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お見世出し

ネットサーフィンしてるときに、どこかのブログで怖いという評価を受けていたので購入してみました。表紙も気に入りましたしね。

お見世出し Book お見世出し

著者:森山 東
販売元:角川書店
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部屋主の独断ランク:B

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

第11回日本ホラー小説大賞短編賞の表題作に2編を加えた短編集です。3編とも千二百年の都・京都を舞台に繰り広げられる恐怖譚です。

「お見世出し」

作家もどきの会社員である「私」は、同僚の「西田」に「舞妓遊び」に誘われます。「花街」と呼ばれる「宮川町」で、私は「小梅」という18歳の舞妓と知り合い、町では知らないものはいないと言われる、彼女の「お見世出し(修行を積んだ少女が舞妓としてデビューする晴れ舞台)」の日についての話を聞くのです。

小梅がまだ「綾乃」という名前でお見世出しを夢見ていた修行時代、彼女は舞の稽古の時、「幸恵」という少女と間違われます。理由は、宮川町始まって以来の天才と呼ばれつつも30年以上も前に自殺したその幸恵という少女に綾乃がそっくりだったからです。

町のあらゆる人が綾乃に幸恵を重ねるという状況を不快に思いつつも、綾乃はそれにめげずに努力し、ついにはお見世出しの日が決定するまでになりました。その時、彼女の師匠であり幸恵の親友でもあった「花流のおかあさん」は、本来なら幸恵がもらうはずだった「小梅」という名前を綾乃につけ、さらには幸恵の霊を呼び出して一緒に2人を舞妓にさせてやりたいと懇願するのです・・・

「お化け」

大学を出て普通にOLをしていた「藤井」は、前から憧れていた芸妓になるべく、23歳という年齢にも関わらず「伝乃家」に弟子入りします。そこは、病気のために成長が止まってしまってる小母さんいたり、かつて人が死んだ奇妙な井戸があるという少し変わった店でした。

修行を経て彼女は「弥千華(やちか)」という名前をもらい、霊感のある「春雪」さんねえさんや性格の悪い「春紅」さんねえさんと同じ舞台に立つことが許され、真奈という新弟子の教育係りをまかされるようにもなりました。

そして花街独特の、節分の時にやってくる鬼から身を護るための「お化け」という芸舞妓が仮装しながらお座敷を回るという行事の日、あの信じられない出来事が起こるのです・・・

「呪扇」

10歳のころ京の扇屋「杉一」に、「おまえなら呪扇を作れるかもしれんな」と養子にもらわれて65年、今では名人の1人に数えられるようなった「要三」は、余命いくばくもない先代から、先々代の「杉一三」と「呪扇」にまつわる話を遺言として聞かされた時のことを語り始めます。

それは明治38年、日露戦争に苦戦していた帝国陸軍が、「100年に1度、全ての扇のもたらす吉を相殺するだけの凶を持つという地獄の扇」の効力でロシアを転覆させようと、当時最高の名人と呼ばれていた一三を呼びだすところからはじまります。

その時一三が軍部に頼んだ呪扇の材料は驚くことに「気位の高い生娘」が9人だったのです。「無事に娘たちは家に帰れるのか?」と尋ねる大尉に対し一三は「いい材料がそらわないことには、いい品物はできません」と言うだけでした。こうして秀吉の朝鮮出兵以来ではないかという呪扇の製作がはじまるのですが・・・

部屋主の感想

「お見世出しの感想」

物語としてはそこそこ面白いかなといった程度でしょうか。とはいえ、舞妓さんが独特の口調で語る感じで書かれているので、少々読みにくいですが、その分雰囲気が出ていてとても良いと思います。

舞妓言葉の効果もあってか、あまり怖くないはずのけっこうオードソックスな日本の幽霊話なのあに、その怖さがうまく引き立っているかと思います。読んでてヒンヤリとする怖さと言った感じでしょうか。一見ホロリとくるように見せておいて、「実は怖いのかこれは?どっちだ?」という展開もなかなかにお見事です。

あと、読後の余韻も部屋主は気に入りました。本来ならこういう解釈にまかせる終わり方はあまり好きではないのですが、このタイプの物語はこういう結末がお似合いでしょう。独断ランクはBといったところです。

「お化けの感想」

とりあえず本題に入るまでが長すぎです。途中で色々と小話が入っているので退屈はしませんが、それぞれにあまり関連性が感じられず、妙にテンポ悪い感じはします。最後の方の展開は非常にテンポ良く進むだけに残念な感じがします。

またそれぞれの怖さを演出するためなのかよくわからん設定もあったりで、少々「ううむ」となってしまう箇所が少々あります。これも読後の余韻は悪くはないだけにちょっと残念です

怖さも全然なので、独断ランクはDくらいで。

「呪扇の感想」

ただでさえ薄い(190P)のこの短編集の中でも、わずか「45P」という短さなのに、内包されている闇の濃さは他の2編を圧倒的に上回っています。というかこれだけ印象の残る短編も珍しいかと。要は生きた人間を材料にして扇を作るという話なのですが、少女たちを扇に仕上げていく様子の気色悪さはかなりのものです。

気色悪いという点では「毒蟲VS溝鼠」もかなりなものでしたが、「毒蟲~」がただ暴力的で残酷であるだけに対し、こちらは日本伝統の扇を職人が静かに冷酷に作り上げていく様じょじょに狂っていく周囲の人間の変化、そして苦痛にもだえる少女が扇の材料にされていく描写の残酷さは、気持ち悪いとともに官能的でもあり美しさも感じます(こんなことを書くと変態の犯罪者予備軍と思われそうですが)。

この後も、完成した扇の効果、その後の扇の顛末、そして現代を生きる要三の物語と話は展開していくのが、それらが歴史上の出来事とうまく絡めてあったり、部屋主好みの都市伝説チックな話だったりして見事だと部屋主は思いました。これも読後の余韻がとても良く、思わずニヤリとしてしまいました。

オススメという点ではあまり万人受けしないと思いますのであれですが、部屋主個人としてはかなりツボだったので独断ランクはにしたいと思います。

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