« 堅あげポテトうすしお味 | トップページ | うみのバニラ 和風もなか »

百蛇堂 怪談作家の語る話

先日紹介した「蛇棺葬」の続編に当たります。

百蛇堂―怪談作家の語る話 Book 百蛇堂―怪談作家の語る話

著者:三津田 信三
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

部屋主の独断ランク:A

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

編集者であり「ホラー作家の棲む家」で小説家としても名前が売れてきた「三津田信三」は、以前から考えていた長編実話怪談の企画のために知人の編集者から紹介された男の話を聞くことになります。それは後に「蛇棺葬」として刊行される、近畿地方のさる旧家「百巳家(ひゃくみけ)」の「百蛇堂(ひゃくじゃどう)」という奇妙な御堂に纏わる忌まわしい思い出話でした。

自分がかつてその地方に住んでいたこと、なによりも男の話の恐ろしさに惹かれた三津田は、男に話をまとめた原稿を送ってもらうことにします。これが全てのはじまりでした・・・

その原稿を読んだ後、三津田は信じられない怪異に襲われることになるのです。さらに同じ原稿を読んだ仲間の編集者は人間とは思えない「黒い女」につけまわされたという話を最後に忽然と姿を消してしまったのです。

しかも男に原稿のことで連絡すると「あの原稿は世にだしてはいけなかった。実は・・・」というところで電話が途切れてしまうのです。あせった三津田は、同じ原稿をチェックしてもらっている友人の「飛鳥信一郎」と「祖父江耕介」に連絡したところ、彼らにも奇妙な現象が起こっていたのです。

次は自分が消える可能性があるとと考えた三津田は、原稿の舞台である地域について調べていきます。すると、不可能状況での児童失踪事件が頻発しているという事実が発覚するのです。

アレは自分の存在を知った人の下へと行こうとするけ」・・・男の思い出話に出てくる「民」の言葉どおり、忌まわしい「アレ」が現れて原稿を読んだものを連れ去っているのだろうか・・・葬り去られるべきものが世に出たことで生まれる謎と怪異の結末は果たして・・・

部屋主の感想

いや~これは怖かったです。今まで読んだホラー小説の中で一番怖かったですね。わざわざ真夜中に読んだ甲斐があるってものです。一晩中ぞわぞわくる怖さを楽しめました。

これまで読んだ三津田さんの作品と同じように、ミステリパートとウンチクパートの間にホラーシーンが詰め込まれてるといった形式なのですが、この量が今までよりも多いです。しかも主人公である「三津田」が常に精神的に弱っていて白昼夢を見てる感じなので、どの作品よりもホラーパートの描写もやりたい放題といった印象を受けました。

やりたい放題とは書いたものの、その恐怖の迫り方の非現実的度が高いということで、怖さの描き方は相変わらずのクオリティの高さです。しかも今まで読んだ作品とは違い舞台が現代の上リアルに存在する人々や本の名前が出てくるので、物語のリアリティが増してます(例えば、以前に紹介した「呪怨」や「新耳袋」のことや、冒頭の京極夏彦さんや岩井志麻子さん、綾辻行人さんといった人達が名前だけですが書かれていたりします)。

部屋主としましては、知人の編集者が「黒い女」に追われるところ、男の家のある京都へ行った時の夜に遭遇した怪異(特にラストのアレと視線が合うあたり)、村人たちに襲われるあたりなどが怖くて良かったですね。

一番キテると思ったのは、一度は逃げ帰った男の京都の家に、半分ヤケクソで再び乗り込んでアレに捕獲されかかったときの箇所ですね。まさかまともな小説でアレがやられるとは思ってませんでした。正直ゾッとしました。ついに読んでる部屋主にも異変が迫ってきたのかと勘違いして喜んだ(?)くらいです。

もちろん、ミステリ調で物語が進みかつ、三津田さんお得意のあれもこれも伏線だったのかという構成1度推理した内容をひっくり返すという構成もしっかりしてます。話の展開の大筋は読み通りだったのですが、それを示唆している伏線の多さには驚かされるばかりです。毎度のことながら脱帽です。

ラストも部屋主的には嫌いといえば嫌いな終わり方ですが、しっかりしていているので、それはそれでよいと思います。ただし、物語の色んな箇所に納得できないことがあるので、そのあたりは少々ゲンナリします。「厭魅の如き憑くもの」などにも納得いきかねる所はあったものの、それは解釈可能だったのですが、この「百蛇堂」ではどうにも解釈もしづらい部分がけっこうあって・・・

ウンチクもいつも通りたっぷりなのもありがたい点ですね。部屋主個人としましては、葬送儀礼のウンチクと、テンポが悪くなるからホントは入れない方がいいんじゃないかと思った墓荒らしのウンチクが興味深かったですね。

あと、これまで三津田さんの本の中では一番読みやすいです。サクサク読めます。

そうそう、最後にこれをもう一度書いておかねば。「アレ」は存在を知ったもののところにやってくるということなので、この本を読んだ部屋主はもちろん、この記事を読んだあなたのところにも「アレ」がやってくるかもですね。ふふふ・・・・

この本から部屋主が選ぶ格言

「確かにそういう解釈も否定はできない。~しかしそう考えるのは、あらゆる可能性を検討してからでも遅くはないんじゃないかな。~いや、十分にはしてないだろう。確かに尋常ならざる何かがあると思うけど、それを全面的に受け入れる前にそういう努力をするのは人として必要だと思うんだ。~うん。そうでないなら、とっととマーモウドンでも化物でも幽霊でも、その仲間になってしまえばいいじゃないか。人として生きるのであれば、少なくとも考えることを止めちゃダメだよ」by飛鳥信一郎

様々な怪異に襲われ恐怖に囚われ考えることを止めてしまった三津田を飛鳥が励ましたときの台詞です。「~」の部分には三津田の返事が入っています。この後、飛鳥は不可能状況だったはずの児童失踪事件に新しい解釈を打ち出し、決して失踪状況が不可能ではなかったことを論理的に証明してみせます。

人気blogランキングへ←ポチっと応援お願いしますm(__)m

にほんブログ村 本ブログへ←こちらもポチっと応援お願いしますm(_ _)m

|

« 堅あげポテトうすしお味 | トップページ | うみのバニラ 和風もなか »

コメント

シンさんこんばんは~(^v^)
小説を読むのは好きなのですが、最近時間がなくてなかなか読めないです~
シンさんはたくさんの本を読まれていてすごいですね。
ホラーは台本くらいしか読んだことがないのですよ~
今まで読んだ本も十分怖かったですけど、この本は相当怖そうですね!

投稿: みみこ | 2006年10月23日 (月) 20時16分

>みみこちゃん
みみこちゃんの場合は小説よりも
勉強やら学校生活やらを優先せねばですからね^^
本ブログランキングには私よりも読んでる人が
けっこうごろごろいますよ。
私なんてまだまだです(^^;
これは・・・というかこのシリーズは怖いので
是非とも読んでみてほしいですね♪
アレが来るかもですが・・・( ´,_ゝ`)プッ

投稿: シン@部屋主 | 2006年10月23日 (月) 21時53分

これは怖そう!すごく読んでみたくなったので今度購入予定します(^^)

投稿: oshiki | 2006年10月23日 (月) 22時26分

>oshikiさん
これは連作なので「蛇棺葬」から買うことをオススメします。というか、「蛇棺葬」を読んでないと何がなにやらわからないのでご注意を。
あと、けっこうマイナーな作品なのでかなり大きな本屋にしか置いてないと思いますので、これまたお気をつけください。
サイドバーにあるアマゾンのボックスから買ってもらえるのが一番嬉しいんですけどね(^д^)
1,500円以上のお買い上げなら送料も無料ですので☆
と、たまには宣伝しておこう(^^;

投稿: シン@部屋主 | 2006年10月23日 (月) 22時56分

これは興味をそそられるレビューですね。
三津田色満載みたいで。
でも、アレの存在に気づくとやばいとのことなので
読まない方がいいかな~。

投稿: じっちゃん | 2006年10月24日 (火) 12時26分

>じっちゃんさん
そそられてもらえてよかったです^^
三津田色は満載ですがホラー嫌いには
ちょっとあれかもです(^^;
アレの存在にはすでに気がついてしまっているので
もうアレはじっちゃんさんのところに
向かってるかもですよ・・・ふふふ・・・

投稿: シン@部屋主 | 2006年10月24日 (火) 15時22分

あぁあああー。
レビュー読むだけで怖かったTT
あれが・・・あれがーー!

ちょうど最近活字ホラーの怖さについて考えてたので、
『蛇棺葬』から読みはじめてみましょうかねぇ。
なんか既に涙目になってますが。

投稿: 月下 燕 | 2006年10月24日 (火) 21時53分

>月下燕さん
レビューで怖がってくれるとはとても嬉しいです^^
頑張って書いた甲斐があるってもんです♪
三津田さんの作品は活字ホラーの中でも
素晴らしいものがあると思いますので
是非ともお試しあれです(d ̄▽ ̄)
特にこれはオススメです。
活字ホラーならではの演出がしてありますので。

投稿: シン@部屋主 | 2006年10月25日 (水) 05時01分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80175/3868347

この記事へのトラックバック一覧です: 百蛇堂 怪談作家の語る話:

« 堅あげポテトうすしお味 | トップページ | うみのバニラ 和風もなか »