ジョーカー・ゲーム 柳広司
スピリッツで漫画化したゆえ、そっちの印象がつく前に原作を当たってみました。
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ジョーカー・ゲーム 著者:柳 広司 部屋主の独断ランク:B |
あらすじらしきもの
「結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校〝D機関〟
『スパイとは〝見えない存在〟であること』
『殺人及び自死は最悪の選択肢』
これが結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。
軍隊組織の信条を真っ向から否定する〝D機関〟の存在は、
当然、猛反発を招いた。
だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く『魔王』―結城中佐は、
魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を挙げ、
陸軍内の敵をも出し抜いてゆく」
感想
なかなかに面白かったです。
5編の作品からなる連作短編集ゆえ1作1作は短のですが、短い中にもしっかりと伏線が張られており、それが回収されていくのは読んでいてとても心地よいです。
魔王こと結城中佐が非常にカッコいいのも○。 上記の戒律をはじめ思考のバランスが良いのです。
こういう頭の良い人間になりたいものですね。
ちなみに表紙は「北神伝綺」「木島日記」「八雲百怪」というマニアックな民俗学漫画(多重人格探偵サイコの大塚氏が原作)の絵師さんと同じ方。
漫画だと変で読みにくいけれど、一枚絵のこういうイラストは非常に巧いと思う絵師さんです。
で、この表紙も非常に渋いです。
抜粋
「貴様が何を信じていようがかまわん。
キリストだろうがマホメットだろうがイワシの頭だろうが、
勝手に信じるがいい。
もし本当に自分の頭で考え抜いたすえに、
それを信じているのならな」
「〝取り込み〟の基本は飴と鞭。
相手の弱点をつかみ、
それと引き換えにささいなことを要求する。
自分で盗むのは駄目だが、
盗みに入るタイミングを教えるのは構わない。
食事に毒を盛るのは駄目だが、
睡眠薬を入れるだけならやってもいい。
自分の手で人を殺すことはできないが、
見殺しにするのはかまわない…。
圧力と報酬のバランスが問題なのだ。
人によって、どこまで良心の呵責を感じず、
平気でやれるかは違ってくる。
相手の心の中を読み切ること。
基本的手口は存在しない。
スパイの任務では常に、
相手や状況に応じて臨機応変に対応することこそが重要だ」
「死ぬこと、それ自体は少しも難しいことではない。
死ぬことなど誰にでも出来る。
問題は、死んだからといって
失敗の任務を背負うことにはならないということだ」
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