でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相
書店でタイトルを見て気になったので購入しました。
第6回新潮ドキュメント賞を受賞していたのも意欲をそそられた理由の一つですね。部屋主オススメの「戦争広告代理店」「そして殺人者は野に放たれる」も受賞作です。
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でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相 著者:福田 ますみ 部屋主の独断ランク:A |
内容紹介のようなもの
2006年6月、全国ではじめて「教師よるイジメ」と認定される事件が福岡が発生しました。
問題となった教師は担任児童を、差別的な言葉で攻撃、凄惨な暴力をふるい、自殺も強要。結果、その児童はPTSDとなり長期入院を余儀なくされます。
教師は、子供の両親に告発され、それを嗅ぎ付けたマスコミによって「殺人教師」と糾弾して表舞台から姿を消しました。
しかし、裁判を通して、この一連の事実は児童両親による「でっちあげ」だということが次々と明らかになっていき・・・
気弱な教師が、保護者の虚言、言いなりの学校、メディアによって、「史上最悪の殺人教師」としてでっちあげられた冤罪事件の真相に迫るルポタージュです。
序章 「史上最悪の殺人教師」
第1章 発端「血が汚れている」
第2章 謝罪「いじめでした」
第3章 追放 停職6ヶ月
第4章 裁判 550対0の不条理
第5章 PTSDごっこ、アメリカ人ごっこ
第6章 判決 茶番劇の結末
終章 偽善者たちの群れ
部屋主の感想
実に興味深かったです。
1つの事件を通して、学校の抱える問題、メディアの抱える問題、精神医学の抱える問題などについて、色々と考えさせてくれる良書かと思います。
まずイラっときたのは校長に呼び出される場面です。いきなり呼びつけておい何を言ってるんだかこいつはと思いました。
会話には流れがあるということを理解していないのでしょうか。また説明を何もせずに「したか、しないか」だけを聞こうとするその手法の汚さに反吐がでます。
また、同僚の教師にも恵まれなかったのでしょう。やってないことを、保護者が言ってるからと認めていき和解していこうなどというアドバイスをなぜできるのでしょうかね。理解に苦しみます。
この教師の不幸の一つは、こういう愚か極まりない上司や同僚がいたことでしょう。
校長に関しては、さらにイジメの実態があったかどうかのアンケートの設問の仕方がまたいやらしくて。質問方法に細工をすることで自分の望む結果を得ようとするのは学者の世界とかにもありますが、これをここでやって、一人の人間に人生を追い込んだこの校長はえげつないです。
教師本人の気弱さやへタレ具合も言いたいことを言ってクビになるタイプの部屋主からするとかなりイライラしますが、家族がいて周りから圧力がかかればこういう反応をしてしまう人は多いような気がしたりもしますので。
にしても「モンスターピアレント」。こいつら完全にイカれてますね。しかも夫婦そろって。こうなるとどうしようもないです。
裁判過程で次々と嘘がバレても平気な感じだし、悪びれた様子もないしで。こういう論理の通じない人間は本当に怖いです。
また、証言することによって嫌がらせが自分に向く可能性を考えて、証人が証言をしてくれないという問題も発生してきます。ほんと怖いです。
こういう問題はどうしたらいいのですかね?誰か妙案があれば教えておくれです。
で、PTSDを診断した医者。こいつがまた最低。精神医学や心理学についてはこのブログで色々と問題点についてしてきましたのでここではもうあまり触れませんが、これはないだろと思いました。
このPTSDの診断をもってして、マスコミも動いた側面もあるみたいなのでそう考えると・・・怖いですよ。
で、弁護士。内容紹介のところの「550対0」と、当初の児童両親についた弁護士と教師側についた弁護士の数です。
負ける勝負はしたくないというのはわかりますのでなんともですが、いくらなんでもこれは酷いかと思います。
裁判の結果にもイラっときますね。教師についた弁護士が「一番嫌なパターン」と言ってる通りムカっときます。
そして、メディア。これについてもこのブログで色々と問題点を指摘しましたのでここでは軽く触れるくらいしておきますが、こいつらも例にもれず酷いです。
あまり事実の成否を取材をせずに問題をただおおげさに面白おかしく盛り上げただけ。
腐ってます。
あとがきで著者が「先立つ聞き込みによって、既存の報道から受けた先入観を払拭し、ニュートラルな気持ちで取材に望めたことが幸いした。この幸運がなければ、私もまた、川上を体罰教師と決めつけた記事を書いていたかもしれない。その差はほんの紙一重だ」が書いてましたが、これが紙一重ではいかんでしょう。
きちんと聞き込みをして、先入観を払拭してニュートラルな気持ちで取材せねばならないなんかは、取材の基本中の基本じゃないのですか、と愚かなヒキコモリの部屋主は思うですが、高い学歴と収入のあるマスゴミ様の世界では違うのですかね。
やれやれです。
この本を読んでいて思ったことは、たとえ誠実に生きていても、ある日突然こういう負の連鎖によって史上最悪の殺人者てきなレッテルを貼られてしまうかも知れないという可能性についてです。
怖いですよ。
ちなみに現在も裁判は続いているみたいです(本が書かれた当時は。今どうなってるかはまだ調べてませんのでなんともです)。
感想の最後に、この本事態が「でっちあげ」なんてことはないことを祈って。でないと部屋主も逆「でっちあげ」の加害者になってしまいますから。
そういう意味でも考えさせられる1冊でした。
部屋主がこの本から選ぶ格言
「体罰というのは、子供たちが体罰と受け取れば体罰です」by校長
この思想は正直怖いと思います。何をもって体罰とするかは非常に難しい問題であり、今のところ単純に線引きできることではないと思います。
「教師なのだから当然、子供に対し、指導すべきところは指導しなければならない。しかし、保護者の厳しい目が光ってる中で、その当たり前のことができにくくなっていた」
色んな教育系の本で問題になってますよね。どうしたものかです。
「自分が愛情を注いで指導している教え子の証言ゆえに、怒りよりも、情けなさ、やりきれなさの方が先にたった」by教師
担任児童の嘘の証言を聞いたあとの教師の感想です。これは確かにきついですよね。これよりまだマシですがこういう気分は部屋主もよく感じたことがありますので。
「この事件は何かがおかしいなと思う人が表に出てこない、(中略)表に出てこれない状況が怖いのです。学校関係者も、建前的な対応のみで、本音の部分となると沈黙し、結果的に孤立無援状態となった私には、人権などまるで必要ないが如きです」by教師
この教師は事件発生段階で実名や住所が報道されたそうです。人権って何なのですかね。マスゴミさん。
「複数の保護者は、裁判になったら証言してもいいとまで約束してくれた。ところが、いざ蓋を開けてみると協力を申し出た保護者は皆無だった~略~彼らは浅川側の怒りを買うのを恐れたのである~略~浅川一家の芳しからざる評判は保護者間ではよく知られていた」
浅川というのはもちろんモンスターピアレントのことです。そして、みんな自分が可愛いということですね。やれやれです。
「川上の体罰やいじめを信じて疑わなかった一番の根拠はやはりPTSDの認定である。前田医師の記者会見を開き、専門家がここまで言うのだから『体罰はいじめはあったんだな』と納得したという」
川上とは教師のことです。にしてもマスコミのレベルの酷さには辟易としますね。こんな診断がクソみたいなものかは少し勉強すればわかるはずですから。
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コメント
親の1人として耳が痛い話ですね(^^;
他人の事は言えませんが、最近は本当に
変な親が増えました。
私は真っ正直に担任に直接交渉しちゃうタイプですが、
担任には何も言わずにいきなり上に乗り込んでいったり
教育委員会に苦情を言ったり・・・。
給食費の未払い問題だの自分の子を一番にだの、
先生方も大変だろうと思います。
マスコミもすぐ攻撃に走りますよね。
この本のケースがどの程度信憑性有るか
わかりませんが、ほんとウンザリです。
投稿: あくびネコ | 2007年10月31日 (水) 10時54分
こんにちは
最近の親って信じられんなぁっていうのが多いですねぇ。
教師も段々とやりにくい仕事になって行ってるみたいで・・・。
体罰もねぇ、何か大袈裟な気がするし。
言っても分からなければ殴られる、普通の事だと思うし殴られる痛みを知る事も大切です。
ちょっと叩かれたぐらいで最近はギャーギャー言い過ぎですよ。
投稿: nori | 2007年10月31日 (水) 11時11分
この教師同様、気が弱い私としては、同じ立場に立たされたら・・・逃げそうです。
以前、教師のいじめによって中学生の男の子が自殺した事件が念頭にあったので、この本もその話題を扱ったものかと思ったのですが。
両親最悪!!
子供は親の姿を見て、何を学ぶのでしょうね・・・。
投稿: 陸抗 | 2007年10月31日 (水) 11時58分
>あくびネコさん
この事件のケースが本当だとすると、
何度も感想中に書きましたが怖いですよ。
洒落にならないですから。
モンスターピアレントに
このブログで何度も問題性をしてきた
メディアと精神医学のろくでもなさが加わると、
高確率で自分たちも犯罪者になってしまうわけですから。
このケースだとモンスターピアレントがバカだったから、
教師には逆転の機会があったわけですが、
正直私がモンスターピアレントだったら
もっとうまく立ち回ってこの教師を
社会的に抹殺できる自信があったりしますし。
怖いっす。
投稿: シン@部屋主 | 2007年10月31日 (水) 12時31分
>noriさん
体罰に関しては私もそんな感じで思っています。
私はヤンチャだったのでさんざんゲンコツされましたが、
教師の方も力の加減もする場合も適当でしたし。
この本の中での体罰も担任児童が
別の子供に対し理不尽な暴力をふるった後に
コツっとやったって感じでしたので。
ちなみにこの児童は両親の影響のためか、
色々と問題がある子だったりで。
教師には辛い時代になったものです。
投稿: シン@部屋主 | 2007年10月31日 (水) 12時35分
>陸抗さん
気弱なことなかれ主義はこの場合洒落にならないですよ。
とりあえずおかしいと思いつつ最初に校長の言いなりになって
いじめの事実を認めたのが全てのはじまりでしたから。
↑のコメントでも書きましたが、
本書を読む限りこの児童にもかなり問題があります。
愚かな両親からは愚かな子供になってる感じです。
まぁ中には反面教師というのもあるとは思いますが、
ここまで酷い親だと…
投稿: シン@部屋主 | 2007年10月31日 (水) 12時39分
こんにちは!
怖い話ですね・・・
それに、将来その子がどんな風に育つのかが
とても心配と言いますか、気になります。
甥っ子を見てて思うんですが、
子供って周りの影響を受けやすいですよね。
それにしても、ホント怖い話ですね・・・
マスゴミ・・・
思わずにやりとしてしまいました。( ̄ー ̄)
投稿: caren | 2007年10月31日 (水) 13時14分
こんばんは。
これ、私もちょっと気になってました。
本屋さんで見かけて。
あんまり好んで読むタイプの本ではないですが、シンさんのレビュー読んでちょっと興味が…。
むかむかしそうな内容ですけどね。
そしてとっても怖い話だ…
第三者の立場で冷静に見ればおかしいことはすごくわかるけど、実際に自分が渦中にあるとなるとどうなるかわかんないです。
投稿: ちきちき | 2007年10月31日 (水) 21時17分
>carenさん
子供は親を選べませんからね。
この児童もかなり悪影響を受けているように思えます。
彼がこのまま大きくなることへの懸念も感じます。
マスゴミに関しては長いお付き合いをさせてもらってる
carenさんならその腐り具合はもう書かなくても大丈夫ですよね。
投稿: シン@部屋主 | 2007年11月 1日 (木) 01時09分
>ちきちきさん
さすが本好きのちきちきさんですね。
正直なところ読中はほとんどイライラしっぱなしですよ。
被害者である教師にもかなりムカっとしますし。
冷静で客観的な視点を持てるように
常に努力したいところですね。
投稿: シン@部屋主 | 2007年11月 1日 (木) 01時11分
冤罪事件の話はいくつか読んでますが
(最近では痴漢冤罪を扱った『左手の証明』)、
この『でっちあげ』はシンさんのレビューを
読んだだけで、これまで読んだどの本より
怖そうですね。
読みたいような怖いような。
私ゃ、マスコミが最大の加害者のような気がします。
投稿: じっちゃん | 2007年11月 1日 (木) 04時06分
この本、以前にもどなたかのブログで見かけて気になっていたのですが、シンさんの評価が高いので、私も読んでみたくなりました。
いろんな事件とマスコミ・・・実情を知るとマスコミが言っていることがどれだけ間違っているか、わかることがあります。
気をつけないといけないのですね。
投稿: 牛くんの母 | 2007年11月 2日 (金) 19時39分
>じっちゃんさん
冤罪事件に関する本はあまり読んだことないので
比較することは難しいのですが
正直この本はかなり怖いですよ。
この場合モンスターピアレントの虚言癖のおかげで
なんとか突破口は開けましたが
理性的な人間なら完全犯罪とかもできそうです。
最近のメディアはホントにろくでもないですよね。
なんとかせねばならないとは思うのですが
いい案がさっぱりでないです。
投稿: シン@部屋主 | 2007年11月 3日 (土) 01時09分
>牛君の母さん
はじめまして、コメントありがとうございます。
正直なところ内容に関しては
もう少し濃くしてほしいという箇所が多々あるのですが、
今の日本の様々な問題を一つのケースで扱えてるところを
評価の対象としています。
牛くんの母さんもこの本を読んで、
色々と気をつけてもらえればと思います。
コメントを読む限りではもう気をつけてると思いますが。
またコメントいただけると幸いです。
投稿: シン@部屋主 | 2007年11月 3日 (土) 01時13分