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絡新婦の理 京極夏彦

読みました。

「絡新婦」とかいて「じょろうぐも」と読みます、一応。

絡新婦の理 (講談社ノベルス) Book 絡新婦の理 (講談社ノベルス)

著者:京極 夏彦
販売元:講談社
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部屋主の独断ランク:

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

「箱根連続僧侶殺害事件」が起こっているころ、刑事の「木場」は「平野」という連続殺人犯を捜査していました。

鑿で目を潰すことから「目潰し魔」と呼ばれる平野を追っていると、新しい容疑者として木場の友人である「川島」が捜査線上に上がります。

木場は個人的に問い質そうと川島の元を訪れますが、彼は木場を払いのけ逃走します。その時川島は木場に「蜘蛛に訊け」という言葉を残していきました。

全寮制の基督教系の中学校に通う「美由紀」は、親友の「小夜子」が恨みを晴らすために行っている「蜘蛛の僕」探しに付き添っていました。

それは学園の七不思議の一つで、自分に代わって恨みを晴らしてくれる存在とそれを呼び出す呪いの儀式といったものです。

しかし、噂だけだと思っていた「蜘蛛の僕」と呪いの儀式の噂を探っていると、別の七不思議に登場する「黒い聖母」が現れ、小夜子の望んだように実際の殺人事件が発生してしまいます。

一方、釣り堀を営む「伊佐間」が古美術商の「今川」を伴って偶然訪問することとなった地方の名門「織作」家。

蜘蛛の館」と呼ばれるその御殿で、彼らが亡くなった当主の残した遺物の鑑定をしようとしていると、時期当主である「是亮」が「絞殺魔」によって殺害されてしまうのです。

一見なんの関係もなく全く違う場所で次々と発生する事件ですが、凡ての裏には「絡新婦」の存在が見え隠れし・・・

部屋主の感想

抜群に面白かったです。

相変わらずのクオリティの高さに驚きます。これまでで一番面白かった「魍魎の匣」に勝るとも劣らない面白さを感じました。

毎回同じこと書いてる気がしますが、散りばめられた伏線が回収されていく様は見事としか言いようがありません。この快感を味わいたくて、京極氏の作品を読んでいるような気がします。

そして今作品は、部屋主好みのどんでん返しあり、最後の最後まで犯人がわからないという感じでミステリとして一級品だと思います。

もちろん部屋主もいったんはミスリードされましたが、最初の場面を思い出してなんとか犯人に辿り着くことができていました。しっかりと読んでいればきちんと犯人に行き着くのもとてもいいですね。

で、件の最初の場面についてですが、いきなり不確定性原理や量子論(シュレティンガーの猫あたりを噛み砕いて説明してある)を持ち込んでいるかつ幻想的な憑き物落しの場面から始まっているので、上記のように犯人探しの重要なヒントになるだけでなく、否が応でも先が気になって仕方がない構成となっています。

ちなみにこれを読んでる時は仕事が非常に忙しい時期だったのですが、睡眠時間を削って3日で読了してしまう程の面白さでした。

また、いつもながらの薀蓄も非常に面白かったです。

一応部屋主は文化人類学や民俗学も学んでいる人間なので(修士論文は分類的には宗教人類学かと)、この手の知識もありましたし、何の偏見もないのですが、人によっては現代人と感覚のずれている「性」についての記述が少々受け入れなれないかも知れませんが。

不満点はといえばわかりにくい犯人の動機の問題と、あのお気に入りの人物(気弱な彼)の登場場面が少なかったあたりでしょうかね。やはり彼の人物が虐められてる場面はこの物語の花のひとつだと思いますゆえ。

あらゆるところに伏線という糸を張って、読者を蜘蛛の巣に誘い込んでしまうあたり、著者こそが真の「絡新婦」とも言えるかもしれません、男だけど。

この本の部屋主がグッときた台詞&格言

怖いのはお化けじゃねえ。悪漢でもねえ。人の心でもねど。恐がンのはお前、自分だ。恐がってる者は、傍から見りゃ滑稽なだけだぞ」by美由紀の祖父

確かに。と美由紀はそう思って踏みとどまるわけですが、確かに「確かに」な台詞かと思います。

自分が劣った人間だと思うのは楽なことです。それは普く言い訳に過ぎない。劣っているから仕方がない、出来ぬものは出来ぬ-弁解だ-」by京極堂

いつもながら京極堂の台詞はいいですね。自分でよく似たことを言った記憶があったりするのは自画自賛でしょうか。何にせよこれに続く「悪魔だ-弁がたつ」という台詞にもふきました。

繰り返しますがこの世に劣った人間などいないし異常の基準などと云うものもない。犯罪者を異常者として決めつけて理解の範疇から外してしまうような社会学者こそ糾弾されるべきです」by京極堂

いやもうまったくその通りかと。

目を背けて穢れとして祓い落してしまうから何も見えない。性や差別の問題をややこしくしているのはそうした意識です」by京極堂

これもまったくもってその通りかと。

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コメント

順調に進んでますね。
京極堂シリーズは妹に借りて読んでるのですが、
また読み直したくなってきました。
でも、買うには・・・うーむむむ。

投稿: あくびネコ | 2008年2月26日 (火) 10時59分

これも面白そうですね~(^ω^)
読みたいです♪

投稿: ゆり | 2008年2月26日 (火) 22時08分

私も記事見て順調に進んではるな~と思いました。
そしていつも記事を読むと読み返したくなります。
読みたい本がいっぱい。
缶詰読書とかしたい…

投稿: ちきちき | 2008年2月26日 (火) 22時09分

>あくびネコさん
とりあえず現在「邪魅の雫」が読了寸前です^^
読み直しすると時間かかりますよ~

投稿: シン@部屋主 | 2008年2月27日 (水) 01時09分

>ゆりさん
これは非常に面白いです。
是非ともシリーズ1作目からどうぞです(^-^)

投稿: シン@部屋主 | 2008年2月27日 (水) 01時11分

>ちきちきさん
長かった京極堂シリーズも出てる分は今読んでるので最後です。
他のを読みながらですが丸3ヶ月かかってしまいました。
最近やたら忙しいので私もひきこもって
読書の日々を送りたいものです。

投稿: シン@部屋主 | 2008年2月27日 (水) 01時16分

はじめまして、ちいこと申します。
とは言っても、樽井さんのところで何度かシンさんの書き込みは拝見させていただいてます。
「京極堂」シリーズ、どれもとても好きです。
映画化についてはキャスティングに疑問を持ってますが、本については疑問を差し挟む余地も無いほどに心酔しております。
「世の中に不思議な事などありはしないのだよ」
と、京極堂に言われたいほどです。
主要登場人物、全部好きですが、一番好きなのは「伊佐間」だったりします。
「薔薇十字探偵社」シリーズも面白いですよ!

投稿: ちいこ | 2008年7月31日 (木) 10時33分

>ちいこさん
はじめまして、コメント感謝です。
「京極堂」シリーズはいいですよね。
私も大好きです。
映画に関しても同じくキャスティングに不満がある一人です。
特に木場役の宮迫氏には辟易としています。
数ある魅力的なキャラの中で「伊佐間」が好きとは、
通な感じでございますね^^

「薔薇十字探偵社」シリーズというと、
「徒然袋」のことですかね?
また記事はアップしてませんが、
今年に入ったあたりで「邪魅の雫」まで読了してたりします。

投稿: シン@部屋主 | 2008年7月31日 (木) 19時14分

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