闇の子供たち

知人が紹介してましたの読んでみました。

闇の子供たち (幻冬舎文庫) Book 闇の子供たち (幻冬舎文庫)

著者:梁 石日
販売元:幻冬舎
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部屋主の独断ランク:A

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

貧困に喘ぐタイの山岳地帯で育った少女「センラー」は、8歳という年齢にも関わらず売春宿へ父親により売り渡されます

そこで、センラーは売春宿の管理人たちにより徹底的に調教され、「ペドファイル(幼児性愛者)」たちの性的玩具として生きていくことになります。

一方、2年前に売られたセンラーの姉「ヤイルーン」は、売却先の売春宿で「エイズ」に感染し今にも死にかかっていました。

タイの社会福祉センターの「レック」「ナパポーン」「音羽恵子」たちは、そういった悲惨の現状を改善すべく日々活動しているのですが、その成果は一向に上がってきません。

そんなとき、売春宿にいる少女からの「エイズにかかった仲間の少女が生きたままゴミとして捨てられた。私もいずれそうなるかもしれない。助けてほしい」との手紙を受け取り、その少女を救うために動きはじめるのですが・・・

部屋主の感想

最近この手の本から離れていたので、実に考えさせられました。

そして「ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記」以来、読んでて胸糞悪くなりました。

物語自体はフィクションですが、この物語を構成する要素はおそらく現実と変わらないのだと思います(というか現実はもっと酷い可能性も)。

↓で何度か触れますが、こういった現実から目を逸らしてはいけないと思います。それゆえに様々な人に読んでもらい、考えてほしいと思います。

ただ、リアリティのために胸糞悪くなる性的描写がかなりありますので、この手の話に慣れてない方は、覚悟を持って読んでください

また、あらすじのところにも書いてるように、ゴミとして捨てられる少女の話などの酷い場面も多々あるので、そういう面でも覚悟しておいてください。

とはいえ、このような悲惨な内容ですが、それゆえという効果もあるか先がどうなるのかが非常に気になります。意外と読みやすい文体も手伝ってか、450Pという長さを感じさせないほどでした。

巻末の解説にもありましたが、このラストも実に考えさせてくる終わり方だと思います。良い悪いは別にして。部屋主は良いでも悪いでもなく、やはりこうだよなぁと感じました。

この本から部屋主が選ぶ格言

タイとカンボジア国境沿いには五十万人ともいわれる難民キャンプがある。その難民キャンプを警備している警備兵が、少女、少年を誘拐して人買いに売り飛ばしているのである

舐めた話ですね。なんとかしたいものです。

エイズに感染した子供は表沙汰にできないので地方に売り飛ばすか、売れないときは闇に葬るしかないのである

闇に葬るとはもちろん・・・

エイズの問題は知っていると言いながら無防備であった。エイズに関する知識を少しでも学んだり、対策を講じようという意識は皆無に近いのである

無知、そして向上心(?)がないのが怖いです。

売られた子供は社会的に抹殺され、この世に存在しないも同然であった。この世に存在しないも同然の子供を探すのは不可能に近かった

戸籍のようなものもないですし。どうしようもないのがやりきれないです。

警察もマフィアと同じ穴のムジナだ。金さえ出せば殺人犯だろうと無罪放免さ

警察が機能していないどころか金で自由になるあたり最低です。「P.I.P(プリズナー・イン・プノンペン)」という小説を少し思い出しました(こちらはこの作品とは別の意味で面白いです)。

かなり厳しい刑罰だが、『売買春禁止法』が施行されて実際に刑罰を受けた者は、いまのところいない。『売買春禁止法』は国連における人権規約や世界の世論に押されて対外的な政府の面子を保つためにつくられた法律であり、内実は最初から有名無実化していたのである

もはや言葉が出ないです・・・

各国の政府と民間調査との数字の大きな隔たりは、この問題の本質が国によって隠蔽されていることを物語っています

これまた舐めた話ですね。

日常の中で日々失われている幼い命の犠牲のうえに成り立っているこの社会そのものが異常でなくて何であろうか

日本の社会も将来世代の負担の上に現在の繁栄があるわけですから、同じように異常でしょう。それが目に見えるか見えないかの違いのような気がします。

金持ちの犬や猫は葬式をしてもらい墓までつくってもらっているのに、貧乏な人間の子供はゴミ処分場に捨てられて生きながら腐っていくのよ。こんなことが許されていいはずがない。わたしはこの年まで生きているのが恥ずかしい。あまりに無力だから

部屋主もこの手の本を読むと、ぼんやりと日々を過ごしている自分が恥ずかしくなります。力が欲しいです。

欧米や日本では、いったいどこにそんな問題があるのかと思っているでしょうけど、それは見ようとしないからです。見ようとしない者には存在しないも同然なのです

部屋主の周囲の人間は見ようとしない人がほとんどです。見せようとすると拒否する人がほとんです。いつも無力感に苛まれます・・・

権力者たちに喰い物にされている援助は結局、民衆のためにならない

もっと援助について日本人は考えなくてはならないと思います。苦しい生活の中から搾取された税金が、他国の貧困に手を貸しているとなると何が何やらさっぱりですので。

義憤がいつまでも報われないとき、運動から離れていくのだ。これまで多くのボランティアが、運動の方向性が見出せない虚しさに諦めて去って行った

部屋主の義憤もいつまで続くのやらです。独りで目を背けずにいるのは何かとしんどいですが、何とか怒り続けていけたらと思います。

それらは見えないのではなく、見ようとしないわたしたちの無関心によって問題が日々拡大し、深刻な状態になっています

この手の本の記事を作るときは必ず目にする「無関心」。どうすればいいのでしょうか・・・

豚や牛は捨てるところがないと言いますが、人間も捨てるところがないですね

ピンときたあたなはなかなかにこういう問題に関心がある方なのでしょうか。そう物語は幼児売春に留まらず、臓器売買にまで発展するわけです・・・

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