« ポッキー 極細 | トップページ | おいもさんのお店らぽっぽ おいもと渋皮栗の秋味スイートポテト »

ハル-2

昨日に引き続き「ハル」のあらすじと感想です。

ハル Book ハル

著者:瀬名 秀明
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

部屋主の独断ランク:

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

機械と人間を結ぶ、切なくも考えさせられる「あした」を描いた物語が5編収録されている短編集です。それぞれの短編の間には「WASTELAND」という数Pから成る連作短編が挿入されています。

「亜希への扉 心の光陰

雪のちらちらと降る夜、細々と「ロボット・コンサルティング」を営む「良祐」の店に、1人の女の子が駆け込んできます。捨てられていたというロボットを胸に抱えていたその少女は、良祐に直してほしいと懇願しました。

少し悩んだものの、少女の真っ直ぐな瞳の奥の決意を見て取った良祐は、ロボットを治してあげることにしました。元気になったロボットを見て喜んだ少女は「亜希」と名乗り、ロボットに「ロビイ」と名づけました。

それ以来、9歳の亜希は良祐のところでお礼のお手伝いをしながら、ロビイを大事に大事に育てていきました。また、ロビイも彼女の愛情に比例するように成長していくのです。

亜希が良祐のところに来なくなってから2年の月日が流れたある日、彼のもとにロビイに何かあった時に送るように設定しておいた緊急報告メールが届くのです。翌日、大きくなった亜希がやってきました。出会った頃のように壊れて動かなくなったロビイを胸に抱いて・・・

「アトムの子 夢みる装置

ロボット工学者の「竹内」は、「鉄腕アトム」の誕生日である「2003年4月7日」、その日に合わせて開園した「手塚治虫記念パーク」のオープニング・セレモニーに行っていました。工学者であり鉄腕アトムファンである竹内は、セレモニーに登場する鉄腕アトムの「実物」を見に行ったのです。

しかし、発表された鉄腕アトムは、アトムの形はしていたものの、ただよく動くだけの心をもたない木偶の坊だったのです。それを見て愕然とした竹内は、同時に日本人がロボットに持っていた幻想がこれで壊れてしまったことを悟りました。以来ロボット・ブームは急速に萎んでいきました。

それから26年の月日が流れ、ロボットはあらゆるところに溢れるようになりましたが、ロボットの知能と意識の研究はこれといって進んでいません。そんな中、すでに高齢のため退官した竹内は、昔を懐かしむように再び訪れた手塚治虫記念パークで、東大でロボットの認知科学を研究していた「海渡」と偶然再会します。

海渡に誘われて訪問した研究室には、自分と同じように高齢のために一線を退いたロボット工学の分野で活躍していた面々が揃っていました。そして驚く竹内に海渡はこう言うのです。「アトムをつくるんだよ、ぼくらの手でね」と・・・

部屋主の感想

「亜希への扉の感想」

これはきました。亜希もロビイも可愛いです。あらすじでは割愛しましたが、良祐の父親の渋さも非常に光ります。先の短編に出てきたあのキャラのその後も描かれているという演出もいい感じです。

なによりも、亜希の悩み、そして亜希の悩みを知ったことによって発生した良祐の悩みは、これからおそらく来るであろうロボット社会を生きるヒトに必ず発生する類のもので、今から考えておいた方がいいかと思います。

また、それらの重いテーマをホロリとくる物語に詰め込んでいるあたりも凄いです。ということで独断ランクはにしたいと思います。

「アトムの子の感想」

これもきました。実にツボです。一見救いのない物語のように思わせておいて、部屋主が大好きなとある映画と同じように希望を見出せるラストになっています(このタイプのラストに異常に部屋主は弱いです。目から汗が出そうになります)。

ちなみに「この救いがないように見えて最後にはちゃんと希望が・・・」という感想は、この短編集の全体に当てはまる感想かと思います。悲劇も嫌いではありませんが、物語の最後はきっちり、そして希望を見出せるものになってくれてる方が好きだったりしますので。

また、一線を退いた老人が集まって、かつての夢に向かって努力するという物語の構成もいいですね。きっと今後の高齢化社会ではこういうことが起こってくるのでしょう。彼らのように年をとっても夢をみれる、そしてそれに向かって頑張ることのできるような老い方をしたい、そういう風にできる社会を作っていきたいものです。いまはヒッキーだけど。

なにより、「ロボットの心」、「ロボットにとっての正義」といったテーマに悩む人物たちの姿を通して、ここまでの作品と同じように色々と考えさせてくれるところがいいです。他の短編同様、ロボットのことを語りつつ、同時に人間というものについて書かれていますので本当に考えさせられます。けっこう重いですがここまでこの記事を読んでくれた皆様も是非とも一緒に考えてみてほしいと思います。

他にも、ここまでの短編で登場した人物(を示唆する)やロボットが色んなところに登場していたりするあたり、連作としての楽しさもあります。ということで独断ランクは文句なしににしたいと思います。

人気blogランキングへ←ポチっと応援お願いしますm(__)m

にほんブログ村 本ブログへ←こちらもポチっと応援お願いしますm(_ _)m

|

« ポッキー 極細 | トップページ | おいもさんのお店らぽっぽ おいもと渋皮栗の秋味スイートポテト »

コメント

学校が始まってから小説を読んでいないのですが、
この本ならば短編なので読みやすそうですね(*^^*)

投稿: みみこ | 2006年10月 5日 (木) 19時42分

お久しぶりです。
なかなか的確な感想ですね!!
ほんとに書かれているとおりだと思います。
次の「瀬名秀明」の小説は見つけてはいないのですが、また良いのが有れば教えてください。
マイロボットの製作には、まだかからないのですか?

投稿: あんこ | 2006年10月 6日 (金) 18時36分

>>あんこさん
お久しぶりです^^
瀬名秀明さんの小説なら「ブレイン・ヴァレー」「デカルトの密室」「パラサイト・イブ」が面白いです。
他にも「科学の最前線で研究者は何を見ているのか」や「心の脳の正体に迫る」あたりも面白いです。
>マイロボットの製作
新しいバイトか仕事をはじめて余裕ができたら
開始しようと思っています^^
ハルを読むと欲しい衝動が高まってしまいました><

投稿: シン@部屋主 | 2006年10月 6日 (金) 23時33分

有難う(^^)
書店で探して見ます。
今は、野沢尚の「破線のマリス」と「砦なきもの」を読んでいます。

マイロボットの製作には、最終的には10万円は掛かりそうです。(-_-;)
ロボットの名前『ハル』にしようかな?

投稿: あんこ | 2006年10月 7日 (土) 07時26分

>>あんこさん
文庫であるのとないのがありますが(^^;
>破線のマリス
こっちならタイトルだけなら知ってます。
>10万円
これはきついですねぇ( ̄○ ̄;)
>名前はハル
それはいいかもですね^^

投稿: シン@部屋主 | 2006年10月 7日 (土) 12時46分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80175/3614749

この記事へのトラックバック一覧です: ハル-2:

« ポッキー 極細 | トップページ | おいもさんのお店らぽっぽ おいもと渋皮栗の秋味スイートポテト »