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夏の災厄

ご存知の通り、最近ウイルス物にハマってるので購入してみました。

夏の災厄 (文春文庫) Book 夏の災厄 (文春文庫)

著者:篠田 節子
販売元:文藝春秋
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部屋主の独断ランク:A

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

東京郊外のニュータウンの1つ、埼玉県昭川市。

夫の定年退職を機に保健センターで働きはじめた看護婦「房代」は、光を怖れ、妙な匂いについて言及する急患に出会います。

その場での治療は無理だったので医者の指示で市の唯一の総合病院「富士大学付属病院」にその患者は送られました。

翌日、同じ症状の急患が運ばれてす。2人の共通点は症状、そして住所でした。

何か起きているではと直感的に思った房代は、保健センター職員「小西」や、街医者の「鵜川」とともに独自に調査を開始するのですが、その病気は今ではさほど怖れる病気ではない「日本脳炎」という診断がくだされてしまいます。

しかし、日本脳炎ウイルスが見つかったものの、症状は明らかに日本脳炎のものとは違う上、感染力の強さ、潜伏期間の短さ、そして致死率の高さが過去の日本脳炎とは圧倒的に違うのです。

さらに最初の患者を送ったはずの富士大学付属病院では、おそらく意図的であろう病名の改ざんされていて・・・

3人はそれぞれ独自に病気について調査を続けるのですが、街は徐々に疲弊し、住人達はパニックを起こしはじめ、硬直した行政システムにより対策や調査は遅々として進まず、死者数は増加し、感染地域までもが拡大していき・・・

部屋主の感想

実に面白かったです。約600Pという大作ですが、ほぼ一気読みで読めてしまうくらい、続きが気になる作品でした。

さて、なぜこの小説が面白いかというと、それは「リアリティ」のなせるわざだと思います。

実際にこのような伝染病(ウイルス・パニック)に見舞われた日本を見たことはないですが、この物語のように事態が進行するのではと想像可能です。

イメージの中の適当かつイラつく役所の対応などが、実にたくみに表現されているというのがその要素の1つかと思ってたら、どうやら著者は役場に勤めていた時期もあったそうで。それはリアリティでるわと。

ほんとこの小説を読んでると、国をはじめとした自治体やその構造、住民や主役達(この物語に主人公はいないかと思います。少なくとも英雄的な)の人間の質にイライラさせられます。もちろんこれもリアルだからだと思います。

こういう言動をしてるヤツっているいるってうなずきながら読んでましたから。特に、小西や房代あたりはホントにいそうですし。あと、藤原議員とか。

まぁ、青柳あたりはストーリーの都合上いるような気がしないでもないですが(鵜川あたりも微妙な気がしないでもないけど、人物設定的にはありだしね)。

それにしても、読みながら色々と考えさせてくれる作品でした。

もう10年以上前に書かれた小説ですが、今このような災害が起こった場合、いったいどうなるやら。

硬直した行政システム、危機管理、癒着。こういった問題をもっと真剣に日本国民は考えなければならないと思います。

あとどうでもいいけど、ご存知の通り、ホラー大好きで人間の負の部分が大好きな部屋主的には、パニックを起こした人間たちが引き起こすもっとドロドロとした展開が欲しかったとも思ったりします。

そうなるとリアリティがなくなるわけであれですが。

つまりそういう意味での怖い作品ではないので、上記のように様々な日本の問題を浮き彫りしてくれてる物語でもあるので、色んな人に読んでみて欲しい1冊です。

この本から部屋主が選ぶ格言

薬剤それ自体が悪なのではない。その使われ方が、問題なのだ

まったくもってその通りかと。

いったん情報が歪曲し始めると、後は水によって土が削られ水路ができるように、さらに不正確さを増し、事実と大きくかけ離れていく。そして今度は、その歪曲した情報に裏付けをしようとするように、それなりに筋の通ったいくつかの説が出てくる

パニックのメカニズムの1つですね。プロパガンダ(情報操作)の基本でもあります。情報の取捨選択と分析能力。鍛えておかねばならない能力かと。

この手のごまかしが統計や検査報告書ではまかり通る

役所の杜撰さを表現した1コマです。この手の表現が随所にあり、この小説のリアルさを醸し出しているかと思います。

頑なに常識にしがみつく姿勢では、常識外の事態に対処することはできない

あらゆる想像力を働かせ、冷静に、合理的に動くことが「災厄」から身を守る方法なのだと部屋主は思います。

生物兵器を使う側にとっての最大のメリットは、使用したことがわからない、ということなんだ

他にもあるんですけどね。この前後に書かれています。気になった方は読んでみてください。

危険であることがわかっていても。様々な利害がからみ、対策がとれない

この言葉にある「様々な利害」が、この小説のリアリティ、そしてイライラ度を増してくれるものです。日本の役所、ひいてはそこで働く、そしてそこに住む人々は、この小説で描かれていることをはじめ、もっと色々と考えねばと思います。

いまどきどこの研究室も設備とシステムは精密にできているが、人間の精度まであがってはおらん

人間の精度はむしろ下がるいっぽうなのではという偏見を部屋主は持ってますので。とりあえずもっと精度の高い人間になりたいものです。

起きるはずのないことが起きるのだ。起きるはずがない、という傲慢極まる確信のために

部屋主は傲慢な人間なので自戒しておきたい言葉です。

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コメント

こんばんは

ウィルス系にはまってますねぇ=^-^=

凄く興味をそそられる内容ですね、面白そう♪
読んでみます!

投稿: nori | 2007年9月27日 (木) 19時14分

凄く興味深くてたまに読ませて頂いてます。
また、時間がある時に読みにきますね(*ゝω・)ノ

投稿: ウイッグコスプレ | 2007年9月27日 (木) 21時37分

>noriさん
あともう1作(上下)のレビューで一応終わりとなります^^
これは分厚いですがオススメの1冊です!

投稿: シン@部屋主 | 2007年9月27日 (木) 22時27分

>ウィッグコスプレさん
コメントありがとうございます^^
今後ともヨロシクお願いしますm(__)m

投稿: シン@部屋主 | 2007年9月27日 (木) 22時30分

うーんウイルス系って怖いですよね(;ω;)
面白そうですね~
時間ができたら読んでみたいです(^ω^)

投稿: ゆり | 2007年9月27日 (木) 23時08分

これは面白そうですね。
早速購入検討いたします。
古本屋にないかな・・・。

投稿: じっちゃん | 2007年9月29日 (土) 16時19分

>ゆりさん
マジで怖いっすよ。
これはさほどでもないですが。
でも面白いので是非(^-^)

投稿: シン@部屋主 | 2007年9月30日 (日) 09時21分

>じっちゃんさん
物語的に盛り上がったりとかには欠けますが
そのぶんリアリティがあり面白いですよ^^

投稿: シン@部屋主 | 2007年9月30日 (日) 09時22分

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受信: 2007年9月27日 (木) 18時29分

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