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蛇棺葬

最近お気に入りの三津田信三さんの本です。ちょっと前に紹介した「厭魅の如き憑くもの」「凶鳥の如き忌むもの」よりも前の作品に当たります。

蛇棺葬 Book 蛇棺葬

著者:三津田 信三
販売元:講談社
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部屋主の独断ランク:A

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

5歳の頃、母を亡くした「私」は父とともに、父の実家である地方の旧家「百巳(ひゃくみ)」家に帰ることになります。そこで私は、能面のような顔の義母、病気のため自ら座敷牢に入っている当主である祖母、自分勝手な親族たちと生活することになりました。

父は次期当主という身分でありながら母と駆け落ち同様に家を出た身であったため、私は常に義母に監視され祖母からは虐待を受けることになります。苦痛そのものの生活の中、自分と同じく冷遇されている「民」というお婆さんと私は仲良くなります

民は山での遊び方や様々な物語といった色々なことを私に教えてくれました。中でも彼女は百巳家の敷地内にある奇妙な建物「百蛇堂」や、その地方の忌み山である「百々山(どどやま)」には決して近づかないようにと、きつく私に約束させるのです。

しかし私は、民との約束を破らざるをえない状況になったために入ってしった百蛇堂で、「あれ」に襲われることになるのです。床を這いずりまわるあれに・・・

気がついた私はどうやら民に助けられたようでした。あれはいったいなんだったんだろうと悩みながらも、小学校へ通いはじめたため、その疑問はじょじょ薄れていきました。百巳家の子供ということの遠慮に息苦しさを感じるものの、私は友人たちと遊ぶことに気をとられていったのです。

そんな時、祖母が病死します。葬儀は、百巳家独特の葬送百儀礼に則って行わなければならず、その最後には次期当主である父が祖母の遺体と共に百蛇堂に一晩過ごさねばならないという決まりがあったのです。

儀式の翌朝、父は忽然と消えていました。葬送の都合上、完全な密室なっていた百蛇堂から・・・大規模な捜索がされましたが、結局父は発見されずじまいでした。その後、私はなぜか東京の親戚にあずけられることになるのです。

あれから約30年・・・私は再び百巳家に戻ってきました。義母が危篤という報を受けたからです。本当なら帰りたくない家なのですが、民が健在ということを知った私は、これを機会に彼女に会う為に帰ることにしたのです。あの忌まわしき百巳家へと・・・

部屋主の感想

これも面白いですね。というか怖いです。怖いといってもホラー映画に多い驚かせるといった手法ではなく(小説だからそうならざるをえないのですが)、ゆっくりゾワゾワと背中を悪寒が登ってくるといった類の怖さかと思います。

まとわりつくような空気の生暖かさや重さというものが非常にうまく表現されているので、「私」の感じる恐怖や嫌悪感を読んでいて同じように感じることができました。「厭魅~」もなかなかに怖かったですが、部屋主個人としましてはこちらの方が怖かったです。というか嫌な感じが強かったですね。

中でも視線による恐怖が特に印象に残りました。いつのまにか私を見ている義母の視線は怖かったです。誰にでもふと視線を感じて振り返ると誰もいないといった恐怖の経験があると思いますが、これから数日はこの小説の影響で頻繁にその怖さを味わうことができそうです。特に入浴中に。

他にも、竹やぶや百々山に入ったときや(山とかの怖さの描写も巧みですね)、30年ぶりに訪れた友人宅で遭遇した出来事、布団の中でのあのことあたり(これは嫌悪か)はなかなかに怖かったです。そうそう、かくれんぼのくだりも面白かったですね。

作品中で1番嫌な感じを受けたのは2度目の百蛇堂ですかね(1度目は個人的にはイマイチでした)。こんな葬送儀礼は、もし部屋主だったら勘弁して欲しいです。なんとしても逃げる努力をしますよ。この嫌悪感や回避衝動は、死に対する穢れ思想や恐怖があると部屋主自身では分析しています。読んだ方がいましたら是非とも感想聞きたいところですね。なお、葬送儀礼に関するウンチクはとても面白かったです。

怖さに関してはこの辺にして、次いでミステリ要素ですが、これは全く言い訳程度ですね。読みながら解けるほどの簡単さです。しかもそれがかなり強引かつ唐突に出てくるのがちょっといただけません。

上記した2作も、色々と謎が残るのですが、この作品はさらに多くの謎が残っています。どうやら「百蛇堂」なる次回作があるのでそれへの持ち越しということだと思います。だからこの辺は今回の評価に入れないことにしたいと思います。

あと、「怖い」「嫌だ」だけでなく、少年たちの冒険活劇的な要素もありますのでなかなかにニヤリとしてしまう箇所もけっこうあります。子供の頃、好奇心旺盛でちょっとやんちゃだった人はこういう経験がきっとあって、部屋主みたいにニヤニヤしてしまうんじゃないでしょうか。

最後に、いつも通り雰囲気を出すための(たぶん)読み辛い漢字が多々使われているので読みにくいです。とはいえ、上記2作よりは読みやすかったですが。

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