仮面の告白 三島由紀夫

読みました。

仮面の告白 (新潮文庫) Book 仮面の告白 (新潮文庫)

著者:三島 由紀夫
販売元:新潮社
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部屋主の独断ランク:

あらすじらしきもの

「私は無益で精巧な一個の逆説だ。この小説はその生理学的証明である。」女性に対して不能であることを発見した青年が、幼年時代からの自分の姿を丹念に追求するという設定のもとに、近代の宿命の象徴としての〝否定に呪われたナルシズム〟を開示してみせた本書は、三島由紀夫の文学的出発点をなすばかりでなく、その後の生涯と文学の全てを予見し包合した戦後文学の代表的名作である。

感想

面白かったです。

前半は少し退屈でいまいちな感じでしたし、主人公にあまり共感できなかったのですが、知らぬまに作品の中に惹き込まれ、「園子」が登場するあたりからページをめくる手が止まらなくなります。

また、最初の方はそんなにだった主人公の気持ちが徐々に理解できはじめ、考えれば考えるほど深い作品だなと感じました。

特に主人公の死に関する想いや未来の重み、人生に対する義務感、自分を愛してくれるものの愛への嫉妬、あたりは非常に共感できました。というか心に沁みました。

やはり部屋主はかなり重度なナルシストのようです。

そして相変わらず(というかこれが最初になるのかな)の日本語の美しさ。素晴らしいです。

抜粋

空襲を人一倍おそれているくせに、同時に私は何か甘い期待で死を待ちかねてもいた。たびたび言うように、私には未来が重荷なのであった。人生ははじめから義務観念で私をしめつけた。義務の遂行が私にとって不可能であることがわかっていながら、人生は私を、義務の不履行の故をもって責めさいなむのであった。こんな人生に死で肩透かしを喰わせてやったら、さぞやせいせいすることだろうと私には思われた。戦争中の流行でもあった死の教義に私は官能的に共鳴していた。私が万が一『名誉の戦死』でもしたら、(それはずいぶん私には似合わしからぬことであるが)、実に皮肉に生涯を閉じたことになり、墓の下で私の微笑のたねは尽きまいと思われるのだった。その私がサイレンが鳴ると、誰よりもはやく防空壕へ逃げ込むのであった」

愛されているという幸福は私の良心を刺した。私が求めていたのは、もっと決定的な不幸であったかもしれないのだ

こんなわかりやすい仮定にさえ、故意に目をつぶる習慣が私にはついていた。まるで私自身を苦しめる機会を、一つでも見のがすまいとするように。―これは逃げ場を失った人間が、自分を不幸だと考える安住の地へ、自分自身を追い込むときの常套手段である

それは本物の愛だった。私は嫉妬を感じた。養殖真珠が天然の真珠に感じるような耐え難い嫉妬を。それにしても自分を愛してくれる女に、その愛のゆえに嫉妬を感じる男がこの世にあるだろうか?

私は自分が涙を流しえる人間でもあることを知って軽薄な安心を得た

「お前は人間ではないのだ。お前は人交わりのならない身だ。お前は人間ならぬ何か奇妙に悲しい生物だ」

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金閣寺 三島由紀夫

読みました。

金閣寺 (新潮文庫) Book 金閣寺 (新潮文庫)

著者:三島 由紀夫
販売元:新潮社
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部屋主の独断ランク:A

あらすじらしきもの

朝鮮騒乱が勃発して間もない昭和25年7月1日、〝国宝・金閣寺消失〟の報道が世人の耳目を驚かせた。

材をこの放火事件にとり、その陰に秘められた若い学僧の悩み―どもりに生まれついた宿命の児の、生への消しがたい呪いと、それ故に金閣の美の魔性に魂を奪われ、ついには幻想と心中するにいたる悲劇を、鬼才三島が全青春の決算として告白体の名文に綴った普及の金字塔である」(背表紙より)

感想

非常に良かったです。

少し前に読んだ「美徳のよろめき」は全く理解できなかったのですが、この金閣寺の主人公は非常に共感できました。

彼のように「理解されないのが私の存在理由だったのである」などと言える心の強さが欲しい今日この頃です。

また相変わらず日本語の美しさが素晴らしいかったです。

最初の方は多少退屈ですが、友人の「柏木」あたりが登場するあたりから面白くなってきます。

オススメです。

抜粋

自分のまわりのもの凡てから逃げ出したい。自分のまわりのものがぷんぷん匂わしている無力の匂いから

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美徳のよろめき

5年以上前に購入したまま積んであったのですが、掃除したときに出てきたので読んでみました。

美徳のよろめき Book 美徳のよろめき

著者:三島 由紀夫
販売元:新潮社
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部屋主の独断ランク:C

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

生まれもしつけも良く倉持夫人「節子」。

仕事で留守しがちな夫に多少の不満はあるものの、一人息子の「菊夫」にも恵まれ、時折結婚前に一度だけしたキスを思い出すこともあっても、何不自由のない生活を送っていました。

その初めてのキスの相手「土屋」と、肉体関係を伴わない火遊びを楽しんでいた節子ですが、いつしかそれだけでは満足しなくなり、とうとう友人と示し合わせた上で良人を騙し、2人で旅行に出かけ・・・

部屋主の感想

なんかいまいちですね。

部屋主は愛だの恋だのという話を苦手してるかもだからかもですが。

その上、もっと嫌いな不倫がテーマとくるともう気持ち悪くて。

さらに主人公の「節子」が気持ち悪いくらい、部屋主が嫌いな思考をする人間でして・・・

とは言いつつも、読むのが苦痛だったかと問われると、なにやら文章が美しいのでけっこう読みやかったわけでして。

日本語ってこんな綺麗なものなのだったんだなぁと思ったりでした。

もちろん、「さすが」と思わされるような部分も随所にあるので、嫌いなテーマの作品だけれど総合的な評価はCといった感じに落ち着きました。

この本の部屋主の好きな言葉

「土屋は決して未来を誓わなかった。良心的だからなんだわと、節子は思った」

現代女性にこの感覚はわかってもらえないんですよねぇ(しみじみ)

ただ盲目であるとききはまだ救われ易い。本当に危険なのは、われわれが自分の盲目を意識しはじめて。それを楯に使いだす場合である

楯に使わないように気をつけねばと自戒ですね。

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