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最初の哲学者 柳広司著

「ジョーカー・ゲーム」や「ダブル・ジョーカー」が面白く、「ぼちぼち」の「ちきちき」さんの評価もよかったので購入しました。

最初の哲学者 Book 最初の哲学者

著者:柳 広司
販売元:幻冬舎
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部屋主の独断ランク:B

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

偉大な父を超えるには狂うしかなかった(「ダイダロスの息子」)。

この世でもっとも憂鬱なことはどんなことだろうか(「神統記」)。

死ぬことと生きることは、少しも違わない(「最初の哲学者」)

世界は、“語られる”ことではじめて、意味あるものになる(「ヒストリエ」)。

13の掌編から解き明かされる、歴史を超えた人間哲学。

ギリシアをモチーフに、吉川英治文学新人賞・日本推理作家協会賞をダブル受賞の著者が満を持して放つ、文学の原点であり極上のエンターテインメント

収録 ( )内はその章の主人公

・オイディプス

・異邦の王子(スキタイ王子アナカルシス)

・恋(アリアドネ)

・亡牛嘆(ミノタウロス)

・ダイダロスの息子(イカロス)

・神統記(ゼウス)

・狂いの巫女(クリュタイメストラ、カサンドラ)

・アイギナの悲劇

・最初の哲学者(タレス)

・オリンポスの醜聞(へパイストス)

・ソクラテスの妻

・王女メデイア

・ヒストリエ(ヘロドトス)

感想

上記の2作とまったく作風は違いますが面白かったです。

神話とか好きですので知ってる話も多かったのですが、作者独自の切り口のものもあり、とても楽しく読めました。

あと、全編非常に読み易かったです。

以下、各章の感想。

・オイディプス

院生の頃、西洋古典文学時にけっこう詳しく読みこんだ作品。

特に目新しいことはなかったですね。

・異邦の王子

これは知らない話。

特に何が・・・ってことはありませんでした。

・恋

皆様もご存じな話かと。

こういう切り口できたかと楽しめました。

・亡牛嘆

これまた皆様もご存じの話かと。

こういう切り口も好みです。

「俺はダイダロスという男を深く軽蔑した。

 …いや、本当は嫉妬したのかもしれぬ。

 与えられた運命を、必然を、しかして決して受け入れようとしない、

 ダイダロスという男に」

・ダイダロスの息子

これも皆様ご存知かと(歌が有名ですよね)。

この切り口も面白かったです。

・神統記

これもだいたいの流れは知ってる方は多いかと。

これはまぁ特に面白いことはなく。

・狂いの巫女

微妙に記憶にあったお話。

特に思うことはなく。

・アイギナの悲劇

これは知らないお話でした。

だからどうということでもないのですが。

・最初の哲学者

タレスのことは知ってたのですが、こういう流れは知りませんでした。

問答をはじめ、実に好みのお話でした。

「彼は食べるものにも、着るものにも、頓着しなかった。

 そんなことより、闇に閉ざされていた世界が、

 僅かずつではあるが、その姿を見せてくれることが

 嬉しくて仕方がなかったのだ」

・オリンポスの醜聞

これもある程度は知ってるお話。

こういう切り口は好みです。

「美醜などというものは、

 見る者と見られる者の関係性のうちにはじめて存在するのであった。

 いや、そんなものは畢竟、

 自らを顧みた時に心に生じる幻影にすぎないのだ」

・ソクラテスの妻

部屋主は何気にソクラテスファンです。

ろくでもない嫁さんだったという話は知っていたのですが、この切り口はよかったです。

ツボりました。

・王女メデイア

これも知ってる話と特に変わったところはない感じでした。

・ヒストリエ

ヘロドトスについてもあんまり知識はなかったのですが、だからどうしたという感じでした。

「どうやら、普段自分が当たり前だと思っている価値観、言葉の意味、慣習、食べ物、果ては天上の神々といったおよそありとあらゆる事物は、しかし実は少しも当たり前ではないらしい。すべてのものは、場所によって、民族によって、あるいは時代によって、さまざまに変化しているのだ・・・。

 すべてが変化している!

 だとすれば、いま自分が正しいと信じて疑わぬ何ものも、別の誰かにとっては必ずしも正しくないことになる。

 しかも、それは単に違っているだけであって、どちらが正しいわけではないのだ」

「聴衆は異邦の珍しい話を聞きたがったが、それも彼らの耳に心地好いものに限られた。

 彼らは何も真実を求めていたわけではないのである」

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コメント

おはようございます。

やはり、知ってる人が読むと、新しい切り口だ!とか思うのですねえ。
ちょっとうらやましいです。
知らないなりに楽しめたのですが。

おすすめの芝崎みゆきさんの本をゲットしましたので、これから読んでみようとおもっております。

投稿: ちきちき | 2011年2月21日 (月) 10時02分

>ちきちきさん
こんにちは^^
基本的な流れは同じなのですが、
その行動に至る思考の流れは著者独自のものが
感じられるとところも有りってな具合です。

芝崎さんのエジプト→ギリシア→アステカ、
という流れで刊行されましたが、
どんどんつっこみが見事になっていきますので^^

投稿: シン@部屋主 | 2011年2月21日 (月) 16時40分

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JUGEMテーマ:読書nbsp; 「この世には、解いてはならぬ謎がある」ギリシア古典をモチーフに、当代のストーリーテラーが大胆なアレンジで甦らせた13の掌編から解き明かされる、今読むべき歴史を超えた人間哲学!幻冬舎HPより大胆なアレンジなのか。こういう作品に触れるたびに、ちゃんとギリシア神話が知りたい!って思うんだけど、前回から特に何も読んだりしないまま、またもや。基本となるお話を知ってたらもっと面白かったり、それは違うって思ったりするのかもしれませんが、素養がないのが悲しい(T_T)い... [続きを読む]

受信: 2011年2月21日 (月) 10時03分

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