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凶鳥の如き忌むもの

先日読んだ「厭魅の如き憑くもの」が非常に面白かった+同じ主人公による続編ということで購入してみました。買ってから気づいたのですが、「厭魅の~」からこの「凶鳥の如く忌むもの」の間に「九つ岩石塔殺人事件」なる作品が存在するみたいです。

凶鳥の如き忌むもの Book 凶鳥の如き忌むもの

著者:三津田 信三
販売元:講談社
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部屋主の独断ランク:B

多少ネタバレ注意です。

あらすじらしきもの

「流浪の怪奇小説家」「怪異蒐集家」の異名を持つ「刀城言耶(とうじょうげんや)」は、彼と同じく民俗採訪をしていて異様なほど地方の奇怪な儀礼や風習に詳しい大学の先輩「阿武隈川烏(あぶくまがわからす)」の伝手で、瀬戸内海の「鳥坏島(とりつきじま)」で行われるという「鳥人の儀」に参加できることになります。

日本では見ることすら珍しい「影禿鷲(かげはげわし)」が棲息する鳥坏島は、かつて「鳥憑島」と呼ばれた「兜離の浦(とりのうら)」の沖合いに浮かぶ絶海の孤島で、この地方は、「大鳥様(おおとりさま)」を祭る、代々「朱」の字を名前に持つ神格化された「鵺敷(ぬえじき)神社の巫女」に支配され、「海底に共潜き 海原に船幽霊 中空に鳥女を用心すべし」という伝承が残されています。

言耶を含む、秘儀をとり行う巫女「朱音(あかね)」、朱音の弟「正声(まさな)」、鵺敷神社の使用人「赤黒」、民俗学を勉強中の女子大生「瑞子(たまこ)」、兜離の浦の次代を担い、朱音に特別な感情を寄せる「欽蔵(よしぞう)」「辰之助」「行道」の計8名は、それぞれ不安を抱えながらも鳥坏島へと向かいます。

不安の原因は18年前に行われた鳥人の儀です。前回の儀式に参加したのは、先代の巫女「朱名(あかな)」、娘で当時6才だった朱音、城南民俗研究所の6名でした。儀式の後、無事だったのは朱音1人で、残りの7名は行方不明となっていたのです。そして、唯一無事だった朱音の証言には、「鳥女(とりめ)」という化け物の存在が示唆されていたのです。

儀式の参加人数が前と同じ8人、巫女の年齢も前回と同じ24歳という奇妙な偶然の中、断崖絶壁に上に作られ、巨大な密室ともいえる拝殿で鳥人の儀は執り行われます。儀式の滞りない進行を伝える鈴が異常な音を立てたため、言耶たちが拝殿へと強行突入したとき、巫女の姿は消えていました

果たして大鳥様の奇跡か?はたまた鳥女の仕業なのか?そう悩む言耶たちを嘲笑うかのごとく、次々と参加メンバーが消えていくのです・・・

部屋主の感想

この作品も「厭魅~」同様、本格ミステリと民俗ホラーの融合ということですが、ホラーではないですね(中には映像化するの発禁くらいそうなところもありますが)。全く怖くはないです。

面白さという点でも、ちょっと微妙です。とにかく事件が起きるまでが長すぎです。前作の「厭魅の~」も相当に長かったですが、途中に質の良いホラーや民俗学的ウンチクが入っていたのであまり苦にならなかったのですが、これはほとんどウンチクばかりでとにかく疲れました。

もちろんウンチク自体は民俗学・神話・歴史といった部屋主が大好きなテーマなので面白いといえばもちろん面白いのですが、そのせいでかなりテンポが悪くなってしまってるかと。この辺のウンチクが部屋主以上に好きな人には嬉しいとは思いますが。

でもって、ミステリとしても、鳥人の儀という奇妙な儀式が舞台であるというだけで、基本はただの密室モノですから、けっこう退屈な作品かと思ってました。途中までは

厭魅の~」もクライマックスの謎解きが非常に良かったのですが、これも良かったです。1度解決しかけておいて、それをひっくり返すのがこの著者のやり方なんですかね(こういうタイプの作品は大好きです)。今回はそこにひっかかってしまいまいました。部屋主が漠然と立てていた推理はその1度解決の部分でした。あれだけ示唆するってことは逆にミスリードだと気づくべきだったのに・・・悔しいです。

でもって、本当の真相へと迫る部分は言われてみれば確かにそれしかないって感じのものでした。しかも、その答えは一般の人ならその発想がでなくても、部屋主みたいなホラー好きなら出て然るべき発想だったのがさらに残念感を大きくします。

何より、これまた「厭魅の~」同様、あらゆるところに伏線が張られていたことに驚かされます。あれもこれもそれも伏線だったといった感じなのです。まさかずっと答えは目の前にあったとは・・・

あと、主人公である言耶が怪異話蒐集時に変になってしまうという困った癖に磨きがかかっていて思わずニヤりとしてしまいます。パターン化してツボにハマるというやつでしょう。よりこの部分がコミカルになって楽しかったです。

事件が起きるまでの退屈さもあるけれど、この読後の爽快感はたまらんですね。設定も好きだし、ウンチクは勉強になりますし、してやられたのも確かなので、評価は滑り込みでAでにしたいと思ったけれど、限りなくAに近いBランクでいきたいと思います。

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コメント

シンさんは、ブログ更新を毎日して、読書もしっかりして、どうしてそういう時間が確保できるのか、不思議だなぁと思う十一月うさぎです、こんばんは。

シンさんは、小説類10~15冊/月のペースで読んでいるのでしょうか?
私も、その半分の量でもいいから読めるようになりたいです(本読むのが遅いから)

食品の感想よりも、小説のあらすじ&感想の記事の方が、お時間がかかっていると思います。
お疲れ様でした。

シンさんの好みのタイプ(あ!本ですよ)が、だんだんわかってきました。
ホラーや歴史モノがお好きなんですね。

>中には映像化するの発禁くらいそうなところもありますが

・・これは、グロテスクな場面があるという事でしょうか?
例えば、ハンター×ハンターのキメラアント編では、黒ノリが貼られたシーンが幾つもあります。
そんなにショキングな内容ですか?
今週のジャンプの【ネウロ】で、匪口刑事が上瞼に指突っ込んで、目をかいているのよりも、グロイのでしょうか?

投稿: 十一月うさぎ | 2006年9月27日 (水) 23時14分

>十一月うさぎさん
簡単にいうとあんまり働いてないのです(-盆-;)
ほんとはもっと読みたい(というか時間的には読めるのですが)ところなんですがお金が追いつかなくて・・・
内容からしてわからりづらいと思うのですが食品の感想はおまけで、本の紹介がメインのつもりです。
食べ物で人を呼びこんで、ついでに本に興味を持ってもらおうと思っているのですが、いまいちうまくいってないみたいで(^^;

>グロテスクな場面
頭の中で映像化するとグロテスクな場面があるというレベルで、実際の描写はさほどでもないです。
もし映像化できたとするなら、今回のネウロよりは上で、ハンターの黒塗りよりもたぶん上かと思います。

投稿: シン@部屋主 | 2006年9月28日 (木) 00時57分

こんばんはー。
怖そうなタイトルですがホラーではないのですね。。
こうやって物語を楽しみながらウンチクを読むってのは結構好きかもです。
でも、展開が速くないと私の場合、途中で飽きてしまう・・・
しかし辛口シン殿の評価がいいところを見ると、
結構期待できそうな感じですねぇ。

投稿: babar | 2006年9月28日 (木) 02時01分

>>babarさん
民俗ホラーと本格ミステリの融合とのことですが
ホラーではないと私は思います。
物語を読みながらウンチクが好きなら
最近ハマってる和田さんの作品や
昔から好きな瀬名さんの作品あたりはオススメです。
>退屈
最初の方はしんどいですが
ラストの怒涛の謎解きは楽しめると思いますよ^^
>辛口
そうですかねぇ?
自分では普通かむしろ甘いくらいだと
思ってるのですがねぇ(^^;

投稿: シン@部屋主 | 2006年9月28日 (木) 03時33分

シンさま

こんばんは。
はじめて、お邪魔します。 <(_ _)>
三津田氏の新作、面白そうですね。
早速「MY読もうリスト」に追加
したいと思います。(^^♪


投稿: はなきち | 2006年9月28日 (木) 23時24分

>はなきちさん
こんばんは^^
コメントありがとうございますm(_ _)m
個人的には厭魅よりは落ちますが
それでもラストの怒涛の展開は面白いです^^
是非とも読んでみてくださいな☆

投稿: シン@部屋主 | 2006年9月29日 (金) 00時48分

シンさん、三津田さんの最新作読まれていたんですね。
記事見落としてました。
この作品もなかなかできはいいようですね。
Aに近いBですかれね。
今回も伏線とどんでん返しを駆使しているみたいですね。
次の次の次くらいに読みます。

※上記のような内容を一度投稿したつもりだったんですが、なぜか姿が見えないのでもう一度投稿しました。変だな~。重複投稿になっていないといいけど。

投稿: じっちゃん | 2006年10月17日 (火) 08時22分

>>じっちゃんさん
作品ランクに関してはAにして問題ないと思うのですが、というか普段ならAにしてると思うのですが、厭魅~を読んですぐでしたのでどうしても比較してしまったんですよね。
そういう意味ではもったないランクに落ち着いてしまった作品のようにも思えます。
>伏線とどんでん返し
「蛇棺葬」「百蛇堂」も、伏線&どんでん返しタイプなのでこれが三津田さんの持ち味かと思います。
>重複投稿
特に大丈夫でしたのでご安心を。

投稿: シン@部屋主 | 2006年10月18日 (水) 17時30分

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