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姑獲鳥の夏

作品数が多いので未読だったのですが、ついに手を出してしまいました。

姑獲鳥(うぶめ)の夏 (KODANSHA NOVELS) Book 姑獲鳥(うぶめ)の夏 (KODANSHA NOVELS)

著者:京極 夏彦
販売元:講談社
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部屋主の独断ランク:A

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

昭和20年代後半、雑司が谷にある老舗の病院にちての奇妙な噂が流れていました。

噂は病院院長の娘が妊娠20ヶ月を迎えてもいまだに出産せずにいること、そしてそれは、彼女の失踪した夫の呪いが原因だというような内容でした。

またその病院では新生児が消えるという奇妙な事件が発生しており、警察が介入しようとするも、被害者が訴えを取り下げたため、事件の真相は闇の中へと消えているいう過去もありました。

その噂に興味をもっている物書きである「関口」は、古本屋の主で友人の「京極堂」と話し、その消えた男が先輩の「藤牧」であると知り、友人の探偵「榎木津」を訪問します。

偶然そこには噂の元である病院の娘で、噂の女性の姉にあたる「久遠寺涼子」が事件解決の依頼にやってきており・・・

部屋主の感想

面白かったです。

色々と張られた伏線が回収されていく様は見事です。やはりミステリ作品はこうでなくちゃと思いました。

ただ、事件そのものは結構チャチな感じだけれど(物語の展開自体はけっこう簡単に読めるのが非常に残念)、それを京極氏の巧みな文章力(これがデビュー作というのですから驚きです)と学問的薀蓄と発想、魅力溢れるキャラクターたち(京極堂のカッコよさ、榎木津の面白さ、関口のへタレ具合など)が優秀な作品に押し上げているように思われます。

特に、「不確定性原理」や「脳の構造」といった科学的知識を踏まえた上で、いわゆる「妖怪」や「霊」といったものや「民俗学」的なものとの繋がりを巧みに描き出す著者の力量は素晴らしいと思いました。

ただ、部屋主は京極氏の作品をもっとホラー的な恐ろしい物語と想像していたのですが、けっこうマイルドだったので、怖さを求める部屋主としては少々残念でなりませんでした。まぁ、これはただの勘違いだったわけですが。

ちなみに部屋主は、京極堂の考え方が自分と似ているのに驚きを憶えつつ(なのでちょっと評価は高めです)、彼のように色んな知識を蓄え、かつ頭の回転が異常に早い人間になりたいものだと強く思いました。

この本から部屋主が選ぶ格言

だいたいこの世の中には、あるべくしてあるものしかないし、起こるべくして起こることしか起こらないのだ。自分たちの知っている、ほんの僅かな常識だの経験だのの範疇で宇宙の凡てを解ったかのような勘違いをしているから、ちょっと常識に外れたことや経験したことがない事件に出くわすと、皆口を揃えてヤレ不思議だの、ソレ奇態だのと騒ぐことになる。だいたい自分達の素性も成り立ちも考えたことのないような者に、世の中のことなんかが解ってたまるかい」by京極堂

自戒します。

書物の持つ価値は歴史的遺物としての価値や骨董品的価値だけではありません。読む者にそれを読み解く力さえあれば、たとえ何百年経とうと昨日書かれたもののように価値を生み出すのです」by京極堂

ゆえに書物は素晴らしいのかと。

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コメント

シンさん、京極は未読だったのですね。
最初はページ数に圧倒されますが、
読み始めると面白くて止まりませんよね。
私はエノさんのファンだったりしますw
シンさんには「うぶめ」より「魍魎の匣」を
オススメします。

投稿: あくびネコ | 2007年11月17日 (土) 13時17分

私も京極さんの作品はホラー的だと思ってました。
(なので、手に取ったことがないです。(^^ゞ )
どんなジャンルの本でも、登場人物が魅力溢れるキャラクターだと
読んでいて楽しいですよね。のめり込めます。(*^^)
本ってやっぱりいいなぁ~☆

投稿: caren | 2007年11月17日 (土) 14時11分

こんばんは。
おお!京極だ!!
シンさんは未読だったのですね。ほほう。

京極さんは、怪談の人って感じで意外とホラーの人と思われてますよね。私の周りにもいましたよ。
でも少なくともこのシリーズは怖いところってないです。たぶん。

お話お話が微妙にリンクしてるので新刊が出るたびに再読したいと思うんですが、いかんせんこの厚さにかなわず、でもいつかは…と野望を抱いております。

投稿: ちきちき | 2007年11月17日 (土) 18時40分

>あくびネコさん
長編好きなので分厚さは問題ないのですが、
作品数が多いのでハマると時間とお金が・・・
でもついに購入してしまい、
そして面白かったと。
嬉しい悲鳴が出そうです(^^;
とりあえず順番に読んで行く予定ですので、
「魍魎の箱」のレビューまでしばしお待ちを^^

投稿: シン@部屋主 | 2007年11月17日 (土) 21時34分

>carenさん
ホラーはホラーで面白いのに・・・OTL
とはいえミステリなのでお楽しみくださいませ^^
本はいいですよね♪

投稿: シン@部屋主 | 2007年11月17日 (土) 21時35分

>ちきちきさん
こんばんは。
ついに京極さんに手を出してしまいました。
やはり面白いですね。
人気があるのが理解できます。
とりあえず私はこれからちょこちょこと
順番に読んでいこうと思っています^^

投稿: シン@部屋主 | 2007年11月17日 (土) 21時38分

こんばんわー。
シンさんの京極レビューお待ちしてました♪
高得点で嬉しいです。
わたしも手にとるまでホラーだと思ってました。
専門学的な知識をあそこまで噛み砕いて享受してくれる京極先生の手腕には感激します。

魍魎レビューも待ち遠しいですねー。

投稿: リタ | 2007年11月18日 (日) 02時07分

うぶめだー懐かしいー。
私は榎木津ファンですね。
京極堂の言ってる事もふむふむと思うのですが
意外とエノさんのセリフの方が同感するんですね。
このシリーズは全読破してます。
何周目かな。
なのでシンさんが読んだと聞いて嬉しいです。
私内で好きな作品は鉄鼠ですかね。
胡散臭さはピカイチ。
あ、文庫と新書版だとちょっと文章がところどころ
変わっているのでそれを見つけるのも楽しいです。

感想楽しみにしてますね。

おーまた読みたくなったぞー。

投稿: STERNE | 2007年11月18日 (日) 07時13分

>リタさん
ついに手を出してしまいました^^
シリーズが続いているので楽しみですが
懐具合が悲しくなりそうです。
あの専門的なことをよくもまぁ巧く描いたものだと
正直かなり驚いている次第であります。
また読了次第記事をアップしますのでヨロシクです。

投稿: シン@部屋主 | 2007年11月19日 (月) 12時17分

>STERNEさん
おぉ、STERNEさんも読了してましたか^^
でもってエノさんファン多いみたいですね。
私は直感タイプよりも理屈屋の京極さんが好きですね。
でもってオススメは鉄鼠と。
とりあえず順番でいく予定なのでまだまだ先になりそうです(^^;

投稿: シン@部屋主 | 2007年11月19日 (月) 12時20分

お。
シンさんが
京極堂を読んでいなかったのは
むしろ意外ですね。
本作最大のオチは
反則ぎりぎりという気がしますが
本シリーズらしさともいえますし
謎解きを楽しむ作品でもないので
京極堂や榎木津らの
キャラの素晴らしい立ち具合に
素直に作品世界に引き込んでもらいました。
質量ともに読み応えありますね。

投稿: 月下 燕 | 2007年11月25日 (日) 23時23分

>月下燕さん
やっぱり意外でしたか。
前から読もう読もうとは思っていたのですが。
確かにこの本のオチは反則くさいですね。
ただそれは月下燕さんも言ってるように、
このシリーズの特徴なのかなと思っています。
(別の作品は未読なので予想ですが)
とりあえず、この世界観はいいですね。
キャラの魅力的ですし。
非常に次が気になっています。

投稿: シン@部屋主 | 2007年11月26日 (月) 07時17分

>懐具合が悲しくなりそうです。
遅れましてレスします。
私は古書店をめぐっては置いてる京極作品を買い漁って集めました!ただ品揃えが都合よくいくとは限らず、何冊かは新書で買いましたけども。
何軒かをコンスタントに覗いてると集まるもんですよ。

投稿: リタ | 2007年11月26日 (月) 14時09分

>リタさん
いえいえ、レスはいつでも(^-^)
基本的に古本がダメなんですよ、私。
なんで本をそろえるとなるとお金が・・・
とりあえず続きを購入しましたので、
また近いうちに記事をアップできればと思っています。

投稿: シン@部屋主 | 2007年11月26日 (月) 19時37分

古本は苦手ですか!それは高くつきますねぇ(^^;
私は専ら古本派です。
今まで真剣に読書をすることがなかったので古くて読んだことのない名作を漁ってばかりいます。
新刊になかなか踏み出せないんですね~逆に。

魍魎ですか?楽しみにしてます!

投稿: リタ | 2007年11月27日 (火) 16時05分

>リタさん
いやほんと高くつきます。
京極さんの本は分厚くて高いので。
新刊はもっぱら角川ホラー文庫や、
ブログ友達の皆さんのチェックしてる作品という感じですね。
私の場合。
とりあえず「魍魎~」と「狂骨~」は購入しました。
まだ読んでる途中の本が数冊あるので、
それを片付けてから読み始めようと思っています^^

投稿: シン@部屋主 | 2007年11月27日 (火) 20時37分

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姑獲鳥(うぶめ)の夏 京極 夏彦 京極夏彦さんの書籍は、もう何年も気になりながらその難解で崇高そうな雰囲気からいつも読むに到らずだったのですが、熱心な京極作品読者である友人の勧めにより、ついに手にとる次第になりました。友人から『京極さんシリーズは登場人物が何作にも渡って登場するので、ぜひデビュー作から読んだほうが良い』と言うアドバイスをうけていたので、著者処女作である「姑獲鳥(うぶめ)の夏」を迷わず買いました。 読み出すと、何ともスラスラと頁が運び何てこたないとても解り易く難しい科... [続きを読む]

受信: 2007年11月18日 (日) 23時11分

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