罪と罰 1巻

ドストエフスキーの「罪と罰」は大好きな作品なので、それをモチーフにしてる作品ゆえ読み始めました。あと、著者である「落合尚之」氏の「黒い羊は眠らない」という別の作品が好きなので。

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Book 罪と罰 1 (1)

著者:落合 尚之
販売元:双葉社
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部屋主の独断ランク:A

多少ネタバレ注意です

あらすじらしきもの

有名大学へ現役で合格し、文学新人賞の佳作を受賞したこともあり、なかなかの美男子でもある「裁 弥勒(たち みろく)」。しかし彼は、大学をドロップアウトし、暗く狭い自室に閉じこもってすでに数ヶ月が経とうとしています

肥大する自尊心、そして劣等感。その間でもがく弥勒は、ある夜、街で大人しそうな女子高生に声をかけられます。ですが、その女子高生は彼のヒドイ顔を見て逃げ出してしまいます。

その後、弥勒はぼんやりと次々と男に声をかけては断られ続けるその少女の行動を眺め続けていました。そして数人目、彼女は父親程の年齢のサラリーマンとどこかへ行こうとしました。

興味本位と観察のために弥勒もついて行ったのですが、2人がラブホテルへ入ろうとした瞬間、彼は彼女を助けようと邪魔をしてしました。

しかし彼は、自分の取った行動が汚らしい偽善、そして最後まで見届ける度胸がなかっただけと、さらに自分の闇へと落ちていってしまいます。

翌日、ファーストフードで食事をしていた弥勒は、態度の悪い女子高の集団に遭遇します。その最後尾にはなんと昨夜の少女の姿が・・・

今度こそ目を背けずに観察する弥勒。

結果、彼女たちはリーダーである「ヒカル」を頂点にした女子高生の売春斡旋組織ということがわかりました。また昨夜、弥勒に声をかけてきたのは、「リサ」という名で、彼女たちに虐められイヌ以下の扱いを受け、売春させらていることもわかりました。

自分が大学へ行くための金を手に入れるために、地元の金持ちと結婚しようとする姉のために、なんとしても大金が必要な弥勒は、「ある計画」を実行するために、フリーライターを装いヒカルに接近していくのですが・・・

部屋主の感想

かなりいい感じです。帯に日本版「罪と罰」と銘打ってあったので読んでみたかつて映画にもなった「青の炎」よりも「罪と罰」に近い気がします。

部屋主の人格形成にけっこうな影響を与えてるドストエフスキーの「罪と罰」のテイストを今のところかなり上手に現代日本版にアレンジできてるのではないかと思います。もちろんあくまで部屋主にとっては、かつ、かなり昔に読んだ記憶と比較してですが。

というか、今のところ違和感があるのはソーニャとその役と思われるリサの対比あたりくらいでしょうか(この辺は記憶も実は曖昧だったりしますし)。後は許容の範囲内です。

でもって、何がツボかというよと、やはりラスコーリニコフ役の主人公・弥勒でしょう。

「罪と罰」を読んだ当時は、部屋主にもある程度は将来が開けてましたので、「ふーん、そういうこともあるかな」と思いながら読んだのですが、現在は2人とほとんど同じの、自分なら何かできるという肥大した自尊心と、自分の殻に閉じこもっている劣等感に苛まれてるので実に共感できます。

特に、この漫画版「罪と罰」は現代、しかも境遇や考え方がどこか似てるので、すごい自分と重ねてしまってます。まぁ、ドストエフスキー作の「罪と罰」が部屋主の人格に影響と与えるわけだから、当然とすれば当然なのですけどね。

それにしても、金貸し老婆役と思われるヒカルの極悪ぶりがすごいです。頭の回転もいいです、今後の彼女の動向は楽しみです。

また、ヒカルが老婆役だとすると彼女の妹も登場するのかな。今のところ影も形もないですが。こちらも期待と。・・・って、書きながらこの妹役がリサでソーニャ役はまだ登場していないって方がある意味でしっくりくることに気づいたり。これもありですね。

あと、1巻にはまだシルエットしか登場してないですが、スピドリガイロフ役の姉の婚約者が気になるところですね。何気にスピドリガイロフも嫌いじゃなかったので。

色んなところで登場してる馬が何をどう表現または暗示してるのかも気になるところといえばきになるところですね。

もちろん原作を読んでる方は何も言わなくても「あの計画」とはどういうことかわかってるとは思いますが。

さて、8年ぶりに原作小説を読んでみるかな。

この巻の部屋主のグッときた台詞

何をやってるんだ俺は・・・何か立派なことでもしたつもりかよ・・・~略~こんなことは汚らわしい偽善じゃないか・・・・・・・・!」by弥勒

これもよく部屋主が自問自答してることなので、この台詞を読んだ時はゾクっとしたものです。

生きていても他人も自分も傷つけるだけの害虫だ・・・そんな害虫を取りのけたとしてそれが罪になるだろうか?目的の達成は流血があがなうだろう」by弥勒

もちろん目的とは「あの計画」のことです。そしてこれがこの漫画版「罪と罰」の序盤のメインテーマということでしょう。この辺も原作「罪と罰」と設定は違いますが、原作よりも部屋主にはツボりました。

ある意味で「あの計画」に向けて悩みながらも動き出せた彼にエールを送りたいと思います。

君だって本当は分かってるはずだ 認めるのが怖いから見えないフリをしてるだけだ だけどそれで何が守れるって言うんだ!!そうやって自分を守ったとしてもそんなものは・・・そんなものは奴隷のプライドだ!!君は自由になるのが怖いから 奴隷の境遇に甘んじてるだけじゃないか・・・・・・・!」by弥勒

ネタバレ・・・って、弥勒がリサに言った台詞だってのは隠さなくてもわかりすぎですよね。この台詞は彼女だけじゃなく現代日本を生きる大半の人に向かって言ってるような気がするのは部屋主だけでしょうか?皆様はどう思います?

ちなみに部屋主の大好きなゲームである「タクティクス・オウガ」にもよく似た台詞が登場してたりします。

自分を大事に・・・・・・・?偽善者め・・・・・・!」by弥勒

上の台詞は「自分を大事にしろよ」で締めくくられるのですが、その後の弥勒の独白です。部屋主のこうやっていつも思う人間なので、これまた共感してグッときまくってます。

「理由なんてないわ ああいうオドオドした奴・・・弱い奴を見ると無性に苛めてやりたくなる・・・奴らを泣かせるとスカッとするわ 何かひとつ奴らからむしり取る度にこっちが生き返るような気がするわ 麻薬と同じでやめられないの ~略~抜け殻になるまで奪い尽くしてやる・・・!絶望する余力も残さないくらい徹底的に・・・!~略~だとしたら残酷どころか・・・あたしの苛めはリサにとって・・・・・神の慈悲そのものだわ―――!」byヒカル

「どうして君はそこまで残酷になれるんだ?」と弥勒に尋ねられた時の返事です。完全に鬼畜の発言ですが、日本は搾取の上に成り立ってる国だと部屋主は思ってるので、ある意味でしっかりと自覚的に極悪なことをしてると思われる彼女の方がマシかなとも思ってたり。まぁ似たりよったりか。

この巻から部屋主が選ぶ格言

困難を前にして逃げ出せば 後には悔いしか残らない」by弥勒

まったくもってその通りだと思います。困難と思ってもやってみるべし。それが人が生きるということなのだと思います。ただ彼のやろうとしてることは「あの計画」です・・・

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