感動系かと思いきや(感動系であることにかわりないけど)、色々と伏線を貼ってる好みのタイプの物語だった。

「手紙 拝啓十五年後の君へ」は大好きな曲で作中でどういう風に使われるのなぁと楽しみにしていたが、手紙の使い方が実に巧いなぁと。

ミステリ系のように奇をてらっているわけではないが、手紙の使い方のおかげが次が気になりページをめくる手がとまらなくなる。

ラストに関してもここがクライマックスと思ったところの後にもう一つクライマックスがあるのがよかった。

あぁ、これが歌のいいところだなとも実感。

ちょっと泣きそうになった。

にしても、新垣結衣主演ということでピアノ教師柏木が主人公かと思いきやまったく違うことに少し驚いた。

あと短い物語の中に(作中経過時間も短かい)色々とエピソードを入れ過ぎて、ひとつひとつが軽くなりすぎてる感じも否めないかなと。

中学生とか高校生に戻って青春をやり直したくなる一作。

さて次の休みはカラオケに行こうっと。

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流星ワゴン 重松清著

ドラマ効果で本屋さんで山積みされていたので、とりあえずあらすじを読んでみて購入。過去をやり直す系のタイムスリップものは好きなので。

重松清さんの作品を読むのは10年ぶりくらいかもしれん。

なおドラマに関しては読了後に途中から見始めた。

演技が巧い人ばっかりで毎週楽しみながら見ている。

(子役の巧さにびっくりしている)

原作小説と流れは同じだが、設定が変わっていたりボリュームが増しているゆえ、今後の締めへの長れも楽しみだ。

部屋主の独断ランク:A

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

死んじゃってもいいかなあ、もう…

38歳・秋。

その夜、僕は5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。

そして―自分と同い年の父親に出逢った。

時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。

やり直しは叶えられるのか―

読書感想

面白かった。

父親とあまり仲が良くないや年齢などといった、この物語の登場人物たちと重なる条件が多かったのもそう感じた要素だと思う。

あと子供がいたり、さらに夫婦仲がよくなかったりすると共感要素が増すので、より泣けるかも知れない。

最初の方は煮え切らない主人公に苛々するが、チュウさんとのやりとりを経て微妙に変化が出てくる感じが良い。

チュウさんも無茶苦茶な性格でリアルにこれが父親だったら反吐が出るなぁとは思うものの、けっこう可愛いところも多くて憎めない。

というかけっこう好きになってしまうだろう。

特に「黒ひげ危機一髪」のくだりはオチも含めて妙に好きだ。

橋本さん親子に関しては、ベタといえばベタだけどあれでよかった思う。

「わしゃあ、こげな別れ方は好かん」

「好かん言うたら、好かんのじゃ」

ここでもチュウさんが可愛らしい。

で、主人公。

聞こえなかったけど、

「うまく言えないし、なんかキザな、恰好つけた言い方なんだけどさ・・・幸せになれよ」

のくだりは好き。

からの、

「それでも―僕は、ここから始めなければならない」

これ。

ここまでガマンしてたがここで泣いてしまった。

この物語の主人公のように特に大きく失敗してるわけではないが、なんか明日から頑張ろうと思える作品である。

あと、嫁だけはなんなんだと思う。

さすがにドラマでは設定自体が変わっているっぽいが。

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MOMENT 本田孝好著

以前に読んだ「チェーン・ポイズン」が面白かったのと、帯に40万人が泣いた・・・とか書いてあるから試しに購入してみました。

部屋主の独断ランク:D

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

死ぬ前にひとつ願いが叶うとしたら・・・

病院でバイトをする大学生の「僕」。

ある末期患者の願いを叶えたことから、彼の元には患者の最後の願いが寄せられるようになる。

恋心、家族への愛、詩に対する恐怖、そして癒えることのない深い悲しみ。

願いに込められた命の真実に彼の心は揺れ動く。

ひとは人生の終わりに誰を想い、何を願うのか。

そこにある小さいけれど確かな希望―

静かに胸を打つ物語。

読書感想

期待外れでした。

というか、感動ものというよりも、ブラックジョークに近い感じがする話(黒かったり、救いがなかったり、後味が悪かったり)が多い短編集だと思う。

読む気分を間違えたような感じ。

泣ける要素もほぼない。

●FACE

予想外にもほどがあった。

いい意味でも悪い意味で裏切られた。

後味もよくない。

●WISH

これも黒いね。

後味は悪し。

●FIREFLY

この作品集の中ではよかった。

唯一泣ける可能性のある作品。

泣かなかったけど。

●MOMENT

よくわからん。

どうなったのか気になるっちゅーねん。

抜粋

「デートを終わらせるのは女性の役目です

 引き延ばすの男の役目」

うん、洒落てますね。

「死ぬことが怖くたって耐えきれなくたって

 どうしても死にたい事情があったって

 人に頼んで殺してもらおうなんて

 そんな情けない死に方をしてほしくなかったんです

 要するに僕はその人のことが好きなんでしょう」 

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ツナグ 辻村深月著

映画化したってことで読んでみました。

辻村さんの作品も好きですし。

部屋主の独断ランク:B

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「ツナグ」。

突然死したアイドルの心が支えだったOL、年老いた母に癌告知できなかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員…

ツナグの仲介のもと再開した生者と死者。

それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は何をもたらすのだろうか。

読書感想

よかったです。

じんわりくる感動系かつしっかり因果応報的な部分もあるというのは好きですね。

連絡短編になっているのも好物。

ということで各話感想。

・アイドルの心得

一発目がアイドルかよ、なんだかなぁ…

と思ったけどけっこうよかった。

・長男の心得

長男として通じる部分もあったが、だからどうした的な印象。

一言感想のひねくれ具合は素敵だったけど。

・親友の心得

因果応報。

それでよい。

・待ち人の心得

これはツボりました。

特にラスト3Pの大事な物入れの場面。

「―何にも残せなくて、ごめんね」

「どこがだよ」

ここのくだりがこの短編集の中で一番好きです。

あと、おせっかいするツナグ少年も○。

文句なく独断ランクはA。

・使者の心得

いやぁこうきたかという感じ。

連作短編のこういうところが大好き。

ツナグ少年自身の物語は、まぁそうだろうなと予想通りだったけど、それはそれでOK。

「目の前で人が不幸になるのを見てたまるか」

うん、こういうまっすぐさがよいね。

さて、映画もチェックかつ他作品も早く読みたいところですな。

抜粋

「謝るのって癖?

 そうするのが楽なのかもしんないけど、あんまよくないよ。

 謝っても解決しないこと世の中にはたくさんあるし

 甘ったれんな

 だいたい、周りの人暗くする、そういうの」

「会って、必要なことを伝えなかったせいで、

 一生、そのことを引きずらないきゃならなった人もいる

 それがどれだけつらいか」

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続 氷点 下

氷点 上」「氷点 下」「続 氷点 上」に続きまして、シリーズラストとなる「続 氷点 下」の感想をつぶやいていきたいと思います。

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Book 氷点 (続 下)

著者:三浦 綾子
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

部屋主の独断ランク:

   作品全体ランク:

かなりネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

かつて、育ての父「啓造」や実の父「中川」が学んでいた「北大」へと陽子は進学します。そのキャンパスで陽子は1人の青年に話しかけられます。「あなたは僕の母にそっくりです」と・・・彼は「三井達哉」、陽子の「弟」でした

三井家では陽子の存在は知られていません。「母を崇拝している」という達哉に、自分が父違いの姉だともし知られると、三井家の平和で幸せな家庭が壊れてしまうので、陽子は極力達哉を避けるのですが、彼はその直情的な行動でどんどん陽子に接近してきます。

一方、陽子には新しい友人ができます。明るく元気な友人の名前は「順子」。彼女は徹に恋をしていて、それは「北原」・「徹」の2人から愛されながらも自殺未遂以降、心を閉ざしていた陽子に少しずつ影響を与えていきます。

そして、4人で支笏湖へ遊びにいった後、そこでの徹と北原の会話からある可能性を考えてしまった順子は、陽子へと手紙を出します。そこに書かれていた事実は陽子に衝撃を与えるもののでした・・・

部屋主の感想

今巻で「氷点」シリーズはラストを迎えるわけですが、ここまで以上に実に示唆に富んだ内容となっています。いよいよ「罪のゆるし」という壮大なテーマへの著者の挑戦が表現されています。

全体的な物語的な流れとしては前半部は大して重くありませんので部屋主はそんなに好きではありません。ようは達哉が徐々に陽子の正体にせまっていく感じです。それはそれで楽しむべきところなのでしょうが、どうにもこの達哉が好きになれないので、いまいちでした。

後半も物語的には強引かつそれでいいのか的な展開でいまいち好きにはなれません。とはいえ考えさせてくれることに関しては相当なものがあります。

啓造は相変わらず、他人の言動(おもに陽子や順子)から自分のとった行動を反省しまくってます。特に、ある人の出生の秘密を知った後に、自分を酷い人間だと認め、彼女にも詫びねばならんと思うあたりは実に良いです。

でもその後も、何度も何度も憎しみの芽が出てきて、その度に客観的に自分を考え自己嫌悪して悩むあたりもまた人間らしくて素敵です。京都での、とても誠実なお爺さんとの邂逅場面や、枯山水を見たときの感想(全ての存在の意義と使命とつながりについて)なんかもなかなか気に入ってます。

今巻の特徴としては、夏枝があまりムカつかないというのもあったりします。特に成長は見られず、相変わらずわがままなのですが、それゆえに正論で恵子や啓造を責めるところは胸がスッとします。罪を犯した人間はしっかり責められるべきだと部屋主は思っているからです。

さて、次は恵子ですが、彼女は夫を裏切って陽子を生んだその後、徹が現れるまでそのことをほとんど忘れてのうのうと生きてました。裏切りによって1人の人間を不幸のどん底に落としておいて、自分だけは幸せになる・・・そんなことが許されていいのでしょうか?否、許されてよいわけがない、と部屋主は思います。

この小説の中で、陽子も部屋主の考えと同じように自分を裏切りの中で生んだ恵子をゆすせずに恨み「人間はみにくい」という結論を出します。もちろんそうやって母を憎む自分自身も同様に醜い人間にカテゴライズしてるのはさすがです。

ですが同時に「ゆるさなければならない」、「自分もゆるしてもらわねばならない」とも考えはじめます。ですが、どうやってもわびたりゆるしたりできない自分を「寛容を持ち合わせていない」人間だとも思いはじめるのです。また、ゆるすことの「困難さ」と「不可解さ」という問題、さらには↓でまた述べる「罪の事実」の問題について陽子は直面します。

この後、物語は「愛の有無」、「わびる」ことの清々しさ、「責める資格」、「罪の自覚」、「罪とはつぐなえきれるのか」、「罪のゆるし」といったことへと進んでいきます。

ここでは「自分が正しいと神に祈るパリサイ人」の話が登場します。その聖書の一節から啓造は「自分を正しいと思うこと」の傲慢さを知り、自己嫌悪に走ります。次いで罪の自覚と責める資格に思考が展開し、そしてはそれは「ゆるすこと」つながっていきます。

陽子も同様に、「罪とはつぐいきれるものなのか?」という疑問にはじまり、自分の正当性ばかりを訴える自分の冷たさと醜さの認識し、啓造から教えてもらったヨハネによる福音書8章によって罪の自覚と責める資格について考え、そして「罪はゆるされる以外にどうしようもないのかもしれない」と思うようになっていきます。しかし、「人間同士の不完全なゆるしでは真の解決にならない」と、「真に罪をゆるし得る唯一の権威あるものの存在」へと思考を展開していきます。

実に考えさせられる内容だと思いませんか?ここを読んでくれてる皆様も一緒に悩んでくれると嬉しいなぁと部屋主は思います。

とまぁこんな風に1つの解決が見えたかような感じで物語は幕を下ろします。ただ、部屋主個人としては、少し不満がのこります。なぜかというと、この物語では罪を犯した人間はどうすべきかという答えが提示されていないような気がするからです。陽子、啓造、恵子がコレについて色々と考えていますが、何かしらの結論を出してるように思えません。

罪に対しては、陽子や啓造が思い至った「罪の自覚」や「ゆるし」以外の解答はとりあえず今の部屋主には考えつきませんが、人や権威あるものがゆるしてくれたとしても、それで自分をゆるしていいのとはまた別だと思います。たとえ誰がゆるしてくれても、自分で自分をゆるすのは甘えだと思うし、それによって新たな罪が生まれる可能性がより高くなると考えるからです。

作中で陽子も「たとえあの人がゆるしてくれたとしても、わたしが裏切ったという事実は、厳然としてこの世にとどまっているような気がしてならなかった」、と、「罪の事実」を問題にしています。たとえ誰が許してくれても、罪の事実が消えることはないのです。

となると、罪を犯したものは生涯苦しまねばならんというしんどい事態になるのですよね。そうなると人生とは苦しみだけのような気がしてあれですが、罪を犯したのなら当然といえば当然でしょう。罪を犯したらずっと苦しむというのが部屋主個人としはしっくりきます

とはいったものの、やはりどこかで「ゆるし」、もしくはそれに代わる何かが必要とも思っています。なぜなら罪について苦しむ人間は周りの人間を不幸へと追いやる可能性があるからです。そんなこんなで、結局は啓造や陽子と同じような答えへといきつくような感じなってしまったりという一面ももちろんあったりです。

部屋主は現時点では、自分を含めて色んなことがゆるせない感じの醜い人間です(罪の自覚のある部分では人を責める資格はないですが、それを割り切れないといった感じ。また、自分に罪の自覚のない分野では怒りまくってるという感じです)。そういうわけで、とりあえずは、自分の罪からは逃げずに、苦しかろうともしっかりと考えながら生きていこうと思っています。そして願わくば、人をゆるせる優しさはいつかは持ちたいように思っています。

あと、罪の認識が甘く罪を罪と思わない人といった問題や、「罰」や「裁き」といったことにも特に触れられていない感じがするので、それはそれで残念かと思います。

それにしても、この氷点シリーズの記事は疲れました。否が応でも自分醜さを認識させられますので。なにやら色んなことが書けてない感じがしないでもないですが記事にできてよかったです。自己満足ですいません。

この本の部屋主がグッときた言葉

生まれて来て悪かった人間なら、生まれて来てよかったとみんなにいわれる人間になりたい」by陽子

不義の子として生まれたというどんなに努力しても消えない事実に悩みながらも出した1つの答えです。確かにそう思われる人間になりたいものですね。

長年の苦しみにも意義があった、決して無駄ではなかったという思いだった。~が憎まれるよりは、この自分が憎まれてよかった」by陽子

こう思える陽子はほんといい子だと思います。部屋主のような利己的な人間だときっとなんで自分がこんな目にとの凹むだけのはずですから。彼女のような優しさを持ちたいものですね。

傷つけたいとは思わないけど、人間なんて、つきあってる限りの人間に、傷つける存在じゃないのかなぁ。かすり傷が深傷のちがいはあってもさ」by徹

たしかにその通りです。ならどうすればよいのでしょうか。互いに傷つけないように気をつければよいのでしょうか。それとも傷ついてもいいからしっかり真正面から向き合うのがいいのでしょうか。まぁバランスなんでしょうが。

人を恨むって辛いことよ」by陽子

そうわかっていても恨んでしまうのが哀しい人の性というものでしょうか・・・

あなたさえ幸せになればいいんだ。ぼくはつらいけど、やっぱり祝福しますよ

ネタバレするんで誰の台詞かは書きませんが、男前すぎですよね。部屋主にはとても真似できないカッコ良さです。こんな潔い男になりたいと思いつつも、諦めの悪さも必要だとも思ってたりです。

この巻から部屋主が選ぶ格言

罪を犯すって、恐ろしいことですわ。~心がいつもにごっている、不透明な人間になりましたわ。一つの罪は、さらに自分の心の中に、罪を呼ぶのでしょうね。そして育てるのでしょうね」by恵子

全くもってその通りだと思います。だから人は罪を犯さないように生きなければと思います。ただ、そう思っていても罪は犯してしまうもの。さて、どうすればよういのでしょうか。

人を責める前に、自分たちの落ち度も反省すべきだ」by啓造

確かにその通りなのですが、責められるべき人はきちんと責められるべきだと思います。こう思うのは部屋主は心が狭いのかなぁ。

包帯を巻いてやれないのなら、他人の傷に触れてはならない」by順子の家の格言

その通りかと。カッコいい言葉ですね。

たとえ全財産を施しても、体を焼かれるために渡しても、愛がなければいっさいは無益である」by聖書

何をもって愛とするかはわかりませんが、言わんとするところのものは理解できます。そして己の下心に気づかされ、その不純さに毎度のこと凹む部屋主でございます。

ゆるせない思いというのは、決して幸せじゃないからね」by徹

確かにその通りですね。でもそうは思っていても簡単にゆるせないのが人間というものでしょう。陽子もこの台詞が出る会話を徹としている時点では、母恵子をゆるせないと思っています。

気持ち一つね。問題はその気になるかどうかよ」by辰子

辰子がタバコを止めたときの台詞です。この本のというか、人生における様々なことがこれで解決する気が・・・とはいえ、これが困難であることはいうまでもないですよね。そうなってもなかなか難しいですし。

すべてのこと、相働きて益となる」by順子

だといいんですけどね。様々な困難に見舞われながらも、この考えもとでまっすぐに生きてる順子は素敵です。

愛とは感情ではなく、意志である」by啓造

これは面白い考え方ではないでしょうか。言われてみれば確かにその通りのように部屋主は思いました。人にとってこの意志とは何よりも大事なものだと思います。

あなたがたの中で、罪のない者が、まずこの女に石をなげなさい」by聖書

ヨハネによる福音書8章1節から11節の中の言葉です。姦通(当時の法律では死刑)の現場から引きずりだされた女が、衆人に石で打ち殺されるかどうかの場面でのキリストの台詞です。実に深いです。皆様ならどうしますか?きちんとその女性を罰した後に自分も罰を受けるという案があるのですがどうですかね。

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続 氷点 上

氷点 上」「氷点 下」に引き続き本日も「氷点」の感想です。

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Book 氷点 (続 上)

著者:三浦 綾子
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

部屋主の独断ランク:A

   作品全体ランク:

だいぶネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

自分が殺人犯の娘だと真実を、養母である「夏枝」から告げられた「陽子」は、これまで正しいと思っていた己の中にも存在する「罪」の可能性に気づき打ちのめされます。そして自分を責めたあげく服毒自殺をはかるのです。

幸い、降り積もった雪のおかげで陽子は一命を取り留めることができました。やがて目を開けた彼女を待っていたのは「殺人犯の娘ではない」という事実でしたが、それはさらなる苦悩のはじまりだったのです。

なんと陽子は、夫が出征中の不義の末に生まれた子どもだったのです。不義によってうまれた子という事実は陽子にとって、殺人犯の子どもであること以上に宥しがたいものでした。命は助かったものの、陽子は別人のようにふさぎこんでしまうのです。

一方、「徹」は陽子の実母「三井恵子」と会い、陽子の自殺の経緯を語ります。それにより大きなショックを受けた恵子は交通事故を起こし重症を負ってしまうのです・・・

部屋主の感想

この巻は徹がなかなかに熱いです。事故を起こした徹が、これまで自分が正しいからと人を責めてきたことの苦悩を陽子に語る場面があるのですが、そこなんかが好きですね。部屋主も人を責めるタイプなので共感をおぼえました。

同時に、彼同様に、正しいからと責めることはどうなのかとかなり悩むようになりました(初読当時)。そもそも自分が正しいと思うこと自体傲慢極まりないからです。なのに、責めずにはいられないから→責める→自己嫌悪→責める→自己嫌悪、といった具合のスパイラルに落ちるわけであります。で、どんどん落ちていって未だにそこから抜け出れない感じです。

また、徹に関しては、陽子に母親である恵子を許してあげなさいと言いつつも、自分が夏枝の姦通の結果産まれた子だとしたら、きっと許せないだろうという自己欺瞞に気づくあたりも好きだったりします。

他には、啓造が陽子に聞かせた、なぜキリスト教が全ての人間を罪人だと扱うのかの理由もあたりもいいですね。人は意識にのぼらないだけで、うそを言った・腹を立てた・憎んだ・悪口を言ったといった様々な小さな罪を犯してるというのがソレです。まったくもって部屋主もそう思います。

ここでは、意識できてないというのポイントでしょう。ゆえに意識するためにはしっかり考えることのできる能力を養わなければと思います。ただ、罪を意識すると人生辛いことだらけな気がするんですよね。部屋主の場合、何をやるにしても罪の意識を感じてしまって、かなり生き辛いです。

だいぶマシになったとはいえ、夏枝のムカつきっぷりは健在です。陽子が「佐石(殺人犯)」の娘でないとわかったのでいじめはなくなるのですが、陽子が自殺騒動の後にふさぎこんでる様を、まるで自分を責めてるようだとイライラしてるあたりは何様だと思いますね。自分が原因を作り、自分でそこまで追い込んでおいて・・・ほんとコイツは舐めてますね。

「続」のテーマの「ゆるし」に関してはまたラストになる次巻でまとめてつぶやきたいと思います。

この本の部屋主のグッときた言葉

殺人犯の佐石の子として生まれたほうが、よかったとさえ、陽子は思った。佐石夫婦に、喜びを持って迎えられた命のほうがましだった。少なくとも、裏切りの中に生まれなかっただけでも、しあわせのような気がする

どっちの方がシアワセなのでしょうかね・・・実生活上なら殺人犯の子どもの方が苦しいとは思いますが。というか裏切りの中で子どもを産む親が少なくことを祈ります。

人間って、じっと身動きもしないで山の中にいたとしても、本当にどうしようもない、嫌なものをもっているとわかったわ」by陽子

だと部屋主も思います。わかると陽子の辛さが伝わってくる思います。皆様はどうでしょうか。

とにかく人とかかわることがこわいのよ。どんなふうにつきあっても、結局は傷つけてしまうような気がするんですもの」by陽子

一瞬自分自身の言葉かと思ってしまったりです。自分が傷つくのは嫌です。でもそれ以上にヒトを傷つけることが怖いです。ただ部屋主はヒトを傷つけずにいられないタイプの人間だったりするので非常に困ります。

この本から部屋主が選ぶ格言

自分で自分を叱ればいいのに。自分に甘い人間に限って、叱られてみたいなんていうのよ」by辰子

だと思います。だから自分にはできる限り厳しくいきたいと思っています。ただ自分に厳しくいくと人にも厳しくなるので困ったものです。しょせんは自己満足なのに人を巻き込んでしまう・・・やれやれです。

ゆるすって、人間にできることかしら?」by辰子

ほんとそう思います。とはいえ、これができればどれだけの争いが減ることか。ただ、世の中には許してはいけないこともあると思うんですよね。となるとますます難しく・・・ううむ。

考えてみると、人間関係はかなりあやふやなものの上になり立っている」by啓造

確かにその通りですよね。あやふやなものの上に、さらにあやふやなものを重ねてるのが人間関係なのだから、脆いのは当然といえば当然ですよね。だからこそ人は誠実にせねばならんのでしょう。そう思います。

「わたしたちは若いのよ。若い者は潔癖な怒りを知らなければいけないと思うの」by陽子

自分のの出生に関して肯定しようとする徹への陽子の言葉です。部屋主もそうだと思います。他のあらゆることでもそうだと思います。

不幸を知らない人に真の幸せは来ないわ」by順子

そうであって欲しいと思うのは部屋主の心が狭いからですかね。

時効は法律上の問題よ。良心に時効があってはならないと思うの」by恵子

陽子のことを徹に知らされ、自分の忘れていた罪を思い出し、自分を責めはじめた恵子を、徹が慰めようとしたときの恵子の返事です。まったくもってその通りだと思います。

仕方がないから許すということではないと思うの」by陽子

そう部屋主も思います。この世には決して許してはいけないものもあると思うからです。

自分1人ぐらいと思ってはいけない。その1人ぐらいと思ってる自分に、たくさんの人がかかわっている。ある1人がでたらめに生きると、その人間の一生に出会う全ての人が不快になったり、迷惑をこうむったりするのだ。そして不幸にもなるのだ」by夏枝の父

祖父が陽子に言った言葉です。実に含蓄のある言葉ですよね。その通りだと思います。だから人はしっかりと考えて行動せねばならないと思います。

一生を終えて後に残るのは、我々が集めたものではなくて、我々が与えたものである」byジェラール・シャンドリ

これも祖父が陽子に言った言葉です。上同様に含蓄のある言葉ですよね。自分が今まで人に何を与えてきたかと思い返すと、傷であったり、迷惑だったりといったろくでもないものしか浮かばない部屋主自身に辟易としますね。

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氷点 下

」に引き続き「下」の感想です。

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Book 氷点 (下)

著者:三浦 綾子
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

部屋主の独断ランク:A

   作品全体ランク:

だいぶネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

大切に育ててきた養女「陽子」が、自分の娘「ルリ子」を殺したの犯人の娘だと知った「辻口夏枝」は、夫である「敬造」と陽子への恨みを抱えならが、陽子を虐めはじめます。

何も知らない陽子は、優しかった母がなぜ自分に嫌がらせするのかがわかりません。それでも陽子は必死に頑張って真っ直ぐに成長していきます。

そんなある日、敬造は海難事故に巻き込まれます。そこで彼は、自らの救命具を他人に譲って死んだ宣教師の行為に心をうたれキリスト今日の世界に惹かれるようになります。それでも敬造は夏枝を許せず、陽子に対しても自然な愛情が持てませんでした。

夏枝も心の揺らぎはあるものの、陽子に対する憎しみを消すことができません。そして、陽子が中学を卒業する時、彼女が卒業式代表として行う答辞を白紙にすりかえるとという行為を犯してしますのです。

家族の中でただ1人、長男の「徹」だけが陽子を心から愛していました。けれど、その想いが男女の間のものであると危険を感じた徹は、友人の中でも信頼のおける「北原」を陽子に紹介することを決めます。

次第に近づいていく陽子と北原に嫉妬する徹、そして夏枝・・・それはやがて陽子の出生の秘密の暴露へと続いていくのでした・・・

部屋主の感想

実に考えさせられますね。この巻は海難事故から生還した敬造がキリスト教に惹かれるところからはじまるのですが、そこでまず考えさせられます。

荒波の中からなんとか生還してきたものの、夏枝への憎しみが消えずにいる自分を敬造は責め続けます。なぜかというと、こういう醜い感情にとらわれている自分が生き残って、他人に救命具を譲って死んでいったこ素晴らしい心の持ち主である宣教師が死んでしまったことがわびしかったからです。

よくわかりますねこういう感情。部屋主もこういう風に思うことがよくありますので。友達が病死したり自殺したときはつくづくそう思ったものです。

敬造に関しては他にも夏枝と村井を疑うその弱さも似てたりするんですよね。部屋主もこういう風に疑心暗鬼になるタイプなので。ただまぁ証拠を掴んでるのにこの態度はいかんと思いますね。

徹が父と母の秘密を知った時の反応はいいですね。正論でもって2人をやり込める辺りが素敵です。敬造と夏枝の醜さがよくわかります。他にも、陽子が好きなあまりに北原を紹介したけれど、それを悩む姿がまた素敵です。

にしても夏枝のムカつき具合は相変わらずです。村井から少し距離を置くのも、村井に近づくたびに、ルリ子が殺されたり、敬造が事故に巻き込まれたりととろくなことがないといった理由だからです。ちゃんと反省しやがれと思います。

陽子に対する仕打ちも実に陰険ですし。北原を誘惑するあたりほんとに最低です(これおぴしゃりとやり返した北原は素敵ですね。部屋主だったらしてやられてる可能性大ですが)。

陽子に関してはとにかく良い子すぎてちょっとひきますが、やはりホロリとくることが多いです。答辞がすりかえられたときときの返しはお見事でした。こういう臨機応変な人間になりたいものです。

そしてこの小説のメインテーマである「」の問題ですが、非常に重いです。陽子は自分がずっと正しいと思っていたから、どんな時でも頑張ってこれました。しかし、自分の中に罪の可能性を見出しとき、彼女は立つ場所を失い、ある行動をとることになります。

部屋主は決して正しい人生を歩んできたと誇ることはできませんし、陽子のような出生に関することもないですが(たぶん)、自分の中の罪を発見して以来、もう何年も自己嫌悪の渦の中にいます。そう考えると、陽子がその行動をとってしまうのも仕方ないと思います。

この罪に関する答えは、次の「続・氷点」へと持ち越されますので、今回の感想はこのへんで。

この本の部屋主のグッときた言葉

愛するというのは・・・・・いったいどうすればいいんだ」by敬造

陽子をなんとか愛そうとする敬造が、陽子を初めて「抱っこ」し、妖しい魅力を感じてしまったときの自嘲です。ほんとどうすればいいんでしょうね。部屋主もこういうのがわからない人間なんで・・・愛って何なんでしょうか・・・

ゆえに、簡単に「好きだ」だの「愛してる」だのとというヤツはきっと詐欺師が嘘吐きだと部屋主は思っております。で、こういう言葉を簡単に口にする人間に方がもてたりするんで凹んでたりです。

責任感が強いというのとはちがっている。小心者なのだ」by敬造

つくづく部屋主と敬造って似てるんですよね。こう思うところもそっくりです。責任感が強い人間だと思ってたけど実際は小心者だったということを、ここで再確認させられて凹んだものです。

結局は、その人もかけがえのない存在になりたかったのだわ。もし、この人を誰かが真剣に愛してくれたなら、その人は死んだろうか」by陽子

退院間近、全てが虚しくなって死んだ敬造の患者「正木次郎」をおもっての台詞です。彼の遺書には「結局人間は死ぬものだ。正木次郎をどうしても必要だといってくれる世界はどこにもないのに、うろうろと生きていくのは恥辱だ」とありました。この死で敬造と陽子は色々と考えるのですが、そこも実に考えさせられます。

変わるとも変わらないとも断言できませんよ。今は一生変わらないつもりでいますけれどもね。あくまで、つもりですよ。でも口に出して永遠に僕の気持ちは変わらないなんて言えないなぁ。だから結婚の約束も僕はしませんよ」by北原

部屋主もこう考えて生きてます。これが誠実だと考えているからです。この小説では陽子は北原のこの態度を誠実だと思いました。部屋主もこれを実生活で実践してますが、普段から誠実でない人間だとダメみたいです。

この本から部屋主が選ぶ格言

「写真なんか見たってその女性の何がわかりますかね。会って見たって、わかりゃしませんよ。三ヶ月や半年ぐらいつきあったって、お互いにごまかせますからね。いいとこばかり見せ合うようですからね。~結婚して何十年たってもわからない。人間ってそんなところがあるんじゃないですか」by村井

高木からお見合い勧められた村井がその返事として出した台詞です。実に面白いですね。確かにその通りだと思いますし。だから村井は結婚なんてこんなもんでいいと、面識のない女性と結婚するのですが、やはり部屋主は本当にじっくり考えてから結婚はした方がいいかと思います。

なぜなら離婚した場合、当人同士はよくてもその子どもが非常に迷惑がかかるからです(まぁじっくり考えた上でしても離婚はあると思いますが、やはりこっちの方が確率は下がると思います)。部屋主はバイトがらそういう子どもたちと接する機会があるのですが、親が離婚してる子どもたちが問題を抱えてることは多いです。

そういうわけで皆様結婚はよく考えてお願いします。

自分が悪くなったのを人のせいにするなんていやだったの。自分が悪くなるのは自分のせいよ。それは環境ということもたしかに大事だけれど、根本的にいえば、自分に責任があると思うの」by陽子

いやまったくその通りですね。同じように劣悪な環境にいても曲がる人と曲がらない人がいるわけですから。あらゆることは自己責任、そう思って頑張りたいとこです。

自己中心とはなんだろう。これが罪のもとではないか」by敬造

でしょうね。でもこれをどうすればよいのでしょうか。難しいです。

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氷点 上

年末から読んでる「氷点」シリーズですがようやく読了しました。

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Book 氷点 (〔正〕 上)

著者:三浦 綾子
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

部屋主の独断ランク:B

   作品全体ランク:

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

昭和21年7月21日、夏祭りの昼下がり、辻口病院院長夫人「辻口夏枝」は、青年眼科医「村井靖夫」と、自宅の応接室で向き合っていました。村井の手が夏枝の肩へと伸びます。抵抗しながらもまんざらでない夏枝。

そんな時、3歳になったばかりの夏枝の娘「ルリ子」が応接室へと入ってきました。夏枝は慌ててルリ子を外へと出そうとします。「おかあちゃまも嫌い」、そう言ってルリ子は1人で出て行きました。その後、夏枝と村井は互いにすれ違い、村井は帰っていくことになります。

物静かで優しく信頼できる夫「辻口敬造」が帰宅し、夜になってもルリ子は戻ってきません。翌朝、河原で発見されたルリ子は無残にも扼殺されていました・・・

犯人は「佐石土雄」。苦痛ばかりの人生に疲れきっていた佐石は、たまたま出会ったルリ子を衝動的に殺害し、逮捕された後、留置所で自殺しました。

敬造の憎しみは、ルリ子を外へ出すきっかけを作った、夏枝と村井へと向かいます。同時に頭の中を「汝の敵を愛せよ」という教えが駆け巡ります。悩んだ末に敬造が選択したのは、生まれたばかりの佐石の娘を養女として育てるというものでした。この事実を知ったときの夏枝の苦しみを想像しながら・・・

事情を知らずに、夏枝は佐石の娘を「陽子」と名付け自分の娘として、ルリ子の分まで精一杯の愛情を込めて育てます。長男である「徹」も陽子に暖かく接し、彼女は明るく素直な少女へと成長していきます。けれど敬造だけは無心に陽子に接することができませんでした。

けれど陽子が7歳になったある日、夏枝は陽子が殺人犯の娘である経緯を知ってしまいます。そして夏枝は敬造と陽子への激しい憎悪を込めて、何も知らない陽子の喉へと手をかけるのです。

部屋主の感想

実に考えさせてくれる作品ですね。粗いところはけっこうあるのですが、それを補って余りあるほど考えさせてくれます。ただこの巻はまだ最初ということあってが以下に続く巻と比較するとやはり劣る感じがしますね。

というか、とにかく夏枝がムカつくんですよね。自己中心的な考え方しかしないし、成長はしないしで。敬造みたいないい旦那(こんな良い夫は滅多にいないと思う)がいるのに村井と遊んでるのも腹立ちますしね。

何よりムカつくのが、ルリ子が死んで49日もまだなのに、寂しいからと敬造に赤ちゃんをもらってきて(夏枝は子どもをもう産めないので)と言うところと、再び村井に迫られてる場面は反吐が出ます。

自分のせいで娘が死んだことに対して悩みもしないで、そこから逃避しようとするその思考方式が許せません。きっちり自分と向き合えといいたい。自分のとった行動の責任くらいとりやがれって感じえす。

その点、敬造は素敵ですね。何につけれも必要以上に悩んでる感じがして、部屋主とよく似てるのですよ。かなりな共感をおぼえます(前にこの本を読んだ6年前は最低の鬱状態の時で、この小説のおかげでもっと落ち込んだものです。で、その後の部屋主はこの小説に影響を受けてるので似てくるのは当然といえば当然かもですが)。

犯人である佐石よりも自分の方が劣る人間ではないかと悩んでみたり、本気で「汝の敵を愛せよ」という命題について悩んだり、それでいて夏枝への憎しみで養女をひきとってしまったりと、非常に人間臭くて。ただこの村井よりも犯人よりも、愛していた夏枝の裏切りが敬造には耐えられず、より大きな悲劇を生んでいく様は読んでいて心が痛いです。

他にも、陽子の優しさをみて自分がいかに非道なのことをやったのかと落ち込んだりするあたりもいい感じです。とはいえ、夏枝と村井の関係をはっきりと問い詰めない態度は少々イラついたりもしますが。

あと、夏枝のイジメに耐える陽子がいい子なのがベタですがグッときますよね。

この本の部屋主のグッときた言葉

光を失って、ながめる全ては暗黒であった

ルリ子が死んで間もないのに、再び訪れた村井に夏枝がキスマークをつけられたのを見つけた敬造の心象です。

これの前の「夏枝の背信が、敬造の生きる希望を奪ったのだ」や、続く「夏枝を殺して、共に死のうか」という敬造のつぶやき、そして「生きる責任、行き続ける責任が、多かれ少なかれ、社会人として敬造にも負わさせれていた」あたりも読んでいて痛いですね。

最近の世の中は、こんな風な背信に満ち満ちていると感じます。人を裏切るということはどれほどの苦痛を生み出すかということを、もっと考えねばならんと思いますね。

この本から部屋主が選ぶ格言

大ていことはできますよ。しかし自分の敵を愛することは、努力だけじゃできないんですね」by敬造の師匠(夏枝の父)

これができればこの世から争いがだいぶ減るんでしょうね。でもきっと無理でしょう。そもそも敵を愛する必要があるのかも問題ですよね。難しいです。

過ぎ去った時間だけは神でも取り返すことはできない」by夏枝の読んだ本

神様がいるかどうかは知らないけれど、過ぎ去った時間を人間が取り返すことは不可能でしょう。だからこそヒトは現在に責任をもって行動しなければならないと思います。

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モノレールねこ

知人にプレゼントした本です。その人が喜びそうな内容かつ自分が読みたいと思った本をチョイスしました。どうやら気に入ってもらえたらしく貸してくれました。

部屋主は帯にあった「時をこえて届くあの頃からの贈りもの」というキャッチフレーズにやられてこの本を手に取りました。そういうのがツボなものでして。

モノレールねこ Book モノレールねこ

著者:加納 朋子
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

部屋主の独断ランク:A

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

「モノレールねこ」

小学5年生「サトル」が家に帰ると不細工なデブネコが縁側で昼寝をしていました。以来デブネコはサトルの家にやってきてはくつろいで帰っていきます。そんなデブネコに愛着を持ち始めたある日、デブネコはネコ嫌いの母の怒りを買ってしまい、遠くに捨ててこられることになってしまいます。

けれど1週間後、デブネコは何食わぬ顔で帰ってきてたのです。しかも首に赤い首輪をつけて。それを見たサトルはいいことを思いつきました。そして、デブネコの首輪に手紙を挟んだのです。「ねこのなまえはなんですか?」と。

返事は「モノレールねこ」の一言だけでしたが、嬉しくなったサトルは次の手紙を出し、デブネコを通しての奇妙な文通がはじまったのです。相手は「タカキ」という隣町の小学5年生で、会ったこともないのにいつの間にか2人は親友のようになっていました。そして、サトルは「今度一緒に遊ぼう」と手紙を出したのですが・・・

「パズルの中の犬」

優しい夫と趣味であるパズルを楽しむことのできる素敵な環境で生活しているにもかかわらず、どこか寂しくて満たされない日々を送り、「待つ」ということがなぜか苦手な専業主婦の「私」は、フリーマーケットで老女から「白いパズル」を購入します。

3000ピースもあるのに何もプリントされていない真っ白なパズルに取り組みはじめた私は、それ以来誰もいないはずの空間なのに何かがいるような奇妙な感覚をおぼえはじめます。その正体がわかったのは白いパズルをつくっている最中でした。

なんと何も描かれていないはずのパズルの中に白い犬が現れたのです。しかし私は、優しい夫に迷惑をかけてはいけないと相談できず、あまり良い母親ではなかった母にも相談できませんでした。結局、叔母に会いにいった私は、偶然そこであの白い犬に見つけるのです。写真の中で微笑む3歳くらいの私の横で・・・

「マイ・フーリッシュ・アンクル」

中学生の「夏澄(カスミ)」は、部活の夏合宿中に先生から呼び出されます。海外旅行中のの家族(祖父・祖母・父・母)が宿泊していたホテルの火事で全員死んでしまったのです。

彼女に残されたのは、父の年の離れた弟「テツハル」でした。ただ、このテツハルは祖父母(彼から見ると両親)や父から甘やかされて育ったために、30歳になっても家でゴロゴロしてる上、1人では何もできない典型的なダメ人間なのです。

テツハルに腹を立てたり大喧嘩しながらも、どこか憎めずになんとか生活していたある日、水に濡れてくしゃくしゃになった一通の手紙が届きます。そこには・・・

「シンデレラのお城」

1人でいることに何の苦痛も覚えずに30代も半ばを過ぎた「スズ」は、周りのからの早く結婚しなさいといったたぐいの言葉にうんざりしていました。そして、同じようなことで苦労していてる今年40歳になった知人の「ミノ」とお互いの利害が一致し偽装結婚することになります。

ただ1つ奇妙なことは、ミノは10年前に事故でなくなった彼女「瑞樹」の幽霊と同居しているということです。とはいえ、スズには何もみえないので特に意識することもなく、傍からみると円満な夫婦生活が始まるのです。

スズ・ミノ・瑞樹の3人でディズニーランドのシンデレラ城を見に行ってたりしてしているうちに、スズにも瑞樹の存在がわかるようになりました。そして、瑞樹が子供を生んだことも知覚できるようになったのです。

生まれた子供の名前は「貴樹」、瑞樹は「スズにも関係のある名前よ」と言うのですがスズには覚えはあったけれども誰かまではわかりませんでした。翌日スズは貴樹のことを調べに実家に帰るのですが、そこで記憶の紐が解かれ・・・

「セイムタイム・ネクストイヤー」

30代も後半になってようやく授かった娘を、不治の病によってたった5歳でなくしてしまったことにより生きる気力を失ってしまった「女性」は、気晴らしに旅行でもという夫に、1人である場所へ行きたいと申し出ます。

それは娘の七五三の時に、めいっぱいのおめかしと贅沢をした思い出の詰まったホテルでした。そこで女性は娘のお気に入りの服を着た少女の後ろ姿を見つけ追いかけます。けれど少女に追いつくことはできませんでした。

その後、女性はホテルのバーテンダーから、このホテルが、年に一度だけ亡くなった人に再会できる「黄昏ホテル」と呼ばれるホテルであることを知るのです。しかも年に一度だけ現れるという死者の霊は毎年成長するというのです・・・

「ちょうちょう」

ラーメンオタクの「俺」は、有名ラーメン店「蝶々」を経営する叔父に2号店の店長をやらせてくれと願い出ます。叔父の店で2号店が開店になるまでみっちり修行した俺は、バイト募集でやってきた「鳥居恵」に恋をします。開店した2号店の売り上げも上々で、まさに人生順風満帆です。

けれど、チンピラがやってきて恵にからみはじめるのです。それをもう1人の店員で叔父の姪っ子に当たる「北岡蘭子」と止めるのですが、以来徐々に客足は遠のいていきました。原因はネット上の中傷誹謗です。

さらに叔父の片腕として働いていた「上田」がポッと出の若造に店長の座をとられたのを悔しがってることがわかり、俺は店を去ろうとするのですが・・・

「ポトスの樹」

ロクデナシの父親にずっと苦しめられてきた「俺」は、早く自立するために必死で勉強していい学校に行きいいところに就職しました。次に父親に会うのは葬式のときだなんて思いながら。

しかし彼は忘れていたのです。その前に結婚式があるというものを。婚約者は父親の極悪非道っぷりを聞いても笑っていられるほどのお嬢様です。これに困った彼はとっておきの話をします。それは、幼い頃、溺れて死にかかってるときに父に見捨てられたことでした。

すがの婚約者もこれにはまいりましたがそれはそれで結婚式には呼ぶことになりました。そして、彼に子供(父親にすれば孫)が生まれたころ、父が父のことについて語りはじめるのです。そこには彼の知らない驚きの事実が・・・

「バルタン最後の日」

公園の池に住む「ザリガニ」の俺は、「フータ」という小学生に釣られてしまい、彼に家に飼われることになります。最初は嫌がっていた「お母さん」が頑張ってくれたこともあり、なかなかに快適な生活を送っていました。

一見平和に見えるこの家族にも様々な悩みがあり、バルタンの脱皮をきっかけに、お母さんもは自分も脱皮すると変わりはじめました。フータもお父さんもなぜお母さんが脱皮したかわかってませんでしたが、全てを見ていたバルタンだけは理由を知っていました。そして・・・

部屋主の感想

「モノレールねこ」の感想

話自体はなんのヒネリもなく退屈なのですが、やはりこういう話には弱いです。何よりデブネコのふてぶてしさが可愛すぎます。まるで確信犯のように母に嫌がらせをしたりする当たりニヤニヤものです。そういう光景が用意に想像できます。

さらに、そういうモノレールねこに対するサトルの反応も小学5年生のようでいて、そのくせ妙にクール(シュールの方が正確かとも)で面白いです。

話は短いし部屋主の好きなどんでん返しもないですし、必ずしもハッピーな感じはしないけれども、それでも読むとほのぼのとした気持ちになれる良い物語かと思います。独断ランクはBですね。

「パズルの中の犬」の感想

面白い、面白くないと問われると、面白くはないと答えるでしょう。なせ犬が現れたなども明確ではなく推測しなければならないのもちょっとあれかと思います。でも好きです(部屋主がパズル好きってのもあるかもですが)。

中でも主人公の「私」が言った「私がパズルのピースで必死に埋めていたのは、遠い昔の心の隙間だったのかも知れない」のところは妙に気に入っています。彼女が「恐れ」を振り払ったところも素敵です(部屋主にはまだまだできないことです)。

これも短い物語ですが、1人の女性が過去と向き合い未来へと踏み出した姿が描かれているよいお話だと思います。独断ランクはBですね。にしても久々にパズルがやりたくなりました(やるスペースが部屋にないけど・・・)。

「マイ・フーリッシュ・アンクル」の感想

家族をいっぺんに亡くし、役立たずでニートのオジサンと同居になるといった悲惨な話なのですが、それを感じさせないくらいに笑ってしまうという意味で面白いです。テツハルをリアルに想像するとキショいですがディフォルメするかかなり可愛らしいです。

そのオジにたいしての「夏澄」のシュールさがまたたまらんです。とはいえ、家族がいっぺんに死んでも泣きもしないのはどうなのかと思ってたら(部屋主なんか事故で死んだイトコを思い出して顔しかめながら読んでたので)、しっかり描いてくれてよかったです。

特に「私は、変えないことで護ろうとしていたのだ。とてもとても大切な、何かを。ここで前と同じように生活していたら、みんながひょっこり帰ってくるような気さえしていたのかもしれない」の部分はホロリときました。大切な人を何らかの形で失った人はみんなはこういう風な思考になるでしょうねぇ・・・ってことで独断ランクはAでいきたいと思います。

「シンデレラのお城」の感想

どうにも気に入りません。オカルティックな話は大好きですし、こういう話があってもいいとは思います。なのにこのラストはいただけません。全部が台無しな感じでした。

とはいえ、部屋主は結婚したくない派の人間なので、ここに登場する偽装結婚という着眼点は面白いと思いました。日本社会だとここで書かれているように結婚してない人は社会的に問題ありと思われたりしがだったり、血縁からのつきあげがうっとおしいのでこの発想で乗り切れるかもです。

あと、タイトル自体が物語の伏線となっている構図や、スズが結婚しなかった潜在的な理由なんかは部屋主もそう思ってる人間なので好きですね。なので独断ランクはCくらいにしたいと思います。

「セイムタイム・ネクストイヤー」の感想

どこかで同じような話を見たり読んだりした感じがするのですが、こういうのはツボです。ホロリときました。特にラストはベタだけどこれしかないという終わり方で満足しました。

特に「奇跡というものは、案外ちょくちょくと起こるものでございますよ・・・割合に身近なところで」はたまらんですね。グッときましたね。一見すると他力本願的な言葉ですが、この物語の文脈で使われるとそうでないあたりが素敵さをより一層強めます。

わずか16Pですがいいものはいいですね。独断ランクは文句なくAです。にしても「失われた思い出と追憶のための場所」、こんなホテルが本当にあれば流行するんだろうなぁ。

「ちょうちょう」の感想

いや~これもベタだけどいいお話ですね。ラーメン好きで単純な「俺」と、何気に優しくユーモアのある「蘭子」がいい味だしてますね。独断ランクはBです。

「ポトスの樹」の感想

物語的にはたいしたことはないのだけれど、父親のロクデナシっぷりが笑えます。ただどうにも好きになれないのは部屋主の家庭環境に問題があるからでしょうか。

それもあるでしょうが、おそらく普段悪いことをしてる人がちょっといいことをしたからといって、それが帳消しになるというわけでもなく、普段いい人間がしたときよりももてはやされる心理効果があるのが気に食わないのもありますね。

また、父の語った話にしても、関わってる人や状況がまったく違うので比較対象にはならないと思うし、冷静に対処すればどうとでもなることに、このシュールな「俺」が気づかないのもちょっといただけませんね。なので独断ランクはDくらいにしたいと思います。

「バルタン最後の日」の感想

いや~よかったです。まさかあんな展開になるとは。バルタンカッコよすぎです。特にあれに向かっていくあの場面の「冗談じゃない」からはじまる一連の台詞はたまらんですね。他にもあのクールさはたまらないです。うちにも是非とも欲しいと思ってしまいました。

でもって、バルタンのおかげで変わった家族がどうなるかが描かれていればとも思う一方で、あの終わり方がベストのような気もしないでもなどと思ってたりです。

とにかくバルタンの男っぷりとそのシュールさに敬意を表して、独断ランクはAでいきたいと思います。そういやだいぶ前に読んだので内容わすれましたが、「我輩は猫である」もこんな感じじゃなかったかな。

あと、表紙や、それぞれの物語の扉絵が素敵です。どうやら菊池健さんという人が書いてるそうなのですが気に入りました。

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ハル-2

昨日に引き続き「ハル」のあらすじと感想です。

ハル Book ハル

著者:瀬名 秀明
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

部屋主の独断ランク:

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

機械と人間を結ぶ、切なくも考えさせられる「あした」を描いた物語が5編収録されている短編集です。それぞれの短編の間には「WASTELAND」という数Pから成る連作短編が挿入されています。

「亜希への扉 心の光陰

雪のちらちらと降る夜、細々と「ロボット・コンサルティング」を営む「良祐」の店に、1人の女の子が駆け込んできます。捨てられていたというロボットを胸に抱えていたその少女は、良祐に直してほしいと懇願しました。

少し悩んだものの、少女の真っ直ぐな瞳の奥の決意を見て取った良祐は、ロボットを治してあげることにしました。元気になったロボットを見て喜んだ少女は「亜希」と名乗り、ロボットに「ロビイ」と名づけました。

それ以来、9歳の亜希は良祐のところでお礼のお手伝いをしながら、ロビイを大事に大事に育てていきました。また、ロビイも彼女の愛情に比例するように成長していくのです。

亜希が良祐のところに来なくなってから2年の月日が流れたある日、彼のもとにロビイに何かあった時に送るように設定しておいた緊急報告メールが届くのです。翌日、大きくなった亜希がやってきました。出会った頃のように壊れて動かなくなったロビイを胸に抱いて・・・

「アトムの子 夢みる装置

ロボット工学者の「竹内」は、「鉄腕アトム」の誕生日である「2003年4月7日」、その日に合わせて開園した「手塚治虫記念パーク」のオープニング・セレモニーに行っていました。工学者であり鉄腕アトムファンである竹内は、セレモニーに登場する鉄腕アトムの「実物」を見に行ったのです。

しかし、発表された鉄腕アトムは、アトムの形はしていたものの、ただよく動くだけの心をもたない木偶の坊だったのです。それを見て愕然とした竹内は、同時に日本人がロボットに持っていた幻想がこれで壊れてしまったことを悟りました。以来ロボット・ブームは急速に萎んでいきました。

それから26年の月日が流れ、ロボットはあらゆるところに溢れるようになりましたが、ロボットの知能と意識の研究はこれといって進んでいません。そんな中、すでに高齢のため退官した竹内は、昔を懐かしむように再び訪れた手塚治虫記念パークで、東大でロボットの認知科学を研究していた「海渡」と偶然再会します。

海渡に誘われて訪問した研究室には、自分と同じように高齢のために一線を退いたロボット工学の分野で活躍していた面々が揃っていました。そして驚く竹内に海渡はこう言うのです。「アトムをつくるんだよ、ぼくらの手でね」と・・・

部屋主の感想

「亜希への扉の感想」

これはきました。亜希もロビイも可愛いです。あらすじでは割愛しましたが、良祐の父親の渋さも非常に光ります。先の短編に出てきたあのキャラのその後も描かれているという演出もいい感じです。

なによりも、亜希の悩み、そして亜希の悩みを知ったことによって発生した良祐の悩みは、これからおそらく来るであろうロボット社会を生きるヒトに必ず発生する類のもので、今から考えておいた方がいいかと思います。

また、それらの重いテーマをホロリとくる物語に詰め込んでいるあたりも凄いです。ということで独断ランクはにしたいと思います。

「アトムの子の感想」

これもきました。実にツボです。一見救いのない物語のように思わせておいて、部屋主が大好きなとある映画と同じように希望を見出せるラストになっています(このタイプのラストに異常に部屋主は弱いです。目から汗が出そうになります)。

ちなみに「この救いがないように見えて最後にはちゃんと希望が・・・」という感想は、この短編集の全体に当てはまる感想かと思います。悲劇も嫌いではありませんが、物語の最後はきっちり、そして希望を見出せるものになってくれてる方が好きだったりしますので。

また、一線を退いた老人が集まって、かつての夢に向かって努力するという物語の構成もいいですね。きっと今後の高齢化社会ではこういうことが起こってくるのでしょう。彼らのように年をとっても夢をみれる、そしてそれに向かって頑張ることのできるような老い方をしたい、そういう風にできる社会を作っていきたいものです。いまはヒッキーだけど。

なにより、「ロボットの心」、「ロボットにとっての正義」といったテーマに悩む人物たちの姿を通して、ここまでの作品と同じように色々と考えさせてくれるところがいいです。他の短編同様、ロボットのことを語りつつ、同時に人間というものについて書かれていますので本当に考えさせられます。けっこう重いですがここまでこの記事を読んでくれた皆様も是非とも一緒に考えてみてほしいと思います。

他にも、ここまでの短編で登場した人物(を示唆する)やロボットが色んなところに登場していたりするあたり、連作としての楽しさもあります。ということで独断ランクは文句なしににしたいと思います。

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