ヴァンパイア十字界 9巻
最終巻である9巻は、「ストラウス」「花雪」「ステラ」が表紙です。ちなみにカバーを取るとおまけ漫画が毎回あったりします。
とりあえず年内に紹介終了です。
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ヴァンパイア十字界 9 (9) 著者:城平 京 部屋主の独断ランク:S 作品全体ランク:S |
多少ネタバレ注意です。
あらすじらしきもの
至高の王「ローズレッド・ストラウス」の抱える重すぎる真実を知ってしまったブラックスワン「花雪」は、己の浅はかに打ちのめされてしまいます。
殺すべきか殺されるべきか。
殺したくないけれど殺さなくては救えない。
非情にして理不尽な選択を迫れた彼女の選ぶ道は・・・
そして至高の王が千年にも及ぶ長き地獄の旅路の果てに見たものは・・・
部屋主の感想
面白い。けれど読んでいて痛いです。
「蓮火」をして「それ以上の地獄がいったいどこに―」と言わせた道を自ら歩んできたストラウスの現実、そしてあらすじの中でも書いたような理不尽さ。
しょっぱなからどうなるのかホント気になる展開です。
でもって、自動販売機の前での蓮火とのやりとり(↓でも抜粋してあります)が個人的に好きですね。部屋主自身もこのストラウスと同じような恋愛感の持ち主なので、実に共感できます。これってしんどいんですよね。
また、オタク的に夢を見ていたかつての花雪の過去独白も、これまた部屋主もオタク的にヒーローに憧れてる人間なので実に共感できます。
ここまで単純だった花雪が「誰もが正しく、誰もが傷だらけで、単純な善悪など存在しない」ために悩み苦しむ姿は、読んでるこちらも色々と考えさせられます。
「レティ」との本棚の前での会話も好きですね(これも↓で抜粋)。彼女の存在はこの物語の中ではあまり重要なものではないと思いますが、暗くなりがちな展開に一服の清涼剤となってる気がします。
「ブリジット」を口説く「森島」の場面もけっこう好きですね。こういう状況でも軽口を叩ける森島はやっぱりいいですね。
これを受けて少し驚いたり「今以上に美しくなっている可能性を考慮するんだな」と言うブリジットがまた素敵です。
で、ヴァンパイアものなのにここまで一切なかったあの場面ですが、正直部屋主はどうでもよかったりです。ここでこう持ってきたかって印象程度です。
お次は蓮火と花雪の場面ですが、ここもけっこう好きです(台詞は↓)。やはり人の成長は見ていて清々しくなります。バカッぽくて好戦的で荒々しかった最初の面影はもうほとんどありません。
「ビック・モーラ」VSストラウスの場面は、148P、149Pの2Pにまたがるコマが妙に気に入ってます。構図とか壮大な感じが好きなのでしょうか。
同時進行する森島と「GM御前」の会話も好きですね。原作者の言葉回しがいちいちツボです。
で、花雪との決着、エンディングとなるわけですが、ここはやはりホロリときますね。
本誌連載中には描かれてなかったステラとの出会いの場面の、「できなかったことをばかりを数えて、できたことをほめられない余裕の方」のくだりは大好きです。これまた部屋主も同じタイプの人間なので。
ラスト間近のストラウスのあの台詞はもう涙なしには読めないというかなんというか。
色々と書きたいですがネタバレするのでこの辺りで。
あと書きおろしのオマケ漫画「十字界の片隅で」ではタイトルの意味が示唆されてます。カバーを外した時のやこういうオマケ漫画はいいですね。
この巻の部屋主のグッときた台詞
「ストラウスは立派な将軍だったんだろ!?王様だったんだろ!?ずっとみんなのために苦しんだんだろ!?もっと悪い奴がいっぱいいるだろ!?なのにこんなのってないよ!あんまりだよおっ」byレティ
この物語をここまで読んだ人の気持ちを代弁してくれてる台詞かと思われ。少なくとも部屋主はこう思いました。
「頭でわかっていても体が言うことを聞かない 見苦しくて無様でやってられなくてもやめられない それがお前が小松原ユキを本当に思っているからだ 理性で抑えられる想いなど きっと偽者だ なら蓮火 私はどうだ?私は・・・本当にステラを想ってるのだろうか?本当に想っているならとうにこんな状況に耐えられず狂い死んでいるんじゃないか?私のステラへの想いは本物と思う・・・けれど現実に耐えれて生きているのを見れば それは疑わしくある そもそも私には人を想う心なんてもの自体あるのだろうか?自分は最初から心なんてない機械かもしれない 心らしきものは 少しばかり出来の良いプログラムが作っているのかもしれない そんなおぞましい疑問を抱かずに済むなら耐えられない方がずっといいぞ」byストラウス
部屋主も同じように考えている人間なんですよ・・・
「ありがとう あたしは忘れない 教えてくれた全部を 一緒にいてくれた時間を あたしはまだいろいろダメだけど この先ストラウスがどこにいても誰といても 『あれは私と娘だ』って自慢できるようになるから!」byレティ
レティは娘なのでこういう台詞になりますが、部屋主も常々誰かの自慢されるように頑張っていきたいものです。
「今だって赤バラは憎いさ この手で殺してやりたいさ でも憎んで殺してそれだけじゃ何も解決しねえってわかっちまった この五十年 俺は何をしていたんだろうな 好きな女の血まみれの姿ばかり思い出して 一番あいつらしい姿を頭の隅に追いやってたなんて せっかくいい思い出があるのに そいつを忘れてどうするんだよな」by蓮火
罪から逃れるために赤バラを憎んでいた自分の逃避に気づいた蓮火の言葉です。色々と考えさせてくるよい台詞かと思います。
続いて、ラストのストラウスの台詞を抜粋したいところですが自重します。気になった方はご自身でお確かめくださいませ。
「ここはいい世界だ」byストラウス
あれだけの地獄を見ながら、穏やかにこう言える彼は素敵ですね。
長かったレビューもこれで終了です。お付き合いくださった皆様に感謝です。
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