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首無の如き祟るもの

大好きな作家の一人である「三津田信三」の最新作です。「厭魅の如き憑くもの」「凶鳥の如き忌むもの」に続く刀城言耶シリーズの第3弾です(見つからない「九つ首岩石塔殺人事件」があれば4作目になるのかも)。

首無の如き祟るもの Book 首無の如き祟るもの

著者:三津田 信三
販売元:原書房
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部屋主の独断ランク:

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

豊臣兵に斬首された「淡媛(あおひめ)」、当主に斬首された妻「お淡(おえん)」、そして正体不明の化物「首無」、3種の幽霊伝説の残る奥多摩にある「媛首村(ひめがみむら)」。

夫の戦死(太平洋戦争)で気が触れてしまった妻の一家心中の中、なぜか1人だけ生き残った5歳の「幾多 斧高(いくた よきたか)」は、媛首村に代々続く「秘守家(ひがみけ)」に引き取られることになります。

秘守家は、「一守家(いちがみけ)」、「二守家(ふたがみけ)」、「三守家(みかみけ)」に分かれており、当主の男子は「何物」かの祟りで代々短命でした。

それを防ぐために、常に当主候補の男子は優遇されており、様々な呪術、そして、生まれてからの成人するまでに3度ある「三々参り(3歳、13歳、23歳)」の儀式により守られています。

斧高が媛首村で時期当主候補の「一守 長寿郎」に仕え始めて1年後、長寿郎とその妹「妃女子(ひめこ)」は、13歳の「十三夜参り」を行うことになります。

村でだった1人だけ優しくしてくれた長寿郎を守るべく、斧高は儀式中は誰も入ることもできない「媛首山」へとこっそり侵入し、長寿郎の後を追いかけます。

そこで斧高は、首のない女、そして突如として妃女子が消えてしまうところを目撃してしまうのです。

結局、震えてるところを長寿郎に見つかってしまった斧高は、彼と一緒に、禊をする井戸付近で消えてしまった妃女子を探すことになるのですが、彼らが発見したのは井戸に捨てられていた妃女子の死体でした。

事件当時、妃女子の死体が発見された現場は「高屋敷元」巡査や秘守一族の警戒、そして媛首山や事件のあった「媛首堂」の奇妙な構造のため、4重の密室となっていました。

さらに殺害動機のあると思われる秘守一族全員にアリバイがあったため、事件は迷宮入りとなってしまうのです。

そして10年後、23歳になった長寿郎が3人の花嫁候補から1人を選ぶ儀式の最中、花嫁候補の1人が首無し死体で発見されます。しかも第一の容疑者である長寿郎は、現場から何の痕跡もなく消えうせていたのです。

当主候補の長寿郎が消えたため、跡目争いが激化する中、第2、第3の犠牲者がいずれも首無しの死体で発見されるのです。

青年へと成長した斧高、10年前の事件を未だに追い続ける高屋敷巡査、その妻で推理小説作家でもある「妙子」、そして流浪の怪奇幻想作家「刀城言耶」が、この謎に満ちた事件に挑みます。

部屋主の感想

実に面白かったです。

ホラー要素やウンチクがあまりなかったのが残念でしたが、そのぶん上記の2冊よりはかなり読みやすくはなってる感はありますね。

ゆえに、ホラーが苦手、ウンチクが多くて読みづらいのは嫌いという方はこの作品から読んでみるのもいいかもしれませんね。シリーズものとしては主人公は同じってことぐらいで他に共通点はないですし(この作品では言耶自身の魅力はあまりでてこなかったりしますが)。

次は、ホラーシーンについてですが恐いところはせいぜい1箇所程度です(斧高が便所に行こうとするところね)。他にもいくつか恐い場面はあり、さすがに恐怖の描き方は上手いとは思うけれど、恐怖度は大したことないし、分量的にも少ないです。

ここが「厭魅の如く憑くもの」や「百蛇堂」並みに恐ければ、この作品も文句なくSクラスに気に入っていたはずなのですが、↓に書くように、これまでの作品以上に最後の最後まで気をぬけない展開を評価してSクラスにしたいと思います(となると「凶鳥~」の評価もAに上げておかねばならんかなぁ・・・)。

で、お次は、いつもながら色々と凝った書き方についてですが、今回もそれは今までに勝るとも劣らない感じで楽しいです。

どんな風に凝ってるかというと、事件を「斧高の視点」、「高屋敷巡査の視点」、「妙子の独白」といった感じで、後に妙子が小説として書いて真相に迫っていくという形なんですね。もちろんこれが伏線であり、簡単に予想できる類のものは作中で妙子が否定してくれてます。

でもって、いつも通りのあれも伏線、これも伏線といったものが、本編のあらゆるところに散りばめられていて、その「ほぼ」全てがラストで回収されるという見事な構成です。

「ほぼ」と書くとちょっと語弊を招くかもですですが、この「ほぼ」は三津田氏の作品の「ミソ」であり魅力的な部分だと部屋主は思っています。なぜ「ほぼ」なのかは読むとわかると思います。

もちろん気づいてた伏線もいくつかありますが、わかっていなかったのも多く、読みながらそうだったのか他の作品と同じく関心しっぱなしです。

トリックは前作同様、謎解きパートで問題点を箇条書きにしてわかりやすく整理してくれていて至れり尽くせりなのです。特に首無し死体における分類の検討は非常に細かく、ある意味で笑えるレベルで面白かったです。

でも、そこを読んでいてあのあたりのアレが気になるなと思っても、小説という形態のためなかなか探せないんですよね。で、面倒になっておおまかなトリックに当たりをつけていても細かいトリックまではわからなかったりで確信がもてない状況で真相編へと突入することになるわけですね。

でもって、真相ですが、大どんでん返しどころか、これまでの作品と同じく2転3転、いや4転5転する勢いなのです。

ちなみに部屋主は、トリックの本質的なところはまぁ何とか当たっていたのだけれど、犯人当てとかはかなり適当で、否定された(?)真相の2番目を想定してました(トリック自体は首無し死体という使い古されたものなので、もう少し考えてればと思いましたが。まぁそれをさせないために上手く煙幕をはってあるのがさすがなわけですが)。

ただまぁ、ラストのラストである本当のラストは予想通り「やっぱりこうきたか!」って感じでで、思わずガッツポーズをしてしまいました。

このホントにラスト数ページまで気を抜けない展開はさすがというかなんというか。もうお見事としか言いようがありません。

そして、相変わらずのこの嫌な余韻の残し方はちょっとイラっときますが大好きという複雑な心境です。

最後に表紙がまた「厭魅~」と同じ絵師さんになってくれたみたいです。この絵すごく好きなので今後統一してくれると嬉しいです。「凶鳥~」は絵師さんどこころかサイズも違うんですよね(まぁ「蛇棺葬」や「百蛇堂」と同じサイズなのですが)。

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コメント

これ、表紙がこわくて思わず目をそらしてしまいました。。。
ホラー苦手でも大丈夫とのことですが、唯一1箇所の怖いところが、多分私の中で半年くらいずーっとその文章が忘れられなくなりそうです(笑)

投稿: EMI | 2007年6月11日 (月) 20時37分

>EMIさん
表紙からして素敵じゃないですか^^
三津田氏の作品の中では怖くないし
ミステリ要素とだいどんでん返しの量が
1番多いのでこれから読んでみておくれです(^_^)

投稿: シン@部屋主 | 2007年6月24日 (日) 00時26分

きゃ~、めちゃくちゃ面白そうですね。
ご存知のような状況で本があまり読めない
私には目の毒です。
今の状況が片付いたら三津田さんの本一気読みしよ。

投稿: じっちゃん | 2007年6月24日 (日) 05時06分

>じっちゃんさん
かな~り面白いですよ^^
トリックは使い古されてチャチな感じですし
ラストもどこかで見たことのある感じなのですが、
それを補ってあまりあるほどのどんでん返しの連続、
30近い伏線の回収、
そしてラスト数ページまで気をぬけない展開は見事です。
ホラーも好きな私としては厭魅ほど怖くなかったのが残念ですが
ミステリ好きならこっちの方が好みかもです。

投稿: シン@部屋主 | 2007年6月24日 (日) 06時46分

うわあ、もう今すぐ読みたくなってきました。
でも、我慢我慢。

投稿: じっちゃん | 2007年6月26日 (火) 04時17分

>じっちゃんさん
我慢に我慢を重ねたあとに読む小説はたまらんかもですね^^
内容も良いですし。
じっちゃんさんの批評に耐えられるかはあれかもですが・・・

投稿: シン@部屋主 | 2007年7月 2日 (月) 23時11分

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